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木蔦(キヅタ)
2023-11-05 23:10:56
3361文字
Public
ちょぎくに コメディ&シリアス
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記憶喪失強化週間③自分に気持ちを向けさせたくて薬を盛る長義の話【ちょぎくに】
長義は最近顕現した。
その本丸は発足から数ヶ月で、ほぼ新人審神者。初期刀は写し。数少ない刀で回していた。
しかし長義は写しとの対話を間違えた。号の件は抜きにしても、地雷ばかり踏み抜き、傷つけた。
少人数の本丸なのに、そのせいで写しとの会話はゼロ。
余りに写しが可愛かったせいでもある。じっと見つめられ、ドギマギして、どうすべきかわからず変なことまで口走った。異性に慣れてない思春期男子かと過去の自分にツッコミたい。
ある日、長義は万屋街にて写しを見かける。
洒落たカフェにいた。他の長義と一緒。
写しは照れくさそうに微笑んでいる。
その時衝撃が走った。
あんな顔見たことない。数ヶ月一緒に住んでるのに。
甘えたような、心底信頼してるような、そんな顔。好意が溢れ出ている。
嫉妬に狂い、苛立ちが抑えきれない。
気を紛らわすため思わず適当な店に入る。
そこは怪しい店で、緑や青の液体などが溢れかえっていた。
そこで「記憶をなくす薬」と言うのが目に入る。本物だろうかと迷ったが、店主に凄い勢いで勧められて、思わず購入。
(これで、記憶をなくせば、アイツと破局するだろうか
……
)
悪い考えが浮かぶ。迷った挙句に、写しに盛る。(毒ではないことは確認した)
写しは薬が入ったお茶を飲んだ途端倒れる。みんなが慌てて、手入れ部屋に担ぎ込んだり、看病をする。それを長義はなんとも言えない気持ちで見ていた。
写しに害があるのではという不安と、自分の都合で盛ってしまった罪悪感と、少しの期待。
目を覚ました写しは全て忘れていて大成功だった。
薬は本物だったらしい。
そこからは写しとふたりきりになるチャンスがあれば、なりふり構わず口説いた。
前は傷つけたこともあり、号の件で厳しい意見を向けた手前、プライドなども邪魔をして写しに好意を向けることが難しかった。周囲の目のせいもある。「あんなこと言っておいてどの口が?」と思われるのが後ろめたかった。
だけど写しが忘れている今なら関係は白紙に戻せる。他の者から写しにバレるといけないので、口説くのは誰もいない時に。一からやり直したい。
それにカフェで会ってた長義がいるから、手段は選んでられない。
ぐっと腕を引き、顔を近づけると写しは真っ赤になった。キョドキョドと目が泳ぐ。照れてるのか。前には無かった好感触。
「俺は、お前が好きだ」
「!」
「だから俺を好きになって?」
ぷるぷると震えている。逃げないように手をぎゅっと握った。
「な、何度も、からかうな
……
」
「からかってない」
「でも
……
」
「信じて欲しい」
真っ赤になった写しがチラリと長義を見る。信じかけてるような顔。
「これなら信じてくれるだろうか?」
長義は写しに口付けする。写しはすぐさま口元を押さえてアワアワ。
「俺と付き合って欲しい」
「ん
……
っ」
拒否されなかったのをいいことに、もう一度口付けをした。困ったような顔をされるが、その瞳に色が灯ったのに気づいた。啄むように、苦しくなるほど深く、何度も。
「ちょ、
……
ぎ
……
」
息も絶え絶えに長義の名前を呼ぶ。他でもない長義を。そう思った瞬間全てが吹っ飛んだ。
押し切る形で写しと付き合うことになった。まだ気持ちは自分に向いてなくても可能性はある。
写しが別れを切り出せないようにしてしまえばいい。外堀を埋めて、長義のことが好きだと言い聞かせて、写しが何か疑問に思っても別の事に気を向けさせた。
絶対にあの長義には渡さない。
次第に写しも心を開いてくれるようになった。微かに長義に微笑んだのを見て飛び上がる気持ちだった。
しかし同時に罪悪感が積もる。
本来国広が好きなのはあの長義で、それを無理に捻じ曲げてこの状況になってるわけで、これは国広の本意ではない。
「記憶がなくなる前から長義のことが好きだった気がする」
「前もこう言う関係だったのか?」
