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雪華
2020-01-16 21:44:14
1160文字
Public
テリサイ
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【テリサイ】もう、決めた
テリサイってかテリ←サイの短い独白話。リクエストいただいたテリサイで切なめなお話とのお題で書いてみました。
恋とは実に不可解で、多くの矛盾を孕む感情だ。
例えば、彼の羽が生えているかのように身軽で、どこにでも行ける自由なところが好きだと思う。それなのに時折考えてしまう。どこにも行かずに、ずっと一緒に居てくれたら良いのにと。彼を縛るたった一つの枷が自分ではないことに妬ましさすら感じてしまう。
(全く
……
振り回されてばかりだな)
数歩先を歩く背中を眺めながら、小さくため息をつく。自分にはとんと縁のない感情だと思っていたが、彼と出会ってから知ってしまった。そしてもう知らなかった頃の自分には戻れない。
テリオンを挟むようにアーフェンとトレサが並び、両脇から何やら話しかけている。楽しげな様子の二人を手で払うような仕草をしながらも、テリオンは話に付き合っているようだった。共に旅を始めてすぐの頃より幾らか丸くなったその姿が嬉しい反面、ちくちくと胸が痛む。
(私は一体、どうしたいのだろうか?)
それは何度も、何度も自分に問いかけてきたことだった。テリオンに恋をしていると気づいた時から
――
。ずっと答えを出せずに悩んでいたが、最近サイラスはようやく解を見つけた気になっていた。
あの日どういう話の流れで、テリオンが切り出したのかはあまりよく覚えていない。互いに少し酒が入っていてサイラスは気分が良かったし、彼も同じだったのか少し唇が緩んでいた。普段は自分の過去については口を噤んでいたテリオンが、ぽつりぽつりと語ったのだ。ウェルスプリングで対峙した男。彼との出会いを。彼にされたことを。
(そうだ、私はあの晩に決めたんだ)
その時、びゅうと強い向かい風が吹いた。慌てて帽子を押さえるトレサの姿も、風に揺れた木々すらもサイラスの視界には入らない。ばさばさと揺れる紫色のストールが、柔らかな髪がふわりと揺れる様に視線が釘付けになる。テリオンの色素の薄い髪は、陽の光に当たるときらきらと輝いているようでとても綺麗だ。
「
……
なんだ、サイラス」
視線に気がついたのか、不意にテリオンが振り返る。その観察するような視線に晒されると、近頃は少し落ち着かない。前髪を整えるふりをしながら少し下を向いて視線を外した。
「すまない、少し考え事をしていてね」
「ほう、何を考えていたんだ?」
もう決めたのだから悩んではいけない。何があっても、揺らいではいけない。そうやって自分に言い聞かせていないと、膨れ上がった感情に押し潰されてしまいそうだ。
「
……
キミに嫌われそうなことを、考えていたよ」
キミが好き
――
その言葉は、仲間として信頼されている以上絶対に口にしてはいけないものだ。彼の信頼を裏切って踏み躙るような行為をすることは、サイラス自身が許せない。
曖昧な笑みを浮かべたサイラスに、テリオンは怪訝そうに眉をひそめた。
***
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