Dr.ギャップ
2024-12-19 22:28:10
7394文字
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『鴉の巣』制作振り返り

ツイステッドワンダーランドのイメ季語と二次創作俳句の同人誌『鴉の巣』の制作振り返りメモです。
【制作過程】と【楽しかったところ】の二本立て。


『鴉の巣』とおまけペーパー2種
通頒はこちら



制作過程


●コンセプトを決める
 コンセプトというと大袈裟ですが……「こういう本を作りたい!」の「こういう」が浮かんだところから始まりました。
 もともとツイステキャラのイメ季語を集めていたのですが、数がある程度たまったところで「せっかくイメ季語を集めたなら俳句を作ってみるか」→「せっかくイメ季語も俳句も集めたんだから本にするか」と、「せっかくなら」が連鎖する形で本を作ることを決めました。「本を作る」は自分にとってそんなに身近な行為ではないのですが、コレクションとして形にするならwebより本かな~という感覚があって本にしました。
 オールキャラで全キャラ収録数を均等にしよう、というのはこのとき決めていたのですが、じゃあキャラクターあたりイメ季語と俳句をいくつ収録するか(最終的に6つずつ)、キャラごとに季節を均等にするか、というところを詰めていきました。収録数については、主に当時のイメ季語・俳句ストックの状況や、本にした時のページ数(作る本に厚みが欲しいタイプ)との兼ね合いで設定しています。季節ごとのバランスについては、春夏秋冬新年それぞれある程度揃っていた方がいいよなと思いつつ、ここを縛るとイメ季語集めと俳句作りが大変そうなのでやめました。とはいえ、最終的に極端な偏りが出なかったので良かったです。

●イメ季語を集める
 おおよそ次の二つの方法で季語を探しました。

①キャラクターのキーワードとして思いつく言葉が季語であるかどうか確かめる
②歳時記をめくってキャラクターっぽい季語を探す

 歳時記はもっぱら『新版 角川俳句大歳時記』を使っていたのですが、紙の歳時記だと中間一致検索などはできないので、たまにweb歳時記の力も借りました(どうしてもこのキーワードに引っかかる季語が欲しい!というときなど)。web歳時記で使っていたのはもっぱら夏井いつきのおウチde俳句くらぶ「俳句季語辞典」ですが、本を作り終えてから近所の図書館の契約データベースに歳時記が含まれていることに気づき、そちらのお世話にもなりました。有料だけあって検索の便利さが段違いだったのですが、収録季語数が『新版 角川俳句大歳時記』の五分の一もないんだよなと思うとやや心もとなくもあり……
 イメ季語探しをしていて面白かったのが、好きな/目が行きがちなキャラクターほど季語がストックされるとは限らないことでした。同人誌に収録しなかったイメ季語と俳句はほとんどすべて感想フォームの回答お礼ペーパーに収録しているので、これを見ていただくとキャラごとのストックの差が一目瞭然なのですが……イデアが多いのは分かるけど、レオナさんこんなに増えるか~!!と思っていました。そしてまたデュースくんやアズールの季語がなかなか集まらず……好きなのに……!!

●俳句を作る
 イメ季語集めと並行して行っていました。俳句は経験が本当に浅く、ほぼ初手で本を作りはじめてしまったので「本当にこれで合ってる!?」と不安になることもしばしばでした。ただ、作った俳句を読み返して(これは良いのでは……早く世に出したい……!!)と思うこともあり、これを力に作業を進めました。

●レイアウトを決める
 本を作ろうと決めた当初から「句集」ではなく「イメ季語作文と俳句の本」にしようと思っていたのですが、それをどう形にするか=どういうレイアウトでイメ季語作文と俳句をまとめるかは考えどころでした。
 俳句は俳句でまとめてイメ季語作文は巻末や別冊にまとめようかなという案も当初はあったのですが、俳句→イメ季語作文へのアクセスが便利な方がいいよなというのが決め手で、今回のレイアウトを選びました。具体的には『偶然短歌』という本のレイアウトを参考にさせてもらっています。同一ページ内に俳句とイメ季語作文を収める都合上、文庫や新書ではなく大きめの版型を選んだのですが、のちに表紙イラストを依頼する際に「せっかく表紙も大きいし!」となったのでその点でもよかったです。
 この本のレイアウトはちょっと珍しいんじゃないか&頑張って設定したのを自分の手元にだけ置いておくのはもったいないということで、書式テンプレートの配布をしています。本文以外に目次や奥付、あとがきなどもそろっているのでぜひ使ってやってください!

