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雪華
2019-02-13 20:49:44
1698文字
Public
オルサイ
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【オルサイ】甘いもの【現パロ】
しれっと現パロでしれっと付き合ってる二人のバレンタインです。
「はい、オルベリク」
二月十四日、世間はバレンタイン一色で賑わっている。サイラスとオルベリクは一つのソファーに身を寄せ合うように座る仲だが、仕事上の付き合いはあれどあまり関係のない行事だと思っていた。だからこそ不意打ちのように渡されたそれを見て、オルベリクは目を見張ってしまった。
「おや、そんなに驚くことかな?」
「
……
お前がこのような行事ごとに興味を持つのが、少々意外でな」
「そうだね、今までの私なら行事の歴史についての興味はあれど自分を当事者として捉えはしなかっただろう。しかしこうしてあなたとお付き合いを始めると、不思議なことに恋人同士の行事だと言われるものに自然と興味が湧いてね。ここは一つ興味のまま、あなたにチョコレートを贈ることにしたのだよ」
つらつらと述べながら渡された箱の中身はチョコレートらしい。黒いシックな箱に赤いリボンが掛けられたそれを受け取ると、サイラスは得意げに続けた。
「やってみたら意外と面白いものだと気づいたよ。まず贈る側は相手の食の好みをある程度把握していることが必要となる。今時はチョコレートだけではなく、他の甘味やいっそ食べ物以外を贈るという選択肢もあるからね。何を贈るか決めたら今度は自分のイメージする装丁のものを探し出し
……
」
楽しそうに語る様子を見ると、バレンタインという行事は彼の知的好奇心を満たすには充分だったらしい。なにやらオルベリクへの贈り物は好奇心のついで、と取れなくもないがまあサイラスはそういう男だ。素直に彼が選んだという贈り物を受け取ることにした。
「
……
そうか、ありがとう」
「ふふ、開けてみてくれるかい」
勧められるままに箱を開けると、中のチョコレートは一つずつゴールドの包装紙に包まれていた。一つ摘んで包装紙を取り口に入れる。スイートチョコレートの風味は、彼が自分に贈ったにしては少々甘すぎる、そう思いながら奥歯で噛むととろりとチョコレートの中から液体が溢れた。
「
……
ウィスキーボンボンか」
「そうだよ。あなたに何を贈るか色々考えたのだが、やはり初めは定番のチョコレートにすべきかと思ってね。しかし普通のものはつまらない。そう考えた時にこれを手に取っていたんだ。私も食べたことがあるものだから、味は保証するよ」
「なるほどな」
「どうかな、気に入ってくれただろうか?」
「ああ」
「それは良かった!」
サイラスは花が開くように整った顔をほころばせて笑う。彼なりに自信を持って選んだものだったが、オルベリクが喜んでいるのを見て安堵したのだろうか。そう思うと胸が締め付けられるような愛おしさがこみ上げてしまう。
もう一つチョコレートを取り包みを開き、それをサイラスの口元に運ぶ。首を傾げる彼に、いいからとそれを口に含ませそのままキスをした。
「ンッ
……
?!」
驚いて逃げそうになる後頭部に手を回し引き寄せる。抗議の声をあげようと開いた唇に舌を差し込み、甘いチョコレートを溶かしながらサイラスの口内を貪る。薄いチョコレートが融けるのにそう長い時間はかからず、溢れ出たウィスキーとオルベリクの唾液をサイラスは零すまいと懸命に飲み下した。
「っはあ
……
もうっ、いきなり何をするんだい」
「俺がもらったんだ。どう食おうが俺の自由だろう?」
「それはそうかもしれないけど、あれは食べたと言えるのかな
……
」
「言えるだろう。お前の味がして美味かったぞ」
「~~~~
……
っ!」
普段はよく喋る唇がわなわなと震え、結局言葉は出ずに引き結ばれた。今更これくらい恥ずかしがるような仲ではないはずだがサイラスはすっかり赤面してしまっている。そんな初心な所が可愛らしくて、庇護欲と僅かな嗜虐心がくすぐられてしまう。
「
……
サイラス。もっとお前を味わいたい」
「もう
……
私はチョコレートではないよ、オルベリク」
「分かっている。お前はもっと甘美で
……
飽きさせず、俺を夢中にさせる」
そう言いながら腰を抱き寄せると、満更でもないのか熱っぽい瞳がこちらを見上げる。その唇に啄むようにキスをすると甘いチョコレートの味がした。
***
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