木蔦(キヅタ)
2021-05-10 07:21:30
3196文字
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日光に恋愛相談するまんばの話【ちょぎくに】


山姥切号問題。この本丸でもそれは起こっていた。長義がその件でまんばに好戦的な態度で突っかかってきた。

まんばは口下手で思うように話せず、結局「また話をしよう」というだけで精一杯だった。

長義との間に盛大な亀裂が入ったことは鈍感なまんばでもわかった。しかしどうしようもなかった。

長義を怒らせた。その事実に落ち込んでしまう。しかしどうすればいいかわからなかった。まんばは事実を伝えることもできないし、長義を否定することもできない。ただ自分の主張をしただけ。

でもあの対応は間違っていたかもしれない。ただ怒りを煽っただけだ。

第三者のアドバイスが欲しい……

まんばは日光の所へ訪れた。彼なら適切なアドバイスをしてくれるのではと思ったため。

「あの、日光、少し良いだろうか?」
部屋の前、開ける前に声を掛ける。
「どうした?」
すぐに障子が開いた。
「えっと、その……
上手く言葉が出てこない。いきなり来て失礼だったかもしれない。
………いい、入れ。」
察した日光が半身ズラして、部屋を指す。まんばは少し驚いた後、上手く言えずに気を遣わせた事を恥ずかしく思い、俯いて入る。

「どうした?」
「実は、相談があって……

長義とのことを日光に話す。日光は黙って話を聞いてくれた。
そしてアドバイスを求めると、少し悩んだ後言った。
「俺から言えることは何もないが」
「でも」
「お前の方が親しいだろう」
「(´・ω・`)」

親しくない。写しだけど本歌のことなんて全然わからない。

でも日光に話して気持ちの整理ができた気がした。
長義は長義の考えがあるし、俺は俺でいいかと思うようになった。少し気が楽になった。

「また気が向けば話に来ればいい」

日光は優しくそう言ってくれた。頼れる兄貴分。

「にゃ!?お前なんでここに!?」
南泉が日光の部屋に来た。まんばがいやちょっとと濁すと日光が適当な言い訳で誤魔化す。
まんばは礼を言って部屋から出て行った。

「日光の兄貴、あれ……
「ああ、俺を頼ってここに来た」
「にゃんで……??」
「昔からそういう関係だしな」
「そういう……

それ以降、まんばが日光にたびたび相談するようになった。長義への悩みは絶えなかった。

「あ、まんばー。俺明日日光と畑当番なんだけど、代わってあげようか?お前厨当番でしょ?」
「?なんでだ?」
「なんでって、長義がいるじゃん。それに日光との方が気がおけなくていいでしょ?」
「ああ、そういうことか」

長義がまんばを毛嫌いしてることはみんな知ってたため、気を遣ってくれる。
有難いなと思う。お陰で長義とはあまり接点がない。何か用事があっても必ず誰かが間に入ってくれる。

年越し。なぜか南泉に声をかけられる。
「うちはみんなで集まって過ごすにゃ!みんなで酒を飲んで新年を待つんだ、にゃ!」
「?一文字はそういう習わしなのか」
「そう!だからお前も来い!」
「なんで俺が??」
"だから"が全然理解できない。理由になってない。

「お頭が超高級お節注文したんだぜ!あと御前がお年玉くれるにゃ」
ドヤ顔でそう言う。堀川派でも兄弟特製のお節を食べるが、これは自慢されてるのか??お年玉はもらったことがない。
「だから来いって!」
「はぁ……?」

何故か行くことに。
他の刀派も誘われてるかと思いきやまんばだけ。一文字の中でポツン。御前に構われ、南泉に愚痴られ、山鳥毛に生暖かい目で見られ……。まんばは勧められるまま酒やご飯を平らげる。
そしてよくわからないまま帰された。

(・ω・)