●俳句+イメ季語作文の配列を決める
 す~ごく楽しかったです! 普段短歌を並べるのには苦手意識があるのですが、今回やたら楽しくて楽しくて……
 まず大きな並びについて、『鴉の巣』は季語を軸に遊んでいるし、俳句たちも季節で並べようというのは早めに決まりました。悩んだのは①どの季節を起点に置くか、②新年をどう扱うか(春→夏→秋→冬→新年? 晩冬は年明け後なのに?)の二つでした。
 結局「秋→冬→新年→冬→春→夏」としたのですが、理由としては、学園オールキャラの本ということもあり秋入学→夏卒業をもう一つの軸に採用したのと、新年の前後を冬で挟んだ方が季節の巡りとしては自然だろうと思ったからです。
 各季節の中での並びは、全体の流れというよりも「前後の移り変わり」と「見開きになる二句セット」を意識しつつ配列を決めました。お気に入りの見開きが無数にあります!

●イメ季語作文を作る
 俳句を揃えてから書きはじめたかな……? 季語選びと俳句作りは同時に進めていたのですが、さすがに配列は全句揃ってから決めにかかったし、作文も収録句が確定してから書きはじめたはずです……
 あくまでイメ季語作文であって俳句の解説ではない、ということを心掛けつつ書きました。とはいえイメ季語作文に書いているのは「どうしてこのキャラにこの季語を合わせたいと思ったか」なので、そこを基点に俳句を作ったものに関してはかぶっている部分もあると思います。
 また普段は各種敬称を付けて呼んでいるキャラクターも多いのですが、作者とキャラクターの距離感が見えると嫌な方もいるかなと思ったので本文中では敬称略にしました。おまけ類は舞台裏のようなものだと思っているので、手癖通り敬称付きで呼んでいます。

●入稿用データを作る(レイアウトを調整する)
 俳句もイメ季語作文も、ここまでの作業は入稿用のレイアウトは使わずに編集していました。今回使ったレイアウトは編集が手間なので、ギリギリまで流し込みたくなく……あと通覧性が悪いので配列を考えるには向かず……なので、もろもろ内容を決定した後に入稿用レイアウトのデータにコピペで移していきました。
 とはいえなんだかんだ「やっぱりここ変える!」は多々することになり……! 収録句の差し替えで配列をごっそり変えた部分もありました。


=本文原稿完成=



●表紙制作を依頼する
 表紙は依頼しよう、というのは原稿を作っている間にぼんやり決めました。自分は絵が描けないのとデザイン全般に苦手意識があるので、無理に自力で頑張って悔いを残すよりも誰かに依頼したい→印刷所のセミオーダーもあるけどせっかく本を作るならとっておきにしたい→だったら一番頼みたい人に依頼しよう!! と、ここも「せっかくなら」の積み重ねが起こり、最終的に清水の舞台を飛び降りるような気持ちで依頼メールを送信しました。

●奥付や目次などの事務ページを作成する
 これが苦手でですね~やらなくちゃと思いつつ後回しにしていました! なんなら表紙の完成原稿をいただいた後に作った部分もかなりあります。表紙を待たないといけないものではないので並行して進めておけばよかったものを……
 テンプレート類は使用せず、他の方の同人誌を参考にさせていただいたりしつつ手探りで作りました。奥付の文面自体は以前に発行した小説同人誌のものを流用し、マシュマロの代わりに専用の感想フォーム(Googleフォームを利用)のQRコードを掲載しました。回答後のメッセージにお礼ペーパーのURLを表示させたかったので、マシュマロよりGoogleフォームが便利かなと。
 なお最後に完成させたのは「あとがき」で、これは本当の本当に入稿直前に確定させました。

●発行スケジュールの最終調整
 もともとイベント合わせでもなくのんびり作っていた本なのですが、そろそろさすがにのんびりしすぎというか、表紙の完成データも頂戴し、具体的に発行日を決めて残り作業を進めようと腰を上げました。この時点でおまけの準備を始めており、うち一部は夏をテーマにしていたので、どうにか夏のうちに発行したいなと思っていたのですが、試し刷りを挟むとちょっと無理だな……になり……とはいえ今年は夏が長かったので涼しくなるまえに出せればいいか!と今さらながらに焦りつつ進めていきました。

