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木蔦(キヅタ)
2021-09-12 15:13:21
5852文字
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よく重傷になる長義くんと折れたいまんばの話【ちょぎくに】※暗い話だけどハピエン
ちょぎくに
※暗い話。折れるとか言ってる。最後はハピエン
まんばの本丸に長義が顕現した。まんばに会った途端、ギロリと睨みつけられる。
まんばはびくびく。
よく見ると長義は顕現したてなのに怪我をしてる。聚楽第で怪我したのか、もしくは政府で何かあったのか。
「て、手入れ部屋に
…
!」
「必要ない」
「しかし」
長義はまんばに何か言いたそうにするも、何も言わずに行ってしまう。
「???」
部屋でひとり、ぽつりと漏らす。
「早く、折れないだろうか
……
」
憎しみを込めて毒を吐く。
まんばは午後から出陣部隊に組まれてる。午前は新人部隊が出てるからそれと交代で出てく予定。
しかし新人部隊が帰城し騒然となる。長義が重傷寄りの中傷。
「大丈夫か!?」
「早く主を呼んでこい!」
「そっち持ってくれ!」
慌てて手入れ部屋に担ぎ込まれる。
まんばは運ばれていく長義を見てることしかできなかった。その時に心なしかまんばを睨んでいた気がした。
ある別の日、この本丸の初鍛刀から言われる。
「なぁなぁまんばちゃん、長義となんかあったのか?」
「何かとは?」
「この前まんばちゃんのこと根掘り葉掘り聞いてきて、しかも顔がマジなの。こぇ~!なーんか世間話してるって感じじゃなくてさー。」
「顔がマジ?」
「なんか必死って言うか、ヤりそうな犯罪者の目っていうか」
なんだそれ怖いな、とまんばは思う。そしてそういえば初日からずっと睨まれていたなと思い出す。
「あまりに怖いから知らぬ存ぜぬで返したぜ」
「すまない」
長義はよく血だらけになってることが多かった。部隊の他のメンバーは軽傷程度なのに、長義だけ酷い怪我。他のメンバーを気を配ってるようだが、気がつくと大怪我で倒れてるらしい。
もしかしたら本人が折れるような無茶な戦い方をしてるのかもしれない。その証拠に長義はメキメキと練度が上がっている。
毎回これでは周りに迷惑がかかる。一言言った方がいいか、とまんばは長義の所へ行く。
「はぁ??俺はちゃんと自己管理できてる。どこかの偽物くんとは大違いだよ!」
「しかしこの所ずっと重傷で
…
」
「俺の心配をしてるなら、近づかないもらえるかな!お前がいると迷惑だ!」
まんばは長義のことがどうしても気になって、審神者に頼み、お守りを買ってくる。
しかし長義を怒らせてしまう。
「必要ない!」
「しかし
…
」
「俺は折れない
…
!だからいらない!」
「でも」
「もっとヤワな刀が持てばいいんじゃないかな!あー、お前が一番なまくらだと思う刀に譲るよ!」
まんばは困ってしまう。長義のために買ったのに、断られ、しかもなまくらに譲ると言われてしまった。
長義がいらないなら刀装が少ししか持てない短刀にあげたいが、今の大声でのやりとりを聞いていたら気まずい。なまくら云々は悪口
…
。
(少し時間を置いて渡すか
…
)
それまではまんばの手元に置くことにする。
ある日宴会が開かれる。審神者の祝いの場で、みんなどんちゃん騒ぎ。ご馳走も出て、まんばは舌鼓を打つ。
酒好きは浴びるほど飲んでる。そこに長義が巻き込まれたのか酔い潰れていた。
誰か部屋まで連れて行ってくれないかと思ったが、みんな話や酒に夢中で、長義のことなど気にかけてない。
まんばは自分が連れてってもいいが、まんばだと知れば長義は不快に思うだろうかと思う。
しかしここまで酔い潰れていれば意識もないor朦朧としてるだろうし、明日覚えてないかと考え直した。
まんばは長義を部屋に送り届ける。
布団を敷いて寝かせると、長義が目を覚した。バレてしまった!とぎくっとする。
しかし長義は微笑んでまんばを手招きする。
「国広」
しかも名前呼び。
固まってるまんばに痺れを切らして、長義がまんばを引き寄せる。そのまま抱きしめられる。
「かわいい俺の写し」
優しく抱かれ、なでなでされ、ドキドキしてしまう。
このギャップはなんだ??酒のせいか??
