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木蔦(キヅタ)
2021-01-23 14:13:54
3712文字
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本歌に許可を取ろうとする兼さんと、本歌だからと反対する長義の話【ちょぎくに、兼→んば】
ちょぎくにメイン、兼→んばあり
長義が顕現すると本丸には既にまんばがいた。これが自分の写しか、とまじまじ見た。さすがに見目が良い。見ていると胸がぎゅっと熱くなった。
一目惚れだった。
まんばとどう接して良いかわからず、号の件で言い掛かりを付けた。少しでも気を引きたかった。
顕現したてでやいのやいの言い争う。
仲が悪いなぁとか、まぁまぁとか、口々にみんな言う。しかしそこにカネサンがやってくる。
「こいつの本歌なんだよな?」
「ああそうだよ」
「本歌なら親みてーなもんだよな?」
「親〜?こんな生意気な子どもなんて嫌だけどね!」
「親ではない?」
「ああ」
親より恋刀になりたい。
「身内とか」
「写しは身内じゃない。うちの刀派と何の関わりもないから親戚でもないよ」
「そうか、ならいいか」
何がいいんだ?と疑問符。
「身内なら、こいつと付き合いたいって許可取るべきだよなって思ったから」
はぁぁぁ??
「え、な
……
!?つ、つき
……
?」
「お前のことが好きだ、付き合って欲しい」
スパンとカネサンが長義の目の前でまんばに告白する。まんばは真っ赤になって困惑してる。
「待て待て待て!俺の写しになんなんだ!俺を通してもらおうか!」
「身内じゃないんだろ??じゃあいいじゃねぇか!」
「み、身内じゃないが、本歌だぞ!?本歌は特別だ!!」
「なんだそりゃ?本歌はそんなにえらいのか?」
「そうだ!」
「じゃあ頼むが、こいつと付き合いたい。許して欲しい」
「ぜっっったいだめだ!」
「ほ、本歌は関係ないだろ!」
「いいやあるね!お前の行いが俺の権威に関わる!」
「本歌と写しだからってそんなことまで管理される謂れはない!」
反論するってことはまんばもカネサンが好きなのでは?と思う。泣きそう(ノ_;)
自分だってまんばのことが好きだが、素直になれない。ふたりの仲を発展させないために、ただそう主張するしかなかった。
結果としてふたりは周囲に受け入れられた。カネサンが公で告白したため、みんながふたりを見守る形で彼らの仲を歓迎していた。たまにヒューヒューとふたりのことをからかう者もいたが(主に沖田組)恥ずかしがり屋なまんばをさりげなく庇う感じで、カネサンが捌いていた。(それがまたヒューヒューと拍車を掛けた)
さらに強かったのが刀派だった。カネサンの誠実な行動もあり、さらに堀川の相棒という信頼関係もあったことで、ふたりの仲を身内が応援していた。
「兼さん!ここ座って!」
堀川がカネサンにまんばの横を勧める。
「お、わりーな国広!」
「どうってことないよ!兼さんが兄弟のこと好きなんて、僕にとっては僥倖だもん。大好きなふたりがくっ付いてくれれば僕も嬉しいし!」
いつも以上にテンションが高い。まんばは彼らの会話に混ざらず、恥ずかしそうに俯いてる。
夕食後も部屋に来なよなどと堀川が誘っている。個人の部屋が与えられてるが堀川派は夕食後は一緒に過ごすらしい。
身内の力ってすごい。( ° Д ° )
長義は部屋に行く勇気はない。あったとしても追い返されそう。
問題は他にもあった。
「頼む!交際を認めて欲しい!」
カネサンがたびたび頼みに来る。
「いやだね」
「そんなこと言わずに長義さん!認めてあげてくださいよ」
身内が完全にカネサンの味方なので、長義が悪者扱いされてる。罪悪感が半端ない。自己都合で反対してるため、ここはすっぱり諦めて認めてあげるべきなのでは?と思う。しかしふたりが恋仲になった未来を想像するとドロドロした気持ちになり、そんなことできないと思う。
もう本丸は完全に兼んばムード
……
。
厨当番のため、長義は夕食後片付けをしていた。食器洗うのは機械がやってくれるけど、仕舞うのは自分たち。もうほぼ終わりだからあとはやっておくよと他の当番である短刀たちに言う。彼らは風呂へ向かったようだ。
今日も堀川派のところへカネサンが行ってるらしい。思わずため息が出てしまう。
そこにまんばが現れる。長義がいることにびっくりして、気まずそうにする。
なんでここに??
