木蔦(キヅタ)
2024-12-15 22:32:27
3431文字
Public ちょぎくに シリアス
 

お守りを製造するまんばの話【ちょぎくに】※刀剣破壊あり


ちょぎくに
※刀剣破壊表現が出てきますが、ハピエン。

まんばは顕現した頃から不思議な力を持っていた。政府刀になる予定だったが、御神刀と同様の種類の力を持っているため、ある神社に預けられる。

そこでは政府の依頼でお守りを製造していた。願いを込めて霊力を注げば、刀剣破壊を防げるお守りが作れる。
人手が足りないからとまんばもそこへ配属された。最近刀剣破壊の危険が高まる戦場が増えた。

石切丸に教えられ、不器用ながらなんとか作れた。
ただし他の刀よりも力が弱いため、一日数個しか作れない。

お守りは万屋に卸しているのだが、依頼は政府なので、たびたび政府の戦闘支援部署から使者が来る。この前は宝物断片を発見したとかで、復元させるための方法はないかと相談しに来ていた。

その使者がよりによって長義で、いつも「まだお前は半人前なのか」とか「足手纏いなら政府に戻ったらどうかな」とか嫌味を言ってくる。(そのたびに石切丸が「国広さんは頑張ってるから」とか「素質はあるから慣れればすぐだよ」とかフォローしてくれる)

実はまんばは長義のことが好きだった。

嫌味を言うのも、霊力の弱い写しが神社で不自由な思いをしていないか、いじめられてないか、疎まれてないか、気にかけてくれてる。
毎度最後に石切丸に「不要になったらいつでも相談してくれ」と締めくくる。それは「うちで引き取るから」という言葉が隠れてるとまんばは知ってる。

まんばは長義のために御守りを作ろうと決意する。どうせなら御守り極を!危機に晒された時にまんばの代わりに長義を守ってくれる御守りを!と気合を入れる。


しかし長義のことを考えて力を込めるがどうにも上手く作れない。
御守り極など作ったことは何度もあるのに長義のことを考えるだけで失敗してしまう。

(石切丸からは『御守り極の半分の力しかないけど、これはこれで使えるよ!別製品として政府に提案しようか』と言われたが断った。半端で情けない失敗作を知られたくない)

(これは恋の見込みはゼロだから諦めろっていう神のご意志かもな

と半分諦めかけていた。

一方、時間遡行軍との戦いは激化していた。青野原では非常に強い敵が現れ、正体不明の飛行隊を見たと言う情報があったため政府は調査に乗り出した。精鋭部隊を編成し向かわせたのだが帰ってこない。

不審に思い、分析などに長けている戦闘支援部署に話がやってきた。
危険度が高いため、精鋭部隊を交えて調査に行くことに。

長義がその部隊に選ばれたことをまんばが知る。まんばは心配で心配で、長義に会いに行く。

「絶対に戻ってきてくれ」
神社から持ってきたお守り極を手渡す。石切丸が作ったから効果は問題ないはず。

「お前は自分の心配したらどう?石切丸殿から失敗作の相談をされたんだけど?」
「内緒って約束したのに!」
「費用がもったいないし、だけど数も少ないから、新種のお守りとして有料オプションで本丸に配布することにしたから」
「はぁ!?」
「こ・れ」

チラつかせられたのはピンクのお守り。金色だと極と見分けがつかないから、外側だけ変えたらしい。

反対しても「もう会議が通った」と言われワーギャー騒いだ挙句、神社に帰ってきた。
帰ってから話がすり替えられて、誤魔化されたと気づく。

そしてその後、調査部隊が全滅したとの一報が届く。

極のお守りを渡したのに何故……とまんばは目の前が真っ暗に。

再三の調査部隊に石切丸も同行することを知る。まんばはねだり、説得し、食い下がりに食い下がった結果、刀の姿で石切丸の腰に差した状態でなら、とOKが出た。調査部隊に着いていくことに。

調査部隊の目的は1回目と2回目の調査部隊の刀がどうなったのか、もし可能なら刀の破片の回収。

部隊は森の奥へと進んでいく……

(石切丸が同行を依頼された理由は、霊的な敵では?物理的な攻撃が効かない相手では?呪い的な何か?などを判断するため)

