先日行ったイベントの紅茶フェアで衝動に身を任せて手当たり次第に紅茶を買った。紅茶缶がなんだ、持つのは自分じゃないから関係無い。幾ら力が有っても短い荷造り紐ではバランスが重要だ。そうして出来得る限りの紅茶を買い込んだ。荷物持ちの小男はそれに文句は言わないが空腹は訴えて来る。
そんな買い物をしてから数週間、流石に買った紅茶の種類によっては在庫切れを起こしていた。買った種類自体が多いから、あの時買った物の全ての消費にはまだ底は見えていないが、何せ買った時は大量だったし、あの男にも飲む許可は与えて居るので、兎に角今の正確な残機が知れなかった。
そうしてごそごそと漁り終わって、新しいお茶の買い出しの目処を経てたところで見回せば、そこには缶では無く瓶が並ぶ。
小さな瓶に自然とあの男を思い浮かべる。この香辛料の持ち主だ。小さいのはおんなじだがここ迄では無い。
小瓶の中身は粒の大きさがまばらに詰まっていて、悪戯に蓋を開ければ紅茶とはまた違ったスパイシーな香りが漂う。また増えたなと漠然とそう思うものの、こっちのほうが数が知れ無い。一つ手に取って香りを嗅いでみたが、結局のところ正直良く分からない。
今し方在庫を確認した紅茶達の中から気分を選んで湯を沸かす。
あの男が戻ったら、あいつにも淹れさせよう。きっと、紅茶と香辛料の香りを、上手く混ぜ合わせる筈だ。
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