木蔦(キヅタ)
2021-01-03 08:09:00
8575文字
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有名なYouTuberと相互フォロワーになったまんばの話【ちょぎくに】


ちょぎくに
※腐

まんばは絵も字も書く両刀使い。よくちょぎくにの話をかいてツイッターや支部に投稿してる。

まんばは同人活動もしておらず、フォロワーもそんなにいない。

それなのにある日ツイッターの通知がすごいことになっていた。炎上している?いやバズってる。

原因は有名なYouTuberがまんばの投稿作品をツイートした所為だった。

『マジやばい……このちょぎくに、すごくイイ……

一言そう書かれた@付きのツイートにより、まんばのフォロワー数、支部の閲覧数、評価数は跳ね上がった。まんばは怖くて思わず鍵をかけた。それでも元ツイートは消えてないためドンドン通知が来る。怖い。

「ひぇぇぇ

びくびくしていると、当のYouTuberからフォローリクエストが来る。
BL界では結構有名なYouTuberだ。顔出しはしていないが、声からして男性らしい。まんばも動画を見たことが何回かある。

そんな有名な人からフォローが!?まんばは慌てる。
びくびくしながらも、少し嬉しくてフォロー許可を出す。そして自分もフォローする。
するとリプが飛んでくる。

『初めまして!フォロバありがとうございます!xxさんの書いた「xxxx」とても楽しかったです。……

まんばはそれを読んで真っ赤になる。あの有名なYouTuberに話しかけられた。しかも褒めてもらってる。
まんばは改めてその人の動画を見てみる。カプ語りをするVtuberのもので、カプはちょぎくに。チャンネル登録数はそこそこある。

内容にめっちゃ共感。気が合いそう。

『わかりみが過ぎる……( ´ - ` )』

感想ツイートを書くと反応がある。

その後はお互い投稿するたびに感想を言い合い、どんどん仲良くなっていく。

ツイッターを開くとまんばはまずその人を探すくらい好感を持っていた。






「偽物くん、主が呼んでるよ」
ちょうどツイッターでその人と楽しくリプしてる時に長義に話しかけられた。まんばは偽物と呼ばれたことにムッとする。
「何度言ったらわかるんだ、その呼び方はやめろ」
「偽物だから偽物で十分だ。それより最近端末ばかり見てるね?」
友達とやりとりしてるだけだ」
「友達!お前に友達ねぇ!根暗な偽物くんにはそういうインドアな交流方法が似合ってるね〜?その友人だってどうせリアルで交流できない超インドアなんだろ。相手も山姥切国広なんじゃないのか?お前達は根暗だからなぁ!」
「バカにしてるのか」
さらにムッとする。
「なに?怒ったの?」
………主が呼んでるんだろ、もう行く」

まんばと長義はずっとこんな感じ。長義に冷たく当たられる。



まんばはある日審神者が読んでいた夢小説(まんばにとっては夢小説に該当する)を読んで、ちょぎくににハマってしまった。この関係、俺の理想だ!と。

そこに書かれていた長義はまんばに優しく、甘く、スパダリのような感じだった。
なんて好みな長義なんだ、とまんばは絶賛し、審神者の持ってる本を読み漁った。

拙いながらも自ら書いてみる。イイ!理想的!

絵を描いてみる。かっこいい!自分好み!

下手くそなのは仕方ないが、まんばの好みの長義がそこにいた。
それ以来まんばは自家発電をし続けている。

「主?」
「あ、きたきた!待ってたよ!」

審神者から同人即売会の話をされる。
「ちょぎくにオンリー!?か、神々達が集まるじゃないか!ちょぎくに買い漁りたい!行きたい!」
「実はさー、オンリーならサークル参加したいねって話しててさ〜。ほらそしたらサクチケあるから早めに入場できるし、神の所に早く並べるでしょ?それに自分の本をオンリーで出すなんて記念にもなるし、うちなんかの弱小でも参加して、ちょぎくに界が大きいってこと運営に見せつけてやりたいなって」
「主、本出すのか!?」
「うん。スペースは相互さんと合同サークルとして取ろうって話なんだけど、さすがに2冊だけ机上に置いてあるの寂しいからさー。まんばも1冊出してくれない!?」
「俺!?」
「そう!まんばは原稿書くだけで良いから!印刷所の手配とか、レイアウトとかは私がやるからさ!お願い!」

