木蔦(キヅタ)
2023-02-04 14:04:10
2768文字
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バスツアー⑥バスツアースタッフのまんばの話【ちょぎくに】


ちょぎくに バスツアー⑥


バスツアー①おひとり様限定バスツアーに参加するまんばの話
https://privatter.net/p/6746264
バスツアー②親友二振りで参加したまんば達の話
https://privatter.net/p/6792602
バスツアー③レア刀剣と出会いたくて参加するまんばの話
https://privatter.net/p/6792656
※バスツアー④は本のみの収録
バスツアー⑤仲の悪い伯仲が一緒に旅行することになる話
https://privatter.net/p/9747102

※番号はあるけど単発の話。これ単品で読めます。




まんばはあるイベント企画の部署に所属している。婚活イベントという名の詐欺まがいのもの。

参加者に写しは少ない。
ネットで「このツアーは危ない」と出回っているため。

たまに迂闊なのか騙されたのか参加している事がある。

趣旨を理解しておらず、あれよあれよと本歌の手に落ちてしまう。しかし翌朝はいつも幸せそうで、これはこれでいいのか?と思ってしまう。

少し罪悪感を感じつつも、仕事だからと割り切って同位体達を見守っている。

当初はいろんな刀が参加していたが、不人気の所為で政府所属刀剣の強制参加が増えた。中でも長義が多く、「写しの参加が少ない」と苦情が来る。そんなにまで写しとの出会いを求めているのか。

まんばはスタッフだが、写しと見るや否や参加者が目の色を変えたので、人間を装って仕事をしている。

その日もまんばは人間に扮して仕事していた。ひとりの長義が話しかけてくる。

「次ってどこに行くの?」
「1日目はワカサギ釣りだけだ。その後旅館へ向かう」
「夜ご飯は部屋なのかな?」
「いや、交流を目的としてるから全員で大広間で取る」
「スタッフさんも?」
「スタッフだからな。もちろんいる」

なんでそんなことを聞いてくるのか。まさか夜這いでも計画してるのか。

実はスタッフに黙って、部屋を抜け出す参加者がいる。予定をしつこく聞いてくるのは怪しい。

夜に見回りをした方が良いかもなと思う。

「席って……
「ねえ!ちょっとこっちを手伝って」
「へ!?わかった。す、すまない。呼ばれたから」

同僚に声をかけられ、慌ててそちらに向かう。念の為同僚には今の事を伝えておいた。へぇ、と大して興味のなさそうな相槌が返ってきた。

夕食時、まだ情報を引き出そうとしているのか先程の長義に呼ばれる。どうでも良い話を色々聞かれる。

「おい、サボるな」
「さ、さぼってない!」

話の途中で同僚に首根っこ掴まれて退場。

「こっちはいいから、明日の準備しに行け。サボるなよ?」
「だからサボってない!」

渋々スタッフの控え室に戻り、明日のグループ決めのくじを作ったり、座席表を作ったりした。

次の日もその長義は話しかけてきた。
怪しいと距離を取っていると
「俺はお前に気があるんだけど」
と言われる。

「はぁ!?俺はスタッフだが!?」
「わかってる、だけど恋愛は自由だろ?」

慌てて逃げるが、なんやかんや口実をつけられて、話しかけられる。タジタジ……
2日目が終わる頃にはぐったり。

「人間に見える術は掛かったままだよな?」
「あー、問題ないよ」
「なんであの本歌は俺に付き纏ってくるんだ……!」
「本歌だからお前が写しだってわかるのかもね」

疲労感でぐったりしてるまんばを同僚が労わってくれる。

それからもぐいぐい来られ、ついに3日目の夜になる。

いいなと思った参加者の名前をアンケートに書き、マッチングしたらカップル成立になるのだが、例の長義が書いたのはスタッフのまんば……

「憎いね〜」
「む、無効票だ!」

しかしこんなに熱烈に思われて、悪い気はしない。勝手に頬が熱くなる。

スタッフの控え室に例の長義が押しかけてきた。

「俺と付き合って欲しい!」
「な!」
「俺の想いは伝わってるだろ?仕事だとか関係なく、俺をどう思ってるか考えて欲しい」
「しかし
「それならツアーが終わったら個人的に会ってよ」
「いや、でも……
「ごめんね、ツアーの規定でスタッフとの個人的な接触は禁止されてるんだ」

同僚が代わりに断ってくれる。長義は尚も食い下がったが、色々同僚に論破され、渋々帰って行った。

「助かった」
「別に」
長義の写しに対する執着ってすごいなと実感した。

「結局今回はマッチングなしだったね」
「部屋をキャンセルしてくる」
「待って、余った部屋はスタッフで使えばいいよ。ちょうど人数分あるし、当日キャンセルは宿泊費と同額支払いだから変わらない」
グレードの良い部屋なので、その提案はそそられる。
他のスタッフもいいねと同意し、一人一部屋で泊まることになる。

まんばは豪華な部屋に目をキラキラさせる。職場のお金でこんなに良い部屋に泊まれるなんて!

早速部屋備え付けの露天風呂を堪能しよう!と用意をしていると人が訪ねてくる。
それは同僚だった。

「どうかしたのか?」
「今回付き纏われて大変だっただろ?差し入れ持ってきた」
「!」

同僚に部屋に上がってもらう。
差し入れに舌鼓を打つ。

「お前って無防備だよねぇ、俺はいつも心配だよ」
「どこがだ、俺ほどしっかりした写しはいないぞ」

というか参加者の写しが迂闊すぎる。いつも本歌に丸め込まれる。自分は絶対にああならないと反面教師にしていた。

今回はぐいぐい来る強引な本歌に少しときめいてしまったが。

「いつもそれとなく装ってたけど、今回は本当に気が気じゃなかった」
「よそお……?何の話だ?」
「お前を手の届く範囲に留めておきたいって思ったよ」
「一体、何を……
「こんな男を部屋に入れて、だから言ったんだ」

畳に押し倒される。

「無防備だって、俺の写しは」

ちょぎくにはっぴーえん〜〜°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!

とりあえずバスツアーシリーズはこれで終わりです!気が向いたり、書きたくなったら書くかもしれませんが終わりです!

■どうでもいい設定

・夜中、参加者長義くんはスタッフまんばに夜這いに行きます。しかしスタッフ長義くんに見つかり、事なきを得ます。(まんばは一切気づいてません)

・本編で『同僚』と書かれた人物、セリフは全て長義くんです。

・スタッフ長義くんは少しずつまんばとの距離を詰めて行くつもりだったのに(もしくはこの関係のままでも心地いいからいっかと思ってたのに)まんばの参加者長義くんへの満更でもない反応に危機感を感じた。一気に火がついた。