「ずっとそばにいろ」
「えっ」
「離したくない」
「えっと
……
」
いや今は酔っ払ってる所為でおかしなことになってるだけで、離してもらわないと朝誤解を受ける。
スヤァ( ˘ω˘ )
長義はまんばを抱きしめたまま寝た。まんばは困り果てる。離してもらえないからそのまま寝ることに。
しかし夜中長義の様子がおかしいことに気づく。
生暖かい液体が腕につき、まんばは目を覚ました。血が二人を中心に広がっている。たらたら垂れてくるほどの量。
まんばの体は何ともないため、長義が怪我をしていたのだと気づく。
「て、手入れ部屋
…
!」
慌てて長義を担ぎ込んだ。
部屋であんな大怪我をするわけがないから、長義は怪我を隠して宴会に参加していたんだろうと思う。
なぜ隠していたのか。運んだ時全然気づかなかった。もしかしたらその時に傷口が開いたかもしれない。
怪我を隠すなんて要注意だなとまんばは思う。長義をよく見ていなければ。
しかし起きた長義に怒られる。
「お前の心配はいらない!どこか行け!虫唾が走る!」
顔を歪め、そう吐き捨てられてしまい、まんばは仕方なく手入れ部屋を出る。
まんばはしょんぼり。
初期刀なのになんて不甲斐ないことか。やはり写しだからかもしれない。
上手く本丸をまとめられていない。長義にすら頼ってもらえない。きっと頼りないと思われてるに違いない。それどころか不快にさせるばかり。
他の刀もそう。まんばに頼ろうとはしない。
仕事をしてる刀にまんばが手伝おうかと声を掛けると苦笑いして断られる。恐らく嫌われているか、頼りないと思われている。近侍として認められてない。
こんな自分はだめだ、もっと努力しなければ、と思うが、理想には追いつかない。
まんばは自室で机に突っ伏す。
「折れたい
…
全部から逃げ出したい」
ささやかな願いをそっと呟く。
言葉に乗せて。
「早く、折れてしまえばいいのに
……
俺なんか
……
」
それ以降も長義は何度も重傷になった。まんばは見ていられず、何度も長義に話をしに行ったが、聞いてもらえなかった。
向こうは向こうでまんばに言いたいことがあるようだった。口を開くが何も発せず閉じるもいうことが何回かあった。
何なのかわからないまま、日々過ぎて行った。
そして不思議なことが起こった。
畑当番の時、痛みを感じて腕を見るとつー
…
と血が滴ってる。地面を見ればポタポタとたくさんの滴が既に落ちてる。
「え!?え!?」
鎌や鍬で切った記憶もない。なぜ??
畑当番の片割れに見つかり、手入れ部屋に入れられた。
厨当番の時、カレーを煮込んでいたはずなのに、視界に赤いものが見えた。それはおたまを伝って、カレーに入るところだった。慌てて腕をおたまごと引っ込める。
いつのまにか手首に傷が出来ていた。血がおたまを伝っていたらしい。
刃物を触った覚えも、皿を割った覚えもないのになぜこんな傷が??
不思議に思うが心当たりがない。
手入れ部屋に押し込められる。
幾度目かのことだった。
「お前それ
……
」
長義に見つかり、顔を歪めてる。
「いやいつの間にか怪我してて」
「
………
」
「たぶん俺がぼーっとしてたんだと思うんだが」
「
………
」
いつも傷は深い。まるで刀で斬られたかのよう。でも軽傷レベル。
「あ、兄弟〜!出陣部隊に欠員が出ちゃって、主さんの命で兄弟が補充要員に指名されたよー」
「え?」
「ダメだ、偽物くんはこれから手入れ部屋に」
「わかった兄弟!今支度する!」
はーい!と堀川が返事をして去っていく。
「おい
…
!」
「これくらいの怪我問題ない。今日出陣予定は行き慣れた所だし、新人レベリングの付き合いだろ?」
「ダメだ、許さない」
そういえば部隊に長義も入ってたな、それでまんばと同じ部隊なのが嫌なのか、それで反対してるんだなと思う。
「これは主の命だ、お前の指図は受けない」
「
……
じゃあせめてそれを治してからにしろ」
「しかし手伝い札が勿体な
……
」
「主にその怪我をバラされたいか」
怪我したまま出陣したことを知られれば、審神者に自己管理ができない、報告を疎かにした、など疑われるかも知れない。
審神者の名を出されると従う他ない。
渋々、手入れ部屋に寄ったのちに出陣する。
戦場はそこまで大変なものではなく、やはり手入れしなくても楽々だったように思う。新人部隊も強くなり、まんばのフォローなくても大丈夫そう。
長義は少し離れたところにいる。話し掛けるには遠いが、刀を振り回せば届く微妙な距離。
あんなに話したのは宴会の時以来かもしれない、とまんばはぼんやり思う。
「敵襲!!」
ハッとなる。いくらまんばの練度が高いとはいえ、気を抜いていてはいけない。
気を引き締めて挑む。
すぐに敵と交戦になる。
敵をドンドン斬り伏せて行き、これで終わりか、と思った。その時だった。
背後から何者かに斬られた。血が噴き出す。
後ろを見るが誰もいない。部隊は基本6振りで、それは敵も同じだ。敵の数は確認しているため、彼らの仕業ではなさそうだ。もしかしたら応援で別部隊が来たのかも知れない。