そしてまんばは押されて本を出すことに。

『オンリーで本を出すことになった。
友人のスペースに委託という形。通販は考えてない。』

ツイッターで呟いた。(ちなみにイベント参加なので鍵は開けた)

YouTuberにRTされ、瞬く間に拡散された。もう逃げ場がない怖い。






「偽物くん、最近夜何してるの?」
「へ!?」
ぎくりと肩が跳ねる。

最近原稿を描いていて、ひーひーしてる。徹夜気味。
審神者は「自分が頼んだことだから」と出陣を休みにしてくれようとしたが、趣味のために本業を疎かにするなどできない、それに変な休みが入ると他の刀達に怪しまれかねない。
審神者の提案は有り難かったし、それにしがみつきたい気持ちでいっぱいだったが、断った。

「目の下にクマがあるよ。眠れないの?寝ずに何かやってるの?寝させてもらえないの?」
「こ、これは、眠く『ならない』んだ!」
本当は原稿に寝させてもらえないんだが、そんなこと言えるわけない。
「それにしては船こいでたけど。眠いんでしょ?」
「眠くない!」
「ふーん」

訝しげに見てる。まずいと思い、早々に話を打ち切り、自室へ逃げ込む。

『オカーサンにゲンコー描いてること疑われてる』
『wwww』


無事、原稿は入稿でき、印刷所からも問題ないと言われた。あとはイベントを待つばかりだ。

しかし審神者から言われた。

「まんば、売り子やってくれない?」
「へ?俺は買い子じゃないのか!?」
「いや、買い子でもいいんだけど、まんば、バーゲンセールとか苦手そうだから」
「???」
「人ゴミだめでしょ?」
「?ああ。」
「イベントではね、神の本を買うために有象無象を千切っては投げ、千切っては投げするんだよ?」
「!?」
「ほぼ女性だよ?まんばは女性相手に戦えるの?」
「むりだ
「だから私が代わりに買い物してきてあげるから、売り子やってほしいな。」
「わかった」
しかし困ったことに気づく。
「あるじぃこんな格好じゃ無理だ。ちょぎくにスペースに山姥切国広なんていたら目立つ
「え?大丈夫よ、コスプレだと思われるから、問題ない問題ない!」
「嫌だ夢小説を書いてるなんて思われるのは嫌だ自分に投影した漫画なんだって思われるの嫌だ。自分を綺麗に描きすぎとか、設定盛り過ぎとか思われる
「被害妄想過ぎない?」

審神者が提案する。
「逆に山姥切長義のコスプレにすればいいんじゃない!?」
「!?」
「衣装は揃えてあげるし、メイクもしてあげるから、どうかな!」
「ますます偽物って言われるんじゃ
「じゃあ女装する?」
「山姥切長義でオネガイシマス」
「よろしい」

こうして、まんばはコスプレして売り子をすることになった。






当日、まんばはひとりスペースにいた。
合同サークルだと聞いていたので、審神者の友人も売り子をするんだと思っていたが、二人とも神々の本を求めて出て行ってしまった。心細い、緊張する。

机には本が三冊並んでいる。
自分の初めての本を眺めてにやける。嬉しい。

審神者が上手くメイクをしてくれた。誰もまんばがまんばだと気付かないだろう。ウィッグで銀髪。唇は朱を、目元もアイシャドーを入れているので、少し女性らしくなってる。審神者がわざと女性がコスプレしてるように見えるようにメイクしてくれた。(喋らなければきっとバレない)

アナウンスと共に、皆が拍手し始めた。まんばもよくわからないがそれに倣い、拍手する。どうやら始まったらしい。

するとダッシュで誰かがスペースにやってきた。それは布を纏った山姥切国広だった。

(同位体?なわけないか。まんばレイヤーだなきっと)

「これください!」
(お、男の声だ!腐男子というやつか!)
でもなんだか聞いたことあるな?と思った。しかし周りに列ができ始めていることに気づき、我に返った。ちゃんと売り子しなければ。