●試し刷り
 素敵な表紙を作っていただいたので絶対絶対絶対に印刷ミスしたくない!と、本番と同じ印刷所さんに試し刷りを依頼したのですが、結果的に本文レイアウトの調整に非常に役立ちました。試し刷りを経て文字サイズや余白をこまごま調整したのですが、このおかげでとても読みやすいレイアウトになったと思います。表紙は試し刷り段階から綺麗に刷りあがって一安心でした。

●感想フォームとおまけ類の用意
 自分は本を頻繁に作るタイプではないので、せっかく本を作るならおまけも作ろう! というのはもうちょっと早い段階で決めていました。
 さて、とはいえ何を作るか、というところで、ペーパー「ツイステッドワンダーランドと季語と俳句の紙」は早めに案として固まっていました(最初は「ツイステッドワンダーランドと季語と俳句と短歌の紙」でしたが)。本には盛り込めなかった「イメ季語のここが楽しい」を詰め込めたら良いなと。あと自分の「できること」を使って形にするなら、テキストベースでデザイン要素の薄いもののほうがいいだろうという判断もありました。
 カード「Summer Blue」は、もともと上記ペーパーに収録する予定だった短歌が独立したものです。Wordで文字色をグラデーションにできることに気づき、これで遊びたいな!というところから「グラデ文字色を活かしたカード」という形に辿り着きました。もともと青系の色が好きでグラデも青系で遊んでいた→青っぽいチームが好き→青色に関連する季語を探して青っぽいチームの短歌を作ってみようという形です。なお、紙の厚さとサイズは栞として使いやすいようにと選びました。
 双子の紙の毛のグリーンを差し色に混ぜるのを断念したので(色味のバランスが取れなかった)、グラデ文字はまた遊びたいです。

●入稿&完成本到着!
 使用した印刷所は、冊子がちょ古っ都製本工房さん、カード「Summer Blue」のがプリンパさんです。ペーパー「ツイステッドワンダーランドと季語と俳句の紙」は印刷所は使用せず、一般的なプリンターで出力しています。いずれもトラブルなどなく無事に完成しました。完成品の受け取り後は通頒ページを開いたり告知ツイートをしたりなどあるのですが、この辺りは割愛します。

★まとめ
 あらためて振り返ると、段取りというものがほぼない進行でした。本を作ろうと決めたのが2023年の初夏とかで、発行まで足掛け一年以上かかっています。さすがにのんびりすぎる……!! 〆切がないと無限にのんびりにしてしまうことが今回はっきり分かったので、次回は早めに発行日を設定して意識するようにしようと思います。



こだわったこと・楽しかったことなど


●俳句の並び替え
 うえにも書いた通り俳句の並びを考えるのが無性に楽しかったです! 見開き作るの楽しい~!!
『鴉の巣』は学園オールキャラ本なのですが、自分はコンビやグループに惹かれがちなところが強くあり……それをここぞとばかりに見開きで主張できるのが楽しかったです。もともと好きなコンビだから並べることもあれば、作った俳句が対の気配をまとっていたので見開きにしてみたり。
 普段は連作を組み立てるのはむしろプレッシャーで、(どう並べたらいいんだ……? 並べたら歌が足りなくなってきたんだが……?)となったりしています。けれど今回は本当に楽しくて、それは下のような理由によるのかなと思います。

□配列の大枠として季節の流れが使える。
  1. 秋(入学)→冬→新年→冬→春→夏(卒業)
  2. 各季節の初→仲→晩
におおよそ従って並べていたのですが、これがガイド兼縛りになって心強かったです。

□各ページ一句のみの配置は全体の見通しが悪くなる。
一冊を通して「初めから終わりまでの一連」の印象が薄くなり、流れを作らなくてはというプレッシャーが薄まったように思います。見開きをまたぐと流れが少し途切れるような気がして、話題が変わることになってもあまり気にせず並べました。

□見開きごとに「見せ場」を作るぞ!と思えて組み合わせを考えるのが楽しい。
オールキャラ本にコンビを仕込ませることができるという点においてもこのレイアウトはすごく画期的では……!? と思っています。

●新年季語は全員一つずつ選出&「初○○」で統一
 季語選定にあたって季節数に関する調整はしなかったのですが(各キャラで全季節一つずつとか、季節ごとの季語数が均等になるようにとか)、新年のみ例外で、一人一つずつ季語を選びました。
 というのも、歳時記をめくっていると新年の季語が「初笑い」、「初夢」、「初日記」、「初風呂」など「初○○」であふれていて、こんなになんでも「初」で季語になるんだ!! と面白く感じたからです。季語は「春夏秋冬+新年」という五つの季節に分けられるのですが、新年は春夏秋冬からは外れて特殊な立ち位置に見えるし、じゃあちょっと変則的に遊んでみようという思いつきもあって、全キャラ「初○○」縛りで季語を一つずつ選んで、配列も寮順としました。