しかし調査部隊は襲撃に遭い、散り散りになる。襲撃時にポロッと落とされてしまったため、まんばはひとり取り残される。

まんばは危険を承知で長義を探す。せめて破片だけでも持ち帰りたい。しかし敵に見つかりそうになり、誰かから口を塞がれる。

「お前、なんでここにいる」

ボロボロになった長義だった。

無事だった事に感極まって抱きつく。

長義の話によると、一度折れたらしい。しかしお守り極によって復活、再び戦った。しかしその後謎の飛行物体の襲撃で再度折れたとのこと。

そして気づくと長義だけボロボロの状態で目が覚めたらしい。その時は飛行物体も敵もいなかった。味方だけ折れたまま転がっていた。

「なんで、長義だけ……
「これを持っていたからかも」

お守り桃。

「そんな失敗作……
「でもその失敗作に救われたんだよ」

とりあえずこの時代は危険だから他の刀と合流して帰ろうと言う事になる。

他の者たちは通信機を持っていたので既に合流していた。まんばもそこに偶然辿り着く。
ホッとしたのも束の間、実はそこは1回目の精鋭部隊、2回目の調査部隊が襲撃された場所だった。

敵が現れて襲われる。応戦するが、実はまんばは戦闘経験がない。長義がまんばを庇うように戦うがじりじりと削られていく。

不意に別の刀から長義の横に攻撃が来て、まんばは慌てて庇うように刀を振う。
「おい!前に出るな!」
「でも……!」

その隙を突かれ、敵はまんばに狙いを定めて刀を振り下ろす。急に標的にされて戸惑ったまんばは咄嗟に動けず、ただただ太刀筋を見ていた。
スローモーションのように向かってくる。しかし途中から別の物が視界を覆い、何も見えなくなった。

……っ」
押し殺したような声で我に返る。
長義が大怪我をしていた。

「長義、待て、そんな……
ズルッと身体が崩れ落ちる。
「長義、長義……!」
パキッと刀が音を立てる。

破壊。

信じられずまんばは治れと念じながら力を放出する。しかしお守り作成時でも長義を想うといつも失敗してたように、今回も雑念でうまくいかない。
もっと集中しなければと思えば思うほど霧散していく。

他の刀が戦う中、まんばは力を与え続ける。己の全てを注ぎ込み、自分が折れても構わないと思う。

「好きなんだ、頼むから折れないでくれ……!」

その瞬間、突然純度の濃い霊力の塊ができる。まんばは不思議に思いつつもそれを長義の破片に与えた。そうして長義は復活。

「国広……?」
「よか……っ」
急に力が抜けてその場に倒れる。

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まんばが起きると医務室だった。
「???」としていると長義が現れる。本当に長義が無事だったとわかり、ホッとした。

長義事の次第を説明してくれた。

あの後、まんばの力のお陰か、次々と折れたはずの精鋭部隊、調査部隊が復活。敵を撃退し、全員で本丸に帰還。それぞれHPは半分のものの、手入れ部屋で治ったと言う。

青野原の不明な飛行物体は部隊が帰還した事で情報を持ち帰れたため、解析&推測&対応策を検討中とのこと。

「あと悲報と朗報がひとつずつある」
「え……
「いやお前にとっては悲報と悲報かもしれない……
「な、なんだ!?怖いこと言うな!」

今回の事件でまんばの力がなくなってしまったらしい。

まんばが倒れた後、異常がないか検査したら、霊力が著しく低下、通常の付喪神かそれ以下になってると診断された。回復の見込みはなし。

「ということでお前はお守り作りはお役御免となった」
「おやく……
「クビだクビ!」
「ヒィ!」
「だから政府刀として引き取る事になった」
「へ?」
「ただし、お前はよわっちぃし、霊力もないから調査部隊とか無理だし、かといって対人スキルもないから相談や苦情対応が多い生活課も向いてない。事務処理も頭が悪そうだから経理課も無理だ」
「悪そうとか言うな」
「本当のことだろ」

霊力がなければ無能と言われているようで悲しくなる。

「だから、うちの支援部署で引き取る事になったから」
「は!?」
「一人前になるまで当分俺が扱いてやるから覚悟しろ」
「それって……!」

長義と一緒にいられることを知り、まんばは喜んだ。

はい!ちょぎくにハッピーエンド!お疲れ様でした!