まんばは自分の正体がバレたくなくて、ちょっと声高めに「ごひゃくえんです」と呟いた。
すぐさままんばレイヤーは500円を出し、颯爽と去って行った。
(レイヤーにしては良い布さばきだ
まんばは布に関してはこだわりがあるため、そんな所ばかり見ていた。

人もまばらになってきた頃、またあのまんばレイヤーが近づいてきた。

「あの、ご本出されている方にお会いする事ありますか?」
「へ?」
このサークルでは3人が本を出しているため、その3人が会うことはあるかという問いだろう。今まさにここに集っているため、まんばは頷く。

「じゃあこれ、良かったら!差し入れです」

おずおずと布から3つのお菓子を取り出した。やはり布の使い方が素晴らしい。このまんばレイヤー、できる

「ありがとうございますっわ、渡しておきます!」
か細い声でそう答えた。



つつがなく終わり、まんば達は撤収した。
アフターもした。楽しかった。

そして本丸に帰って、ツイッターを開くと驚いた。

『今日の戦利品』
例の彼がまんばの本のツイートをしていた。ツイートに貼られた画像にはまんばの本がしっかり映っていた。

思い出すのはまんばレイヤーだ。買いに来た人の中で唯一の男性だった。
(もしかして、あの人が、この人だったのか?)
あんな有名な人が買いに来てくれるなんて。まんばは真っ赤になる。

山姥切国広のコスプレをしていたからきっと山姥切国広のことが好きなんだろうなと思う。自分も山姥切国広なのでちょっとテレテレ





ある日、その人からDMで誘いがある。

『今度生配信をやるですけど、一緒に配信しませんか?xxさんと一緒に萌え語りしたいです』

それは魅力的な誘いだった。是非その人と一緒にわいわい喋りたい。ふたりは気が合うのか、好みが一緒。話が盛り上がりそう。

しかしまんばは断った。
山姥切国広であることがバレたら嫌だ。それに配信という事はたくさんの人に見られるということ。まんばはあまり目立つのは嫌だった。

『じゃあ匿名で出ませんか?それに声もキーボード入力で読み上げるアプリとかもあるので』

そう提案された。まんばはそわそわうずうずした。
直接会わなくても一緒に配信できることやまんばは特に準備する器具は不要だということを聞き、まんばはついに了承する。

そしてその生配信が決行された。

時間帯は夜。部屋でパソコンの前に座る。彼とDMにて準備のやり取りをし、始まった。

配信は始終楽しかった。
しかしタイピングしているとやはり時間は掛かるもので、そう幾分も話せないうちに終わりが来てしまった。

『楽しかったからまたやろう』

そう言ってくれてまんばも是非と言った。

まんばは慌てて風呂に行く。配信の所為で風呂に行くのが遅くなってしまった。
そこでばったりと長義に会う。

「お前も今から風呂なのか?」
「そうだけど、何?お前もなの?」

お互い顔を逸らし、脱ぎ始める。
いつももう少し早いのになんでこの時間帯なんだ、と思う。

「そういえばお前、この前の日曜、どこ行ってたの?」
まんばはドキィとする。この前の日曜はオンリーだ。
「ほら、主とふたりでどこか行ってただろまさかデートじゃ
「で、デートだ!デート!!」
まんばは慌てて言った。危ない。イベントに行ったのがバレたのかと思った。

以前も長義に原稿がバレそうになった。疑われてる、危ない。

「は?デート??」
長義がじっと見てくる。嘘じゃないかと疑ってるらしい。
「主と付き合ってるのか?」
「つ、付き合ってる」
「最近睡眠不足なのも主の所為なのか?」
??まぁそうだな??」
確かに元はと言えば審神者が本の制作を提案してきた所為なので、そうかな?と思う。
「主のこと好きなの?無理矢理とかじゃなく?」
「(無理矢理?)主のことは好きだが?」
無理矢理原稿をさせられたわけじゃないので、違うよなぁと思う。

いや、もしかしたら長義には原稿の事がバレているのかもしれない。肯定するのではなく、はぐらかすべきだった。すでに確信しているのにまんばがしらばっくれる様を見て、あざけ笑っているのかも。そう思うと今までのよくわからない質問も納得がいく。

