誰にも見られないようなひとだからか、本人も何処を見ているのか分からないようなところが有った。分かり易く本を手に持っていてそちらに顔が向いていれば流石に、見て、読んでいると分かるのだけれど。
そういうことろも有るものだから、アイコンタクトを勧めてみたのだ。彼からしたら、勧めたどころか、やらされたと認識しているかも知れない。
しかし、いざはっきりと、こちらを彼に見られている状況が作り出されると、その視線ははっきりと輪郭を持った。他の誰の介入も許さない、一瞬の交錯。だからそうしてみると、彼が何処を見ているのか分からないような時は、本当に何処も見ていないのかも知れないと思った。
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