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のから
2014-09-15 08:18:32
828文字
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死神と少女 - text
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譬えばうちの話(七紗夜)
七葵母視点
(最近、心なしか元気がないような気がする)
――
と、心配していたうちの三男坊が、これといった前置きもなく、目を疑うほどの美少女を家に連れて帰って来た。
午後のやわらかな陽だまりのもと、兎とじゃれつつ縁側でまったりしている。全くもって兎は暢気で羨ましい。ところで、お茶を持っていこうと思うのだが、果たして彼女の口にこの安物の茶葉で大丈夫なのだろうか。
――
もしかして騙されているのではないか、とすこし不安になりもした。息子ながら人の見る眼のある男だとは思っているが、いかんせん実直な男である。けれど、梅と杏を膝に載せ撫でつづける息子の手を、彼女がむすりと唇を結び、恨めしげに見詰めていたのを見て、どうやら要らぬ心配だったらしい、と夫と二人で顔を見合わせた。
むしろ彼女は息子がいつのまにか抱え込んでいた淋しさを、なんとか埋めようとあれこれ尽くしているようでもだった。
お台所お借りしてもよろしいでしょうか、と澄んだ声で丁寧に尋ねられた
――
ものの、包丁を握る白い手は細かく震え、指先には真新しい切り傷が看て取れた。
「その傷は
……
」
彼女は顔を赤く染めてぱっと手を後ろへ隠した。「消毒はちゃんとしたの?」
不用意に怯えさせぬよう慎重に尋ねれば、大きな瞳がはっと瞠いた。私は彼女の手をとり、水道水に浚わせた。手当ての一部始終を半ば呆然と眺めていた彼女の、「なつかしい
……
」との呟きを耳にして、その瞳をみる。
夜を思わせる眸には明らかな寂寥が浮かんでいた。胸の奥がにぶく痛むのを感じながら、この淋しさを息子は看過できなかったのかもしれないと思った。そして愛したのだろう、とも。夫のそうしたところを、七葵は息子として確かに受け継いでいた。
「せっかく綺麗な手なんだから大事にしなくちゃ、駄目よ」
些か叱るように言うと、彼女は何故だか眩げに目を細め、
「はい、ありがとうございます」
そう花が咲くように微笑んで、あどけなく頷いた。
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