(どこまで知ってるんだ?俺がちょぎくにを書くことを知ってるのか?もしかしてアカウントまでわかってるとか
じりじり。

「お前のこと、見てたからちょっとショックだな……
(やっぱり!見られてたのか!)
まんばは驚く。
「い、いつからだ!?」
「え?」
「いつから見てた!?」
「あ、会った時から?」
「そんなに前から!?」
「あ、その時から気になってたんだ!」

そんなに前からアカウントがバレてたなんてと頭を抱える。鍵をかけよう。いや待て、もしかしたらフォローされてるかもしれない。鍵をかけても無駄か?

「か、鍵掛けてた時も見てたのか?」
「鍵?なんで鍵?」
「いや少し前にいろんなやつに見られるから鍵掛けてたんだ」
「み、見られる!?ストーカーか!?」
「ストーカーとかじゃないから!その、見られるのは嬉しいんだが、ええと、あんまりたくさんは恥ずかしくて……
目を逸らして言うと長義は何故か頬を染めた。
「お前、そういうやつだったのか」
「??」
「鍵掛かってる時は見てないよ」
「そ、そうか、良かった……!」

ふたりはお風呂に入った。





まんばはツイッターアカウントにすぐ鍵をかけた。

『垢バレしてた』
『オカーサンが垢知ってた』
『今までのあんなちょぎくに、こんなちょぎくにをオカーサンに見られてたかと思うとツライ……

相互のみんなが慰めのリプをくれる。嬉しい。一方でYouTuberのあの人がツイートしてた。

『好きな子に恋人がいたくそくそくそ!』
『絶対抱かれてる』
『告白したけど当然ダメだった……

こちらはこちらで大変そうだ。失恋したらしい。
あちらにも慰めの言葉がたくさん掛けられている。まんばもリプしようかと思ったが、何と言えばいいのかわからず、声をかけれない。

『もうちょぎくに辞めるかもしれない』

その書き込みを見て、まんばは意を決した。

『xxxさんが辞めてしまわれるの悲しいです……。いっそリアルを捨てて失恋の痛手をちょぎくにで癒しませんか?』

送ってから失恋を何も分かってないやつの無神経な言葉だなと思った。失敗した。

しかし彼は優しくて、まんばのその言葉にも感謝を述べる。さらにこんなことまで付け加えられていた。

『xxさんもお疲れ様でした。お母様に知られていたのは気が重いでしょう。心中お察しします』

傷心中だというのにこちらのことを気遣ってくれる。なんという人なのか。まんばは感動した。
そしてさらにリプが。

『良かったら傷心者同士、オフ会しませんか。美味しいものでも食べにいけばスカッとすると思うんです』

まんばは躊躇った。オフ会は直接会う。顔を見られる。だから山姥切国広だとバレてしまう。だから嫌だった。

しかし、彼とはかなり親しくなった。この前のイベントで山姥切国広推しだと言うのもわかってる。それに配信も話していて楽しかった。まんばが山姥切国広だと知ってドン引きはしないんじゃないかと思った。