●おまけ2種+感想フォームのお礼ペーパー
 こだわり詰め込みまくりました……
『鴉の巣』は「イメ季語遊びを楽しんでいる様子を見てほしい」と思いながら作っていました。だから俳句だけでなく、季語だけでなく、イメ季語作文だけでなく、セットで詰め込んでいます。イメ季語を探すのも、見つけた季語をもとに俳句を作るのも、「このキャラにはこの季語だ!ってこういう理由で思います!」とイメ季語作文を書くのも全部楽しかったのですが、他にもイメ季語の楽しみ方ってあるよな!! と思っていたので、本に入れられなかったものをおまけに託せたのはすごく嬉しかったし作っていて楽しかったです。
 カード「Summer Blue」は見た目も格好良く作れたのが嬉しく、かつ、「イメ季語って必ずしも俳句につなげなくても/つながらなくてもいいんじゃないか」ということをどこかに入れたかったので、「季語入りの短歌」という形でそれが果たせてよかったです。

□ペーパー「ツイステッドワンダーランドと季語と俳句の紙」の収録内容
  ・俳句「偽 ハートの女王の法律集(抄)」
  ・俳句「寮服寮長の7句」
  ・ツイステゆかりの季語詰め合わせ
  ・ぼんやり作文1号
  ・ツイステキャラ誕生日-季語早見表
  ・フロイド作のあだ名どれだけ季語か調べてみた

「ツイステゆかりの季語詰め合わせ」、「ツイステキャラ誕生日-季語早見表」、「フロイド作のあだ名どれだけ季語か調べてみた」の三大まとめは作って楽しく見返して楽しく、見てもらった人にも楽しんでもらえると良いな!と思いながらツイステっぽい季語をあちこちから集めて詰め込みました。季語、時期に合わせたものだからキャラの誕生日からも探せるし、フロイドのあだ名はかなり季語だ!(季語には水辺の生き物も多い)と思って調べたら必ずしもそうではなかったり、キャラに限らず学園生活っぽい季語や各イベントイメージの季語も収録できたり、本当に「詰め込んだ!!」という感じです。
 ペーパーにも俳句をいくつか収録しているのですが、特に「偽 ハートの女王の法律集(抄)」はずっと作りたかったので形にできて嬉しかったです。ハートの女王の法律(っぽく見えるかもしれない)俳句たち。もともと夏の季語で作っていたのですが、発行が後ろにずれたので夏~秋の連作になりました。
 感想フォームのお礼ペーパーは凝ったことはしていないのですが、もったいない精神で未収録のイメ季語と俳句をほぼ全部詰め込み+全キャラに作文を書き下ろしました。なのでボリュームはかなりあります。

●表紙
 表紙を作っていただいた吉隠さんはずっと大好きな作家さんで、「表紙を作ってもらうなら……」と考えた時、真っ先に思い浮かんだ方でした。【大好きな作家さんにオーダーメイドの新規イラスト描いていただける】って、あらためて考えてもすぐには信じられないくらい凄い。しかも【好きなキャラの好きな衣装】とか【自作を踏まえてイラストを描いていただく】とか……作っていただいた表紙から「ああ、自分はこの本でこういうことがしたかったんだな」と気づくこともあり、本当に嬉しく得難い体験でした。
 また、作っていただいた表紙に合わせて表紙用紙を選ぶのも楽しかったです! 緊張もしましたが…… 表紙用紙のペルーラは前作の『spell! spell! spell!!』のときも使ったのですが、そちらはクリアPPを重ねており、今回マットPPを重ねたことでで印象がガラッと変わったのが印象的でした。ペルーラはパール状の光沢がある紙なのですが、マットPPを重ねると光沢が控えめになり、白や黄色など彩度の高い箇所は光の当たり方で少しキラキラ、黒など彩度が低い箇所はマットな質感で、表紙イラストの夜闇の暗さと光の明るさがそれぞれ引き立つようで素敵でした。題字下の満月とか、エペルくんの橇の上の鏡とか、オルトくんのボディと羽とか、光の当たり方で控えめに光るのがとっても好きです。

□表紙用紙:ペルーラ スノーホワイト 180kg
□オプション加工:PP加工(マットPP)