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雪華
2019-06-01 11:47:38
2633文字
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テリサイ
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テリサイにょた
あっためているネタがあったのを思い出した。後天性/某1/2パロディがベース。
サイラスは水が苦手らしい。
川辺や海辺を歩く時はいつも縁には近付かないし、野営が続いて川で水浴びをすることになっても、彼は布巾を濡らして固く絞ったもので体を拭くだけだ。
ある時どうしてそんなに嫌がるのかと問うてみると、泳げないのだと苦笑が返ってきた。一行の中でも特に運動能力の低いサイラスが泳げないことは想像の範疇だったが、テリオンにはまだ何か理由があるように感じていた。トレサでも膝までしか浸からない浅瀬であっても、彼は近付くことすら拒む程なのだから。
その日は運が悪かった。
男四人での移動だったが、魔物の縄張りに足を踏み入れてしまったのか、少々強敵と遭遇してしまった。足止めをしながら逃走し、向こう岸に渡ろうと石造りの橋を渡ろうとした時
――
そちら側からも魔物が迫り寄っていた。
「チッ
……
まずいな、どうする?」
「片側を倒して突破するしかないだろうな。向こう岸の魔物は対峙したことがある、あちらを倒して先に進むぞ」
「おう!」
「あ、ああ。そうだね」
先陣をテリオンが切り、殿をオルベリクが務める。その間に挟まれたサイラスはうろうろと視線を彷徨わせ明らかに戦闘に集中できていなかった。だからこそ、あんなことが起きてしまったのだろう。
オルベリクが片側の魔物を抑え込んでいる間に、もう片側を三人でどうにか蹴散らした。
「よし、先に進もう!」
「おい、待てサイラス
……
!」
やっと橋を渡りきれると思い安心したのだろう。駆け出したサイラスの背中に手を伸ばしたが後一歩届かない。茂みの中に隠れていた四足の魔物がサイラスに襲いかかる
――
。
「サイラス!」
「先生!」
「っあ
……
!」
体勢を崩したサイラスは、魔物諸共派手な水飛沫を立てて川へ転落した。助けを求めるように一瞬だけ上がった白い手が沈みながら遠くなってゆく。
「やべっ、先生泳げないんじゃ
……
!」
「アーフェン、後は任せた!」
剣や短剣を投げ捨てるように外し、そう叫ぶが早いか川へ飛び込む。刺すように冷たい水に一瞬息を詰めたが、しっかりと目を開いてサイラスの姿を探しながら泳ぐ。
すると直ぐ先に藻掻いている彼の姿を見つけた。魔物も泳げる種類のものではなかったのか、急流に振りほどかれたらしく近くに姿は見えない。ばたばたと手足を動かしながらも水面に上がれていないサイラスの腰を抱きかかえ、ふと違和感を覚えた。
(
……
細すぎる)
こんなにサイラスの体は細かっただろうか。水を含んだ衣服も妙に緩いような気がするが
――
いや、考えるのは後にすべきか。堪えるように瞼を閉じたサイラスは、それでも助けが来たことは分かったのかテリオンのポンチョにぎゅうとしがみついていた。
岸に手を掛け、水中から顔を出す。しっかりとサイラスの体を抱え直して岸に上がった時、ぐにと柔らかく弾力のあるものが腕に触れた。
「はぁっ
……
げほ
……
ぅ、はぁ、はぁ
……
っ」
「
……
サイラ、ス
……
?」
咳き込む彼の背を擦ろうと手を伸ばし、思わずテリオンは一歩身を引いた。
前屈みになり地面に手を付き苦しそうに息を吐くサイラスの胸元には、あってはいけないものがある。濡れて張り付いた服が余計にその箇所を主張しているようだった。
先程テリオンの腕に触れたものの正体
――
それはどう見たって、女の体にある乳房にしか見えなかった。
「はぁ
……
助かったよ、テリオン
……
」
声まで甘く変調し、よくよく見れば喉仏もない。服が緩くて当然だ、体が一回り程小さくなっているのだから。ようやく落ち着いたのかサイラスが顔を上げ、目を白黒させるテリオンを見遣る。
「
……
サイラス、だよな?」
「ああ、そうだよ。まさかこんなことでばれてしまうとは思わなかったな
……
気をつけていたつもりだったが
……
」
「女だった
……
訳ではないな」
宿で一緒に湯浴みをしたことは何度もある。その時のサイラスの体は、傷跡の一つもないことを除けばテリオンの体と変わらなかったはず。濡れて頬に張り付いた髪を退けながら彼は、いや、彼女は頷く。
「キミも知っている通り、私は列記とした男だよ。ただ少々変わった呪いを受けていてね、水を被るとこうして女の体になってしまうんだ」
「
……
だから水辺を嫌っていたのか」
「ああ。元に戻るには少し時間がかかるから、なるべく水に近付かないようにしていたんだ。
……
さてテリオン、キミに一つお願いがある」
「なんだ」
いつもと変わらない光を宿した碧眼が、いつもより丸みを帯びた顔に嵌っている。あまりにもおかしな事に夢でも見ているのかと思うが、明らかにこれは現実に起きていることだ。
「この事は、皆には内緒にしていて欲しいんだ。キミの胸中にどうか留めておいて欲しい」
「
……
構わないが、隠すようなことか? 笑うようなやつらじゃないだろう。寧ろあんたが困っているなら手を貸してくれるはずだ」
「そうだろうと思うよ。ただもう解呪の方法も知っている以上、手を貸してもらう必要もないからね」
「分かっているなら、何故呪いを解かないんだ?」
普段はテリオンを少し見下ろす視線が、今は真っ直ぐ交わっている。不意にその視線が外れサイラスは困ったように笑う。
「
……
分かっていても実行できない方法なんだよ」
「難しいのか」
「ああ」
短く答えるだけに留まった返事は、今はこれ以上話す気がないということと同意であった。普段良く喋るサイラスが、笑みを浮かべたまま黙ってしまうことに妙な薄ら寒さを感じていた。
「
……
分かった、あいつらに黙っていれば良いんだな」
「助かるよ。ありがとう、テリオン」
思わぬ形で触れてしまったサイラスの秘密。今は語りたくないという態度の彼女に、テリオンは従順に頷いてみせた。
安心したように笑った顔はやはりどこかサイラスらしくなくて調子が狂う。はぁと溜息を一つ吐いた。
***
冒険の途中お湯が用意できないのがネックなので、もう「聖火神へのお祈り」or「他者とのキス」でもとに戻るようにしたい(少女漫画~~~~!)
呪いなんだからお祈りでもとに戻るのは有りだろ!ねえ!!!(必死)
呪いを受けた理由は先生が10~13歳頃に、めっちゃメンヘラな女の子からの告白を(無意識に)断ってしまい逆恨みを受けたとかそういうの。だからキスで元に戻って良いんだよ(必死)
あとお風呂場でうっかり水をかぶったりするラキスケ展開は必ず欲しい
***
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