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らぎ
2024-12-18 23:19:39
574文字
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モノノ怪
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離坤ドロライ第五回「庭」「鈴」
またの名を手ックスもどき
軒に吊られた硝子の風鈴が、ちりんと涼やかな音を立てた。尤も涼やかなのは音だけで、今現在十翼の季節は茹だる様な盛夏である。
「
…
離の方、暑くないんですかい?」
風鈴の下、中庭に面した縁側に腰掛けてそう問う坤の薬売りの左手には団扇、右手はと言えば隣に陣取った離の薬売りが何やら己が手指と絡めている。藍染めの浴衣を纏った美丈夫ふたりの姿は、見るものがいれば浮世絵の如き風情と言ったであろう。
「手であれば
…
暑くはありません。それに、貴方の手はひやりとして気持ちが良い」
そう言いつつ紫苑色の指先が墨色の爪から指の関節をするりとなぞり、皮膚の薄い部分を撫でてゆく。ついと手のひらを親指の腹で擽られ、坤の薬売りは小さく息を詰めた。
離の薬売りにその気があるのか無いのかは表情の薄い
顔
かんばせ
からは窺い知れないが、坤の薬売りの手よりはやや小さく滑らかな手に包まれ辿られると、どうにも弱かった。有体に言えば閨の触れ合いを容易く想起させられてしまう。
坤の薬売りが悶々とそんな事を考えている間にも、離の薬売りの手の動きは大胆になっていく。右手から伝わる感覚が明確に艶を帯びてきたところで、坤の薬売りは憮然とした声を上げた。
「離の方、さては分かってやっておられる」
「さて
……
ね」
いかにも態とらしくしらを切る離の薬売りの頭上で、忍び笑いの様に風鈴が揺れた。
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