雪華
2020-08-30 21:21:56
3992文字
Public オルサイ
 

【オルサイ】bashfulness【女体化】

※サイラスが先天性女体化です!先天性女体化のサイラスが男装して旅立って、オルベリクがうっかりラッキースケベした話の続き。まだデキてないです。生理ネタで結構生々しくなってしまったので、苦手な方はご注意願います。あと趣味で先生がニーソです。

クオリークレストで辺獄の書の手掛かりを得たサイラスたちが次に向かっているのは、ヴィクターホロウという町だ。そこにはオルベリクのかつての友であり、ホルンブルグ滅亡の決定打となった男の手掛かりを知る者が居るという。
ヴィクターホロウと言えば、ウッドランド地方でも有数の交易の盛んな町だ。オルベリクの旅の目的地で、もしかしたら埋もれた稀少本も見つかるかもしれないと思うとサイラスの足取りは軽かった。――昨日までは。

「サイラス、大丈夫か?」
「あ、ああ……大丈夫だよ」
「少し休憩するか」
「いや、まだ前回の休憩から一時間も経っていない。もう少し先に進もう」

今朝になって、サイラスの足は突如として重たくなった。鬱蒼とした森の湿った土を踏み締め歩いていると、すぐに息が上がる。オルベリクはそんなサイラスを心配し度々休ませてはそれとなく原因について問うが、恥ずかしくてとても口にできなかった。

(まさか……生理だなんて、言えるわけがない)

性器からの出血に伴い、下腹部の痛みや全身の倦怠感、果ては頭痛まで誘発されている。サイラスは元々生理に伴う体の不調が大きい方ではなかった。アトラスダムで暮らしていた時は、このような状態でも平然と授業をし研究に没頭していた。
自分では旅を楽しんでいるつもりだが、やはり知らず知らずのうちにストレスを感じたり体に負担がかかっているのだろうか。通常の周期から大幅に遅れたせいか出血量も多く、万全の体調とは程遠い。

……はぁ」

痛みを逃がすように、重たい息を吐く。ちくちくと針を刺されているかのように痛む下腹をさすりながら、懸命に足を動かした。
すると半歩前を歩いていたオルベリクが足を止め、サイラスも同じように立ち止まる。何事かと問う前に、彼は黙って剣を抜いた。前方の茂みが不自然に揺れ、長い尾を持つ魔物であるマモットが数匹飛び出す。

「一体一体は強くはないが、数が多いな」
「ああ。彼らは火炎魔法に弱いが、ここは森だ。少し範囲を狭めて放つから、取り漏らしたものは任せるよ」
「分かった」

短く打ち合わせをして魔導書を開く。鋭い頭痛に集中力を乱されながらも、言霊を舌に乗せる。

「炎よ……燃えろ!」

山火事を起こさないように、威力を保ちながらも出力を抑える――だが、意識しすぎた魔法はいつもより格段に威力が弱かった。仕留めきれなかった魔物の内数匹をオルベリクが斬るが、残った群れが反撃に転じる。

「っ……!」

単純な突進攻撃に歯を食いしばるが、踏ん張りがきかずに滑るように転倒する。腰や尻を強打したが、地面で呻いていては格好の的となってしまう。すぐに体勢を整えようと立ち上がると、視界が白く明滅した。

「あ、あれ……

真っすぐ立っていられず、足がもつれて数歩後ずさる。太陽の光がやけに眩しくて、白くて、かと思えば暗く塗りつぶされて、よく見えない。視覚や聴覚、五感のすべてが閉ざされてゆき、サイラスの意識は途切れた。



――っ危ない!」

ふらりと傾いたサイラスの体を利き腕と反対の手で抱きとめる。顔色は蒼白で、瞼は力なく閉じている。外傷はほぼなく、頭を打ったわけでもないとなると体の内側から来る不調だろう。
手負いの魔物を一匹逃してしまったが、深追いするほどでもない。剣を地面に置き、小さな手を握る。

「サイラス、大丈夫か? 声を出さなくても良い。聞こえているのなら指を動かしてみてくれ」

そう呼びかけても反応はなく、グローブを外して手首で脈を取ると少し遅い。彼女は今朝から調子が悪そうで、しきりに腹を擦っていた。昨日までは特に体調不良もなかったし、夕飯はオルベリクと同じものを食べている。そうなると症状は一過性のもの、恐らく女性特有の月経による貧血か。
荷物から毛布を取り出し木陰に広げ、サイラスの体を横たえる。貧血だとすると衣服の締め付けを緩め、頭部を低い位置に置いてやればいずれ意識も戻るだろう。ローブの留め具を外し、胸元のタイを引き抜く。

……俺には言えん訳だな)

サイラスは体調不良の原因に心当たりはあったようだが、問うても曖昧に誤魔化していた。まぁ寧ろ、その態度こそがオルベリクに勘付かせる要因でもあったのだが。
ベストの前を開け、ブラウスのボタンを上から二つ外す。傷跡もなにもない透けるような白い肌が露わになるが、目を逸らすように視線を下に向ける。スカートのホックを外して靴を脱がせ、足を上げてやろうと両足を抱えてはたと気がつく。

(一応、靴下も脱がせておくか)