だけど気配がなかった。最高練度のまんばなら不意を突かれたとしても、気配くらいはわかるはず。
また攻撃を食らった。今度は利き腕を斬られた。
「
……
っ」
そして、まんばはドロリとしたものを目撃する。
最初感じたものは恐怖だった。訳の分からない物に襲われている。
だけどまんばは気づいてしまった。それがよく知っている霊力だと。
『オレタイ、ハヤク
……
』
その呟きを聞いて確信する。
ああ、ようやく願いが叶うのか、と安堵した。そして最期を迎えるべく目を閉じた。
まんばは攻撃を受け入れるべく己の刀をおろす。
しかしその間に割って入る者がいた。
「な
……
なんで
……
!」
それは長義だった。
長義がまんばを庇うように入り込み、自身で攻撃を弾き返す。
それなのに彼の皮膚が裂けた。
「な、ほん
……
っ」
「俺の写しのくせに何をしてる
…
!」
「本歌、血が
……
」
「うるさい!こんなのは何でもない!いつものことだ!」
いつものこととはなんだ、まさか、と頭によぎる。長義とは本歌と写しの関係、そして同じ号を冠する者。長義はよく重傷で帰城していた。
もしかして、
「俺の、代わりに
……
?」
長義は答えない。あんなに憎まれ口を叩く彼が答えないということは、それは肯定なのだと悟る。
まんばはサッと青ざめる。長義はたくさん血が出ている。
まんばよりも練度は低いのにまんばを庇い、たくさん傷を作っていく。
「本歌、退いてくれ
…
!アレは俺が望んだんだ
…
!関係ないあんたにそんなことしてもらう必要など
…
」
「知っている
…
!最初からお前の望みなど
…
!」
「だったら、なんで放っておいてくれないんだ
…
!」
「放って置けるわけないだろ!お前は俺の大切な写しだ!」
まんばは息を呑む。
「生きたいって願え!国広!」
まんばは戸惑う。
「それは、できない」
まんばは不出来な刀だ。何もできない。いない方がいい。他の刀だって、まんばに頼ろうとはしない。それはまんばが力不足だからだ。
だけど
今までまんばのことを守ってきた長義のことを考える。嫌われていると思っていた。それなのになぜこんなにもまんばを大切に思ってくれるのか。
写しだからという理由だけでは弱い気がする。もしかしたら彼は慈悲深い性格なのかもしれない。
長義は折れてはいけない。
折らせたくない。
自分が生きたいとは思わない。だけど、長義のことは守らなければとそう思った。
「本歌に、手出しするなっ!!」
まんばがそう叫ぶと、それはぎゅっと収縮した後、一瞬にして霧散した。
長義もまんばも呆気に取られる。
消えたのか?と思うと気が抜けた。
長義はへなへなとへたり込む。お互い傷だらけだ。
「本歌」
「手のかかる写しだ
……
」
「すまない」
長義がまんばの頬を撫でる。見たこともない顔でふっと微笑んだので、まんばは驚いた。
「どうした?」
「なんでもない!」
ぎゅっと胸を押さえてそっぽを向く。心臓が不思議とバクバクしてる。
その後他の部隊員と合流して帰城、伯仲共々仲良く手入れとなった。
「本歌、いつから気づいてたんだ
…
」
「あの時言っただろ、最初からだよ」
まんばは隠してたつもりなのに、本心を暴かれてて、穴があったら入りたい気分になる。
弱みはあまり見せたくない。
「お前には生まれた時に守りを与えていた。お前に向かう敵意がすべて俺に向くように」
知らなかった、まんばは目を見張る。生まれた時は恐らく打たれた時の事だ。
「だから山姥の呪いも俺が被った」
「
……
!」
「俺は本歌山姥切だから当然だけどね」
こんなにも長義に守られていたのか、とまんばはじわじわ恥ずかしさが込み上げる。
まんばはなんだかよくわからない気持ちになってきてしまい、感情がぐちゃぐちゃになる。
長義は微笑ましそうにまんばを見つめている。それがさらに恥ずかしさを煽り、まんばはそっぽを向く事でやり過ごすのだった。
ちょぎくにハッピーエンド!お付き合いありがとうございました!お疲れ様でした!
どうでもいい設定
・まんばにまんばが呪いを掛けていた。
・長義くんはずっと写しを守ってた。だけどまんばが折れたいと願うたびに強くなり、手が付けられなくなる。日常的に狙われていた。
・まんばの存在を突き止められないようにまんばのことを遠ざけていた。長義くんが引き付けてた。
・しかし宴会の夜、まんばと長く接触する事で、まんばを感知される。そしてまんばがたびたび狙われる羽目に。
・長義くんはまんばが心配すぎて四六時中そばで守ってあげていたかった。姿が見えない時はいつも不安に思っていた。でも自分が近づく事で、本当の山姥切国広が見つかってしまう恐れがあるから、接触も最低限に控えていた。
・写しのことはめっちゃ好き
新刊のボツネタです。
ボツにした理由は重すぎるから(笑)
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