他の刀と話してる時に驚くべきことが発覚する。
「そういえばそろそろ日光が出陣から帰ってくるが
「?そうだな?」
日光だけじゃなく、他の刀も帰ってくるが、何故名指し??
「行かなくていいのか?」
「え?どこへ?」
「出迎えに」
「なんで俺が?」
「付き合ってるんだろう?」
「はぁ!?」
まんばが声をあげたのでぎょっとしてる。いや驚いたのはこちらだ」
「違うのか?」
「違う違う!」
「本丸中そういう認識だぞ」
「ほんまるじゅう!?」
いつのまにそんな事に!?と驚く。

「だってお前よく日光の部屋に行くだろう」
「確かに行くが、その、それは
「逢引きだろう?」
「断じて違う!」
「じゃあ何してるんだ?もしかして情人……
「そっち方面から離れろォ!!た、ただ相談に乗ってもらってるだけだ!」
「相談?」
「お、俺が本歌と上手くいかないから、それを……
「そしてそのうちに愛が芽生え?」
「だから違うと言ってるだろ!」

なんでこんなことになってるのか全然わからない。ただの昔馴染みだ。
「しかしお前はそういうつもりがなくても、日光の方はわからんぞ」
「いやわかる!だって俺は日光に恋愛相談してたんだか……!」
ら、と言い切る前に自分が何を口走ったか悟る。先程長義の件を相談したと言ったばかりなのに、内容までついうっかり言ってしまった。
「あ、いや、これは、その」
「偽物くん」
「ひぃぃぃ!」
背後から件の人に声をかけられ、異常なまでに驚く。地を這うような声。

「ちょっと、いいかな」

おどろおどろしい……
さっきの会話、聞いていただろうか。そうすると国広が長義に好意を寄せていることがバレてしまう。

「随分ふざけた態度じゃないか」

呼び出され、人気のないところでふたりで話す。長義は見るからに機嫌が悪くて、まんばは内心泣きそう。でも気丈に返す。
「何がだ?」
「また話をしようと言ったくせに俺を随分避けているようだね?」
「避けてなんか
「嘘。内番がまったく被らないじゃない。一緒だったところも前日に誰かと交代してる。それに伝達事項も誰かを通して俺に来るし」
………
確かにみんなが気を遣って、接点をなるべく減らそうとしてくれる。
だけどまんばは長義に会いたかった。好きだから会いたいと思うのは当然だった。
でもみんなの気持ちを無下にはできず、長義のことを避ける形になっていた。

数少ない彼との会話は、いつもまんばが傷つくような内容だったから、みんなの言う通りにして正解だったのかもしれない。

「俺が知らないうちに日光と付き合い出したそうじゃないか」
「な……!それは……!」
まさか長義にまでデマを知られているとは思わず、慌てる。
「俺はお前の本歌だ、保護者みたいなものだろう」
「え?」
「恋刀を作るなら俺の許可を取れ。勝手は許さない」

なんでそんなことを言うんだ?保護者??

「俺はもう子どもじゃない。あんたの許可なんて取らずとも、恋刀くらい自分で選ぶ」
「はぁ?生意気な!」
生意気も何も、今まで本歌に保護者面されたことなかったんだが?何を突然?
「とにかく日光とは付き合うな!」
「日光とは何でもない!あんたが考えてる関係じゃない!」
「付き合ってることは知ってんだ!この前だってお前が部屋に!」
「それはあんたのことを相談してたんだ!」
「は?」
「あんたが俺に冷たいから、だから聞いてもらってたんだ!日光のことは恋愛感情で見たことはない!」
勢いでカミングアウトしてしまった。
「え、じゃあ、お前の好きな人は、日光じゃ
「ない!」
思い違いか!と長義が頭を抱える。なんでこんなことに。
「わかった、じゃあ好きな刀ができたら報告するように」
「無理だ」
「はぁぁ??本歌に逆らうつもりか?」
「それは告白と同義だから、俺のタイミングで行かせてほしい」

長義は1分ほど理解にかかった。
ちなみにまんばは5分程気づかなかった。

ちょぎくにハッピーエンド〜
お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!