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ぬこ尻ryo
2024-12-18 21:16:53
1696文字
Public
ワンドロ企画など
剣と深淵
『マナの新緑祭』で書かせていただいた上裸デュランが書きたかった話です。
エロもなんにもない。
紅蓮没後のデュランが頭の中のモヤモヤを打ち消すために鍛錬に励んでいるシーン、、、だと思います。
※特に表現はしていませんが根底にある妄想は紅デュのようです。
※18.12.2024
誤字脱字修正
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「自分の命半分と引き換えに、魔法の力を手にれる、、、か」
デュランは己の半身である抜き身の大剣を眺めながら独り言ちた。
誰に聞かせるでもなく、頭の中でだけつぶやいたはずの言葉は、彼の声となって空気を震わせた。
その声の振動に合わせるように、大剣の刃が、ギラリと輝いた。
フォルセナ城内、剣士たちの鍛錬場。
世界にマナの力が戻り、平和が訪れたのち、デュランは亡き父の跡を継ぐように黄金の騎士の名を襲名した。
彼の立場は今や一介の傭兵ではなく、国王の側近である近衛兵団団長だ。
常に国王の傍に仕えその身を護衛をするだけではなく、外交の際にも顔を出す必要がある。
以前に比べて業務内容に重要性が増えただけでなく、人々の前にも顔を出すことが多くなり、日々の業務は多忙になっていった。
それでも。
少しでも時間ができるとデュランは鍛錬場に現れて、剣の手入れはもちろん剣術の訓練を行っている。
騎士の鎧兜を脱ぎ、身一つになって大剣を握りしめる。
自分の中に燻っているわだかまりを払しょくするかのように、一心に剣を打ちこむ。
剣を振っているその瞬間だけは、何事にも縛られることなく、ただの「デュラン」という一人の青年に戻れる。
なんの柵もなかった、世界を救うという偉業を果たす前の自分に。
目を閉じて、耳と全身の神経を研ぎ澄ます。
すらり、と剣を構える。
ココロの深淵の向こうに視える存在に向かって地面を蹴る。
間合いを詰めた瞬間に、急所を狙い突き、手首を返して切り上げる。
間髪入れず剣先を切り返し、薙ぐ。
一連の行動が終わると、デュランは構えを解く。
すうっと、一度深く息を吸い、肺に満ちた空気をゆっくりと吐いた。
そして、ゆっくりとまぶたを開く。
鍛錬場から見える空は、一面漆黒の闇に覆われていた。
今日は月明かりのない、新月の夜。
こんな夜はとくに、ココロのわだかまりが蠢きやすい。
精神統一には向いていないが、己自身と向き合う鍛錬には、ちょうどよい。
鍛錬を開始してから一刻はすぎただろうか、デュランは壁際に置き去りにされていた木箱の上に、腰を下ろした。
石造りの壁に寄りかかり、体重を預ける。
夜の空気で冷えた壁が、発汗して熱を帯びたデュランの体温をゆっくりと奪っていく。
頭に上っていた血液が、解けるようにするすると、デュランの四肢に戻っていく。
デュランは、大剣を抱きながら、目を閉じた。
まぶたの裏には、相変わらず深淵が視える。
深淵の向こう側にいる存在からは、デュランの姿が認識できているのだろうか。
デュランには、そこからあの男の最期の言葉が聞こえてくるというのに。
あの時の、紅蓮の魔導師の言葉がデュランの脳裏によみがえり、彼は大剣の柄を握りしめる手のひらにぐっと力を込めた。
喜びと、諦めと、哀しみ。
そのどれもがふさわしいようで、何かが違うようにデュランには思える。
あれから何年たっても、いまだに正解がわからない。
だから、分かり合えなかったのだろうか。
あの男が何を願い、何を望み、何故あのような道をたどることになったのか。
他に、選ぶ道はなかったのだろうか。
「死んじまったら、それで終わりじゃねえかよ」
ココロにいまだ燻るわだかまりは、後悔の念から生じるものなのだろうか。
不意にデュランは、ぶるるっと、身震いした。
汗が夜の空気に冷やされてデュランの体温を奪った。
デュランはすくっと立ち上がり、湿ったインナーを脱ぎ捨てた。
彼の体に刻み込まれた歴戦の証である傷跡が薄闇の中にうっすらと浮かび上がる。
軽く腕と脚を伸ばすと、彼は再び自分の相棒である大剣の柄をしっかりと握りしめた。
そして再び、刀身を真一文字に構えた。
磨き上げられた鏡面のような刃を通して、深淵の向こう側が垣間見えるような気がした。
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