雪華
2019-08-27 22:01:51
2262文字
Public テリサイ
 

【テリサイ】間違いを数えて【現パロ】

※現パロです。しれっと同棲してます。テリサイの事前(意味深)の話。

真夏の茹だるような暑さは鳴りを潜め、夜には秋の気配も感じるある日のことだった。
シャワーを浴びてベッドが二つ並ぶ寝室の扉を開けた時、テリオンの頭を悩ませる事態が襲いかかってきた。一足先にシャワーを浴びた恋人が寝室にいることは、扉の隙間から漏れる明かりで分かっていたことだ。しかし問題はその格好、否、行動であった。

……サイラス」
「ん」

にこりと微笑む整った顔は、八つも歳上だとは思えないほどどこか幼さを残す。無邪気なほどの笑顔とその唇に咥えられたものはアンバランスでいっそ倒錯的ですらあった。つまりどういうことかと言うと――サイラスは寝間着のボタンを外し白い素肌を見せながら寝台の上に座り込み、コンドームを咥えていたのである。この際色気のない笑顔を差し引いても尚、散々美しい体を暴いた夜が思い起こされ否応なしに体の芯が熱くなる。
テリオンだって男だ。あからさまな誘いにぐっと来るものがないと言えば嘘になる。しかしそれよりも気がかりなことがあり、無意識にこめかみに手をやった。

「一応聞くが……何をしているんだ?」
……おや? 誘ったつもりだったのだけど……なんだか難しい顔をしているね。あまりお気に召さなかったかな?」

ふっくらとした形の良い唇から半透明の袋を奪い取ると、漸く喋れるようになったと言わんばかりにつらつらと話し始めるが……テリオンが気がかりなことはたった一つ。この朴念仁がどうやってこんな事を知ったか、ということであった。

……一体どこでこんな誘い方を知った?」

自分で調べて知ったというのならまだいいが、誰かにそうしろと教わったというのなら問題だ。そんな事を言ってくる相手は純粋な親切心など持ち合わせておらず、邪推――もっと言えばこの学者先生がどうやって男を誘うのか興味があるということに他ならない。空想の中でだって、彼が他人に性的な目で見られることがテリオンには我慢ならなかった。
テリオンの地を這うような低い声にサイラスは戸惑いながら首を傾げる。

「すまない、テリオン。そんなに嫌いだったかい?」
「今は好みの話をしているわけじゃない。どこで、知ったんだ」
「ああ、実は今日生徒からの提出物の中に……

サイラス曰く、生徒からの提出物のファイルをチェックしている時に、不要なファイルがあることに気が付いたらしい。もしかしたら参考資料かと思い開けてみると生徒の極々個人的なコレクションであったということだ。

「女性のグラビア写真のようなものだったかな。直ぐに関係のないものだと分かったから生徒には連絡を入れて削除したのだが、見てしまった記憶までは消せないだろう? だからふと気になってね……
「ほう?」
「水着を着て避妊具を咥えた写真があってね、なるほど若い男性はこういうものが好きなのかと」

手を顎に遣りながらサイラスは大真面目に話す。つまり生徒と同じくらいの年齢のテリオンもそういったシチュエーションが好きかもしれない、という可能性を検証すべく冒頭の行動を起こしたということか。
妙な相手にセクハラまがいの事をされた訳ではないということが分かりほうと息を吐く。どうにもこの男は無防備で他人の悪意に鈍く、テリオンはいつも気になっているのだ。

……理由は分かった」
「うむ、キミの疑問が解消できたなら良かった。しかしキミには効果がなかったようだね……いや、前提が間違ってるな。同じシチュエーションでも私でなく女性だったらキミも喜んだかも――

サイラスの言葉はそれ以上続かなかった。見開かれた碧眼がぼやけるほど距離を縮め、彼の唇をテリオンのそれで塞いだからだ。たっぷり柔らかい唇の温度を味わい離れると、サイラスは熱っぽく息を吐く。

……あんたは間違ってる。誰も喜んでないとは言っていないだろう?」
「えっ……し、しかし、その……怒っているように見えたから、好きじゃないのかと思ったんだが……
「苛立ったのは否定しないな。どこで知ったのか気になったのもあるが……
「ん……

ちゅ、とリップ音を立てて触れるだけのキスをすると、サイラスは瞼を閉じてもっとと誘う。小さく笑みを零し誘われるままに唇を合わせながら、彼の背に手を遣りゆっくりとベッドに押し倒す。

「あんたの単純な誘いに、その気にさせられたのが悔しかった……というのもある」
「その気に……なったのかい?」
「させられたんだ。他でもない、サイラス……あんただからだ」
「そうか……ふふ、そうかい。私だから、か……

嬉しそうに唇を緩ませ微笑む様が堪らなく愛おしい。そして白い肌が、朱に染まった頬が、潤んで宝石のように煌めく瞳が――狂おしく劣情を煽る。先程サイラスの唇から奪い取った物を見せつけるように指先に挟み、自分の口元に運ぶ。

「だがサイラス、あんたの間違いはもう一つ残ってる」
「ん……? どういうことだい?」
「俺を煽っておいて、一回きりで終わると思ったのか?」

ぱちぱちと数度瞬きしテリオンの言わんとすることを理解すると、かっとその頬が林檎のように赤く染まった。常日頃は真っ直ぐに真実を見据える瞳が、らしくもなくうろうろと視線を彷徨わせる。

……ええと、それは、その……お手柔らかに、頼むよ……?」
「さあ、それは保証できないな」

再び唇を合わせながら、今度は顕になった素肌に手を伸ばす。甘い悲鳴を呑み込みながら――可愛らしい恋人を、隅から隅まで味わったのは言うまでもない。





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