「そばにいると安心する。あんただからだろうか」
そう言われるたびに「それは別の長義のことだ」と口から出そうになる。
本来はこんな関係じゃない。
そしてついに、罪悪感でいっぱいになり、写しの記憶を戻そうとする。
記憶喪失になる薬を買った時に解毒剤も付いていた。
写しに飲ませる。
「え、あ、ええ
……
??」
信じられないような顔。目を見開いでガクガク。想像してたとは言え、こうまで嫌われているとは思わなかった。
写しが逃げ出す。
慌てて追いかけた。
写しを見失ってしまって、キョロキョロ。万屋街までやってきた。
そこに例の長義が現れる。極の国広と手を繋いで歩いてる。明らかに恋刀な雰囲気を醸し出している。
こっちは叶わぬ恋に身を引こうとしたと言うのに、相手は浮気していたのだ。ブチ切れた。
「貴様
……
!写しを弄ぶなんて
…
!」
「はぁ!?いきなりなんなのお前は
…
!」
「お前なんか写しに好かれる価値ないんだよ!!」
「お、落ち着いて、人違いか何かじゃないかな?」
「無価値になった重要文化財」
「国広は黙ってて!」
「浮気なんかしやがって
…
!」
「浮気?俺が浮気相手ということか?俺が本命では?というかお前この長義と付き合ってたのか?同位体を抱く趣味が?」
「だからややこしくなるから国広は黙ってて!」
「はぁぁ??うちの写しが浮気だったってこと!?」
「あーもー!落ち着いてって!!」
そこに写しが現れる。
「パパ!!」
「パパ!?」
写しが例の長義に抱きついた。
「パパ!助けてくれ!!」
「パパってなんだ!パパ活か!?」
「間違ってないな、よく甘やかしてるし」
「だーもう!お前たちは少し黙っていろ!誤解を受けるだろ!!」
〜しばらくお待ちください〜
話を聞いたところ自分達の審神者と、彼らの審神者は親子関係にあるらしい。
新米本丸の初期刀である国広は、父親の本丸の初期刀極んばによく相談をしていたそうだ。極んばの恋刀である長義もよく同席していたらしく、国広のことを我が子のように猫可愛がりしていたとのこと。
あまり親に頼るのは良くないと、最近では本丸ぐるみの付き合いはなかったため、長義は知らなかった。
『パパ』というのは『(主の)パパ殿の本歌』を略したものであり、普段はちゃんと呼んでいる。
「お、俺は国広がいるから浮気なんてしないよ
…
!」
「してもいいぞ。その代わり別れるからな」
「冗談でもやめて
……
!」
「大体娘の初期刀だからと言って甘やかしすぎなんだ、誤解されたのは十中八九あんたの態度が原因だと思うぞ」
「でもひよこみたいな写しが困ってたら与えたくなるじゃないか」
「それが甘いと言ってるんだ。少しは反省しろ、
……
それに俺も妬かないわけじゃないんだぞ」
「国広〜〜〜!」
(°台°)
……
。
ナニヲミセラレテイルンダ
「パパ殿の本歌と同位体、この後相談いいだろうか?」と写しが頼んだが「何の相談かはわかるがダメだ」と極んばにすげなく断られていた。デートだからか?
写しと一緒に本丸へ帰る。
写しは気まずそう。少し悲しい。
「記憶がない間につけ込んだは悪かった。俺の嫌な印象を覚えてなければ、俺を好いてくれるかと思ったんだ」
「好
……
!?なん
……
え
……
」
アワアワ。
「あの、長義、なんで
……
その、つ、つきあっ
……
」
「お前のことが好きだからだよ」
「
………
っ!?」
赤くなったり青くなったりしている。好かれていたのは恥ずかしいが、相手が長義なのは嫌だと言うことだろう。
「お、俺も、どうしたらお前に好かれるかずっと考えてた
…
でもわからなくてパパ殿の同位体にずっと相談してたんだ
…
」
そうだったのか
…
!
え、これはもしかして両想いでは!?
「俺はお前のこと、その、恋愛的に好きなのかはわからない」
ワカラナイー!!
「でも記憶がない間、お前にされたことを振り返って、嫌じゃ、なくて
……
」
そこまで言って、国広は黙ってしまう。顔から湯気が出てそう。
「じゃあ改めて言う。お前のこと、必ず好きにさせるから、俺と付き合って欲しい」
ちょぎくにはっぴーえん!!
お疲れ様でした!お読み頂きありがとうございました!
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