「どうかしたのか?」
自然と口から突いて出た言葉だが、まんばはびくっとする。
「い、いや、酒が足らないだろうから、取りに来たんだ」
「ああ、そう
…
」
まんばは徳利を取り出す。
甲斐甲斐しいことで、と長義は横目で見てる。
でもモタモタ。手際が悪くてイライラしてくる。ただ酒を注いで持ってくだけなのに時間がかかり過ぎ。
「あー!もう!鈍臭い!貸しなよ!」
ついつい手を出してしまう。
「す、すまない
…
」
「お前がやってたら朝になるよ、ったく」
「そ、そうだな
…
、和泉守が結構飲むから、その
……
」
カネサンの話題を出されてイラッとする。
「随分和泉守に献身的なんだな」
「いやそういうわけじゃないが
…
」
「そうじゃないならなんなのかな。お前も満更でもない様子だけど。あんなに真摯にお前のことを思ってくれてるんだ、応えてやってもいいんじゃないか」
思わず心にもないことを言ってしまう。まるでふたりの仲を応援してるみたいでもやもや。まんばが黙り込むから「?」と思い顔を覗き込む。
「本歌が
……
、そんな風に思ってるとは思わなかった
…
」
傷ついた顔をしてる。
「あんたは反対してたから、俺のことを気遣ってくれてるんだと思ってた
……
」
じわじわ目が潤んでくる。ぎょっとした。
「兄弟は大好きな兼さんだからか、すごく勧めてきて、そんな嬉しそうな兄弟見てたら、俺は何も言えなくて
……
。他の本丸のみんなも
……
。誰も俺の気持ちなんて
…
」
瞳に溢れんばかりの涙。
「え、あ、その
……
!」
あわあわ。
まんばがぐっと涙を拭う。
「本歌だけは俺の意思を尊重してくれてると思ってたのに
…
っ」
タッとまんばが駆けていく。
あ、だめだ、と思って反射的に追いかける。まんばにはすぐ追いつき、手を引っぱる。
まんばはボロボロ泣いてる。再びぎょっとして、あまり人に見られたくないだろうと近くの空室へ。
「和泉守を好きなわけじゃないのか
…
?」
まんばはこくんと頷く。
長義は微かに希望の光が見える。
「他に好きなひとがいる」
一変して奈落の底に突き落とされる。
「でも、叶わないから、想うだけでも
……
」
まんばを振るなんて贅沢な奴めと思う。でもまんばが諦めてるなら、自分にもチャンスはあるな??と思う。
でもカネサンのぐいぐい来たアプローチや同派の推しでも靡かなかったくらいだから、想いびとに操立てし続けるのでは?と気づく。勝ち目ない。
「そ、そんなに想われてて、幸せ者だな
…
」
「
……
迷惑なだけだろ」
「お、想いを寄せられて迷惑に思う奴なんていないだろ!」
「あんたは嫌いな奴から好かれたら迷惑じゃないのか?」
「嫌い
……
?嫌いねぇ
……
??」
いまいち想像できない。嫌いな者から好かれたら迷惑だろうか?何かを強要されたら迷惑かもしれない。付き合ってとか。
ということはまんばは想いびとから嫌われてるということ
…
。まんばを嫌ってる刀なんていたか?と首を捻る。思い当たらない。
「想われるだけなら、嬉しいんじゃないか?」
「え?本当か?嫌いな奴からなんだぞ?」
「嫌ってても好意は嬉しいもんじゃないか?」
「そ、そうか
……
」
長義はハッと気づく。今はスッパリ諦めるべきだと助言すべきだった。今の言葉でまんばは好きなひとを想い続けるかもしれない。
「お、俺がそう思うだけで、他の奴らはきっと嫌がるはずだ!ほら!応えられない好意は迷惑だって思うだろうし!」
「そうか。
……
でも本歌は嬉しいのか?」
「まあ、そうだね?」
「そうか」
さっきまで泣いてたのに話してる間にピタッと止まってる。よかった。まるで長義が泣かせたかのようだった。
普段まんばには冷たい言葉しか言わない(照れ隠し+好きな子はイジメちゃうタイプ)ので、他の者に見つかったら誤解されるところだった。
「その、告白、されたら、迷惑なんだろうか
……
?」
「想いを伝えられるのは別に迷惑じゃないんじゃないか?あ、いや、迷惑に思う奴もいるはずだが!」
まんばの背を押すようなことをまた言ってしまい、慌てて訂正する。
「本歌は迷惑じゃないのか」
「俺は別に。嫌いな奴なら、その場で断るだろうし
…
ス、スッパリ振られた方が諦めがついていいかもな!」
「そうか
……
」
まんばが黙り込んでしまう。
もしや想いびとに告白しに行くのだろうか。そこで振られて諦めてしまえば都合の良い
……
。
「本歌、あんたのことが好きだ」
(・Д・)???
何を言われたのかよくわからなくて、長義はきょとんとする。
「あんたが、俺を嫌ってることは知ってるんだが、その、伝えたくて、気持ち
……
」
「はぁ!?俺!?」
「す、すまない
…
!やっぱり迷惑だったか
…
!」
「迷惑じゃないし嫌ってない!!」
「
……
!よかった
……
」
ようやく実感じわじわ湧いてきて、長義も告白して、ハッピーエンド。
お疲れ様でしたー!
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