丈にもよるが、出来るだけ楽な服装にしたほうが意識の回復も早まるはず。そう思いながら彼女の膝に触れ、脚を撫でるように徐にスカートの中に手を入れてゆく。オルベリクが思っていたより靴下の丈は長く、膝上までが覆われていた。しかもソックスガーターで留めているようで、流石にそれを目視せず外すのは不可能だ。
腿には太い血管が多く、血流の流れを良くしたい今脱がせないという選択肢はない。少々躊躇ったもののオルベリクの決断は早かった。

……悪い、サイラス」

小さく謝罪しながらも、スカートの裾をゆっくりと捲くり上げる。下着が見えないすれすれまで持ち上げ、ソックスガーターの留め具を両足分外す。そして柔い太腿に指を食い込ませながら、するすると靴下を下ろした。無防備に投げ出された真っ白な脚は長く、なめらかな曲線を描いている。

「っ……

思わず、ごくりと生唾を飲み込む。サイラスの脚はただ細いだけではなく、程よく肉がついており、しなやかな脚線美が美しい。普段は靴下に覆われていて目にすることのない足先を見ると、ほんのり桃色に色付いた丸い爪がきれいに並んでいた。
ともすればいつまでも眺めていそうになるが、サイラスの小さな呻き声に我に返る。とにかくスカートを下ろしてやろうと裾をつまみ上げたときに、オルベリクは気付いてしまった。――白い太腿を伝う、一筋の鮮血に。

(け、経血……

どくどくと自分の鼓動の音がやけに大きく聞こえた。倒れる前に垂れたのか、途中まで真っ直ぐ垂れたあと、内腿を這うように赤い痕を残している。生理的なものだと理解していながらも、色白い腿を血液が伝うさまは破瓜の光景を連想させた。
もしサイラスが望んでくれたらオルベリクはその手を取り、彼女の純潔を食い破るのだろう。処女に特別な価値があるとは思っていないが、サイラスの初めての男になり、彼女を女にすることを想像すると体の芯が燃えるように熱くなった。震える手でハンカチを取り出し、彼女の脚を拭いて今度こそスカートを下ろした。
荷物の上にサイラスの足を乗せ、体を冷やさないように腰から下にもう一枚毛布をかける。そこでようやく、オルベリクは大きく息を吐いた。

***

サイラスを安静に横たえた後は、放り出した剣を拾い手入れや荷物の整理をしながら彼女が目覚めるのを待った。オルベリクが思っていたより少し早く、小さな呻き声とともに身動ぐ。

「ん……
「サイラス、大丈夫か?」
……オルベリク……? わたし……
「横になったままでいい。気分はどうだ?」

ロイヤルブルーの瞳がぼんやりとオルベリクを見上げる。倒れたときより顔色は良くなっているが、まだ無理は禁物だろう。

「少し……楽になったかな。すまない、戦闘中に倒れてしまうなんて……
「気にするな。……悪いが貧血のようだったから、衣服を少し緩めさせてもらったぞ」
「ああ、世話を掛けた…………?」

不思議そうな声を上げた次の瞬間、かっとサイラスの顔が真っ赤になった。毛布の中で膝を立て、恥じ入るように体を丸める。

「あ、あの、ソックスもあなたが……?」
……他におらんだろう?」
「そうだけれど……

素肌を見られたことが恥ずかしいのか、もごもごとサイラスはらしくもなく言葉を濁した。とっくに裸も見られているのに今更ではないかと思うが、そういう初心なところが可愛らしいので指摘する気はなかった。

……無理をさせて悪かったな、サイラス」
「あなたが謝ることじゃないんだ。私の方こそ、自分の体調管理が出来ていなくて……足を引っ張ってしまいすまなかった」
「いや、旅を続けていればこういうこともあるだろう。しかし、毎回こうなのか?」
「えっ……ええと……

暗に体調不良の理由に触れてやると、サイラスは目を丸くし、さっと視線を逸らした。暫く間を置いて返ってきた声は、平時に比べたらとても小さい。

……い、いつもはもっと楽なんだ。でも、今回は周期が乱れてしまったせいか酷くて……
「そうか。ヴィクターホロウに着いたら、薬師に診てもらった方が良いかも知れんな。大きい街だから女の薬師もいるだろう」
「そんな大事ではないよ……酷いのは最初の数日間だけだから」
「体の不調は放っておかないほうがいい。毎度この調子ではお前も辛いだろうし……何より将来子供を持ちたいと望んだ時、悔やむような事になってはいかんからな」

すると、サイラスはオルベリクに背を向けるように寝返りをうつ。絹のような細い黒髪から覗く耳は、燃えているかのように真っ赤だった。

「子供……それは、あなたと……?」
……お前が望むのなら。だが誰が相手になろうとも、お前の体を大事にすることは変わらない」
「そう……
……このまま少し休んで、動けるようになったら野営地に適した場所まで移動しよう。それでいいな?」

華奢な背中に語りかけると、こくりと小さく首を縦に振る。
こういう時にもう少し気の利いたことが言えるような自分だったら、どれだけ良かったか。一陣の風が吹き、揺れる木の葉の音に紛れ込ませるようにため息をついた。




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