かなえ。
2024-12-21 20:31:26
2098文字
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社長副社長のささやかな日常

リバ×リバのスリー×ゼロ+運命ちゃん。
2人は付き合ってるけど秘密中。でも運命ちゃんにはバレててからかわれる。


 気分転換に、とコーヒーを買いに立ち寄ったカフェテリアで声を掛けられ、そしてその人物が『一人』だったことにスリーは少し眉をひそめた。

……運命、ゼロはどうした」

 今日は一日ゼロが護衛兼副官として運命に付くと聞いていたし、そのつもりでゼロとスリーの行動スケジュールを組んだ。数日前にスリー自身が。

「私だって一人になりたい事もあるんだよ」
……そうかも知れないが。先日の事件もある」

 アイゼがランヴィリズマに潜入した件を例に上げると、運命はそうだけど、と形をすくめた。

「確かに私には戦う力はないけど、そう簡単にはやられるつもりはないし、何かあれば誰かが助けてくれるよ。……ところで」

 カウンターでテイクアウト用のコーヒーを注文した運命がチラリとスリーを見る。素顔を隠すマスクには少し意地の悪そうな笑顔。

「ゼロとはちゃんと二人きりの時間取れてるの?」
「な……ッ!?」

 タイミング悪く(運命は狙ったのかもしれないが)その問いは先にコーヒーを受け取り、カップに口を付けたタイミングだったので、スリーは思い切りコーヒーを吹き出した。
 何事かと視線が集まるので仕方なくスリーは運命の腕を引っ張りカフェテリアを放れることにした。

「な、んのことだ!?」

 間違いなく取り繕えていないし、勘の良い運命は尚更騙されてくれないだろう。
 先日念願叶ってゼロと結ばれた。決して無理強いはしていないし、ゼロも満更でもないようだった。
 ただしKINGとQUEEN、社長と副社長の立場もあり、公私混同はせずしばらくこの関係は秘すると決めた。……にも関わらず、だ。

「いやー午前中にちょっと時間があってね? ゼロと色んなお店を冷やかしてたんだけど」

 そこで運命は再びニヤリと笑った。

「ゼロがちょっとらしくないランジェリーショップで足を止めたんだよね。あ、もちろん普段はどんな下着かは知らないよ? 知らないけどアレはゼロの趣味じゃなさそうだったなー。あっもしかしてスリーじゃなくてエイトだった!? もしくは別の」
「ふざけたことを言うな運命! ゼロは……!!」

 思わず運命を壁へ押し付ける。

「ゼロは……!!」
「探したぞ、陛下」

 運命の言葉に反射的声を荒げてしまうが、背後からの冷静な声にサッと血の気が引く思いだった。

「コーヒーを買うと言っていたのになかなか戻らず心配したぞ。まぁスリーが一緒なら杞憂だったと言うべきか。……ところで」

 そこで言葉を切ったゼロがスリーに視線を移す。眉間の皺が深く見えるのは……きっと気のせいではない。

「私がどうした、スリー?」
「いや、それは……

 どう返せば良いかと思い悩む時間に伴いゼロの目線が厳しさを増す。

「スリーが陛下を害するはと思わんが……。念のためだ。話せ」
(どう乗り切れば……。ダメだ、何も思い浮かばん!)
……これ、は……

 初めて立った戦場。初めて任された大口のビジネス。常に冷静に状況判断し、解決策を導き出してきたスリーの頭脳は間違いなく動いていなかった。

「ごめんごめん、私が悪かったんだ。」

 言い澱むスリーに助け船を出すように殊更冗談めかした声で運命が二人の間に割ってはいる。

「さっき二人で行ったお店の話をね、スリーにしただけ」
「陛下!?」

 次に声を荒げたのはゼロ。スリーへの怒りはどこへやら。すっかり動揺してしまっている。

「話したって何を!!」
「ゼロ。シオンに連絡してくれる?」
……なに?」

 急に話題をすげ替えられゼロは怪訝そうに首を傾げた。

「いつも私をサポートしてくれる二人にささやかだけどプレゼントだよ。夜以外にもイチャつく時間があっても良いでしょ?」
『運命!!』

 ゼロとスリーの声が重なる。
 ああ面白い、と運命は吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
 二人は優秀だが過剰なほど真面目だ。オッター貿易の性質上規律を重んじるのもわかるが、時々はこうしてからかわないと息が詰まってしまう。

「明日も私に付かなくて良いから。早く連絡!!」
……了解した」

 ゼロは渋々といった体で端末を操作する。程なくシオンが応じたので待ち合わせをカフェテリアに指定し、二人で運命をカフェテリアまで送ることにした。

……ゼロの時間が空いたなら、新規取引を打診してきた企業について相談したい」

 シオンを待つ間、三人の間に微妙な空気が流れ、それに耐えかねてスリーがゼロに問うた。

……先送りでもいいかと思ったが良い提案だ」
「二人とも私の話聞いてた?」

 どこまでも仕事で頭がいっぱいの二人に運命はやれやれと肩を竦める。

「戻ったらスリーのコーヒーで飲みたいな。スリーは買っていたようだが頼めるか?」
「勿論だ。飲み損ねた上に冷めてしまったからな。俺も淹れ直そうと思っていたところだ」
……やれやれ。アレはアレで良いのかな?)

 シオンが合流しカフェテリアを出て行く二人の背中を見送りながら運命は再び肩を竦めるのだった。