厨二を地で行く上、それに不自然さの無い、正に天然の厨二天帝魔王様の仰せになられることは、下々の者にはさっぱり分からない。とは言え指示を出すご立派なお立場に相応しく、言い回しが独特なだけでその内容は的確かつ端的で、結論から言うと非常に分かり易い。
類に漏れず一般の下々に含まれるオレは、なので赤司に話し掛けられたら先ずその賜ったお言葉を脳内翻訳しなければならない。幻の六人目となれ、影になれ、旧型を超えろ。いやなんのこっちゃ。分からん分からん。挙句、馴れ馴れしい、タメ口どころか命令口調、呼び捨てしかも下の名前の方。オイ。
だがこれが赤司征十郎なのだ。
内容さえ分かればその優秀さは火を見るよりも明らかだし、初めにその外見の良さと圧倒的なオーラがこちらにその話に耳を傾けさせる強制力が有るので、偉そうだろうが高圧的だろうが距離感がバグってようが、それが赤司様が赤司様たる所以と言わんばかりの説得力を持ってしまい、相手に認めさせ納得させてしまう。
でもなあ、言葉選びがどうしても厨二なんだよなあ。でもなあ、赤司だしなあ。
だから厨二語録にそれなりに慣れ親しんではいるものの分類的にはまごうことなく一般人であるオレにとって、その言葉をそのまま受け取ることにイミなんてない。
敗者に価値は無いと言ったところで、赤司以外には価値のあるものであり、その人間それぞれの価値観は当然赤司にも適用されるので、単に他人と価値観を共有するのは難しいという、それだけの話だと思うし。
全てに勝利するなんて非現実的なことを言われても、それはそれくらいの気概でありそれに着いて行くために駒として扱われることにわざわざ目くじらたててる余裕なんかないんだと置き換えるしかないし。
道具になれと言われて、オレがそうなればアイツが勝てる算段をつけられるというのなら、別になってやってもいい。実際、それで新たに立て直そうとしていた、独りでも。それが出来なきゃお前誰だって話だからな。
ほらな、だからいちいち翻訳しなきゃならねえんだ。それが赤司征十郎なんだから。こっちに意図を分からせようとするんだよ、赤司様だから。
だいたいアイコンタクトで察しろと言われた時だって、天帝の眼だかを持ってる本人と同じことをしろと言われたら相手にしなかったが、こちらでも出来そうなことを提示して来たから付き合ってやったんだ。実際世の中には様々な身体能力がある、なんなら個性と言っても良い。価値観と似たようなものだ、人それぞれによる。寧ろ厨二語録を通さないアイコンタクトのほうが、面倒が少ないこともある。
「それで、黛さんが高校ご在学中の頃と比べて、赤司征十郎は分かり易くなりましたか」
「は?んなもん変わるわけねえだろ」
言ったろ、面倒が少ないこともある、現在進行形だろうが。
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