『わかりました』











オフ会の日、まんばの緊張は半端なかった。今日初めて会う。普段仲良くしているとはいえ、顔を見てちゃんと話せるか不安だ。

まんばは身支度を整え、本丸を出ようとする。しかしそこでばったり長義と会う。

?お前も出掛けるのか?」
「偽物くんもか」

一緒に出ることになる。
なんだか一緒に歩くのが嫌で早歩きする。そうすると向こうも早歩きになる。

「ついてくるな!」
「方向が一緒なんだよ!なんで偽物くんこっちなんだ!」
「俺だってこっちが目的地なんだ!」

万屋商店街を超え、とあるカフェに着く。

「お前もここなのか!?」
「なんでこんなカフェに来るんだ!お前なんて牛丼屋に行っとけ!」
「俺はここで、待ち合わせなんだ!」
「俺だって!!」

ふたり同時に店に入る。「ご予約の名前は?」と聞かれて同時に答えた。

「へ?」
「え??」

場が凍った。


「まさか偽物くんだったなんて!」
「俺だってあんただとは思わなかった」
ふたりコーヒーを飲みながら話す。すべて事実が明るみに出た。

「あんた、ちょぎくに好きなのか?」
「好きだよ」
「ドリー夢」
「悪いか」
「ミトメタ
まさか長義が夢オタだとは知らなかった。

「そっちこそ、夢」
「俺は違う!」
「説得力ない」
「俺は純粋にちょぎくにが好きなんだ!」
「俺にこういう風になってほしかったんだろ?」
「それは否定はしないが……
「ほら」
「あんたは冷徹で無愛想で意地悪で嫌みたらしくて懐が狭くて非情な男だから、つい理想の本歌に憧れてしまって
「酷い言われよう」

話題が変わる。

「そういえば、お前、主と付き合ってるのは
「え?付き合ってないぞ?」
「は?」
「付き合ってない」
「お前が言ったんだろ!」
「そうだったか?」
「そうだったか?じゃない!!」
「主はちょぎくに仲間だ。布教された。」
「じゃああの時日曜は」
「オンリー行ってた。主がサークル参加するから、俺は売り子」
「はぁ??あの俺のレイヤー売り子、お前だったのか!お前委託だって言ってただろ!」
「委託だって言ったけど本人がスペースにいないとは言ってない」
「確かに」
「あんた部屋で配信してたのか?」
「まあね、機器があればどこでもできるよ。隣の猫殺しくんにうるさいって言われたけど。」
「あれだけ熱く語ればそりゃ
「それよりお前寝不足って」
「原稿」
「納得」

ケーキが運ばれてくる。まんばはすぐさまケーキに食いつく。

「それより俺たち同じCPで夢で好みも合ったんだから付き合わないか」
「夢は夢のままで」
「なんでだ!」
「お前に俺のスパダリチョギが務まるのか!?甘々チョギが!!」
「俺だってもてあたくらいするね!!お前のことは何でも与えてやりたいって思ってたんだ!」
「どのくちが言う」
「辛辣」
お店はふたりに大注目してる。大声で言い合ってる。ふたりは会話に夢中でまったく気づいてない。

「少なからず俺を想っての事だろう?俺を信じてみないか」
まんばは迷う。これまでの長義を見ていたら信じられない。だけどネットで交流していた時のことを思うと、信じたくなる。彼はいつも誠実で、優しくて、気遣い上手だった。まんばの理想の本歌像に一致していた。

「わかった」
「本当か?」
「騙されたと思って……
「一言多い」

ちょぎくにはっぴーえんど
お疲れ様でした!お粗末様でした!お読み頂きありがとうございました。







〜その後〜
長義はまんばと付き合って数ヶ月になった。手も繋ぎ、キスもした。まんばはあんなことを言っていたが、本歌に甘えたかったようで、ふたりの仲は良好だった。

まんばが求めていることは手に取る様にわかった。元々好みが一緒であるため、与えてやりたいと思ったことは大抵まんばの求めていることだった。それにまんばの求めていることは簡単だった。彼の小説や漫画を辿れば、ああ、こうして欲しいのかとわかった。

しかし長義はふと気づく。

まんばの作品にはR18がない。すべて清い関係。暗転描写すらない。

もしやそういう欲がないのか、と思う。

まんばに問い詰めてみる。
まんばは顔を赤くして、目を逸らし、辿々しく答える。

「その………、ほかの、ことは……想像とか、推測とかで書けるんだが、閨は……えっと……体験したことが、ないから……書けなくて……

衝撃を受ける。

今思い返して見ると確かに付き合う前の作品はキスの仕草は書かれているが、その感触や心情の詳細描写はない。一方、付き合って以降にはどれだけ気持ちいいか、どんなにドキドキしたか、事細かに書かれている。

(あれは体験談だったのか。というかキスすら初めてだったとは)

「じゃあ体験しよ」

後日、リスト公開のR18小説が出された。
リスインはしてもらえなかったが、こっそりリスト追加して読んだ。

その時の事が事細かに赤裸々に書かれていて、本人の口から聞くよりも作品の方が多弁だった。

(これは……嬉しい……

もっと気持ちいい事してあげないとなと思う長義だった。
おしまい。

お疲れ様でした!おまけもお読み頂きありがとうございました!