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木蔦(キヅタ)
2021-01-03 07:49:50
4182文字
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恋仲だと思ってたのに急に振られたまんばと、二振り目と付き合い始めた長義の話【ちょぎくに】
ちょぎくに
まんばは初期刀。聚楽第を終え、本歌である長義を迎えた。最初はお互い気に食わない、気に入らない、と不仲だったが、日々過ごしていくうちに、許し合い、歩み寄り、会話も増えて行った。そしていつしか心を通わせるようになった。
夜、長義が来て、情の灯った瞳でまんばを見つめる。
まんばがそっと目を閉じると長義が唇を落とした。まんばは長義を求め、腕を回す。長義もそれに応えて覆い被さった。
ふたりは無言でお互いを求め合った。
ふたりは周りに言わないながらも恋仲だった。少なくとも、まんばはそう思っていた。
そしてその頃になると、本丸に二振り目を顕現させ始めた。
ふたりの同位体も例に漏れず顕現された。
その二振りはやはり折り合いが悪く、まるで昔の自分たちを見ているようだった。
これ以降の表記
初期刀まんば→極んば
二振り目まんば→布んば
一振り目長義→長義
二振り目長義→二振り目長義
※浮気(?)表現注意
ある日極んばはショックな話を聞く。布んばと長義が付き合い始めたという。
みんなには話してないが長義は自分と恋仲のはずだ。何かの間違いではないか。
そう思い、事実を確かめるため、極んばは長義を探した。
長義は庭にいた。布んばと腕を組んで歩いていた。
「長、義
…
?」
名を呼ぶとふたりが振り向く。
「ああ、初期刀殿か、どうしたんだ?」
「
……
っ」
極んばの前だというのに、腕を振り払うでもなく、平然としている。
いやでも仲が良ければ腕ぐらい組むじゃないか。きっと思い違いだ、勘違いだ。
「そうそう、俺この子と付き合うことにしたんだ」
極んばはショックを受ける。
長義は優しげに布んばを撫でる。布んばに猫みたいに目を細め、嬉しそう。
(そんな恋仲にするみたいに
…
)
自分とのことは嘘だったのか、気持ちが移ったのか、自分がたた自惚れてただけだったのか
…
いろんな考えが頭を過ぎる。
極んばは好きだとか愛してるだとか言われたことはない。
情を交わしたが、あれは遊びだったのか。
悲しい感情が溢れてくる。
「そ、そうか、おめでとう
……
」
絞り出すように、そう告げた。それが精一杯だった。
ふたりはところ構わずイチャついた。食事の場でも、みんなとゲームしてる時でも、内番中でも。果ては出陣先でもイチャつき始め、極んばは我慢の限界だった。
「仕事中にベタベタするな!公私は分けろ!」
……
と言えたらどんなに良いか。嫉妬に狂い、公私が区別できてないのは自分だ。注意すべきとは思うが、私情を挟んでいつもより強く言いかねない。
布んばが幸せそうなので、邪魔したくない。長義と身体の関係があった自分は明らかに良くない存在だ。
極んばは気持ちを抑え込み、黙っているしかなかった。
それは二振り目長義も同じだった。彼は極んばと違い、かなり荒れていた。イライラとした態度を隠さず(もしかしたら隠せず)いつもふたりを睨んでいた。
二振り目長義は布んばのことが好きだったんだろうか、と思う。
ある日、ふたりがイチャついているところに極んばは出会してしまう。ああしまった、と思い引き返そうとする。
「あ
……
」という布んばの声が聞こえて思わずそちらを向く。
布んばから何かが転がり落ちた。慌てて布んばが隠すように拾い上げる。チラッと極んばを見て、さっと目を逸らした。
「
…
?」
「ほ、本歌、行こ
…
」
「ああ」
布んばがぐいぐい長義を引っ張っていく。
極んばは首を傾げる。布んばの様子がおかしかった。それに布んばが隠した何かが少し気になる。なんだか良くないもののような気がしている。
極んばはそれが引っかかるため、少し彼らの様子を見ることにした。
観察していてわかったことがある。
長義はなんとなくぼんやりしている、覇気がない、布んばは何かを肌身離さず持っている、風呂の時でさえこっそり隠すように。
何となくだが、ふたりが急に付き合い出した事と関係があるのではないかと思う。でも根拠もないのにふたりの仲を引き裂くなんてできない。
そんな時に二振り目の長義が通りかかる。相変わらず荒れててくそくそ言ってる。
彼の視線はふたりに注がれてる。あんなに布んばと仲が悪かったのに、好きだったんだろうか、と思う。
極んばは二振り目長義に声をかけた。
二振り目は極んばに怒られると思ったのか、ふぃとそっぽを向く。
「お前は二振り目と仲が良いのか?」
「
……
」
「ふたりが付き合う前に何か変わった様子とか、知らないか?」
「
……
」
「いや、すまない、変なこと聞いたな
…
。忘れてほしい」
「なんでそんなことを聞くんだ?」
突っぱねるような言葉が返ってくるとばかり思ってたので、疑問を投げかけられて、驚いた。
極んばは少し迷った後、「これは俺の勝手な憶測で、妄想で、架空の話だから、本気では聞かないでもらいたいんだが
…
」と前置きしつつ話し始める。
極んばの話を聞き終えた後、二振り目長義は立ち上がってふたりの元へ駆けていく。極んばは慌てる。
二振り目長義は布んばの胸ぐらを掴み上げる。
「お前、なんか妙なことしたな!?」
「っ!いたい」
掴み上げた拍子に布んばの胸からコロンと何かが転がり落ちる。
「あっ
…
!」
それはピンク色の石だった。サイコロくらいのキラキラとした塊が転がってる。
「
…
?これは?」
極んばが拾い上げる。普通の宝石みたい。
「
…
!触るな!」
布んばが二振り目を払い除け、掴みかかってきた。極んばから奪い返そうと極んばの手を握りしめる。
「あっ!やめ
…
!」
「返してくれ
…
!」
「ちょっと待ってくれ
……
!」
「返せ
…
!」
「おい!こっちに寄越せ!」
布んばは極んばの手を開こうと必死。極んばはそれに抵抗して手をぎゅぅぅと握りしめる。その攻防に二振り目の長義も参戦する。
バキン
「
…
バキン?」
三振りともその音を聞いて目が点になる。
極んばがそっと手を開くと粉々になった石があった。
「あ
……
」
「あっ」
「あ
…
」
「
………
」
「一振り目の馬鹿力!!なんで割っちゃうんだ!!」
「だ、だってそれは二振り目が力一杯掴みかかってきたからだろ!」
「それでも手加減ってもんがあるだろ!まさか石を砕くなんて!」
「俺も砕けるなんて思ってなかったんだ!」
石を砕いた事実を目の当たりにして、二振り目長義はドン引きしてる。少し後ずさられた。
布んばはハッとして恐る恐る振り返る。視線の先には一振り目の長義。
状況がわかってないのか、一振り目の長義がキョロキョロしてる。
「なんで俺はここに
…
?何かあったのか?」
(中略)
「本当に覚えてないのか?」
「覚えてないってば、しつこいな」
極んばは何度も何度も長義に聞く。
「本当に本当?」
「本当本当」
「二振り目にベタベタしてたことも?キスしたことも?閨のことも?」
「キスと閨はしてないだろ!!」
「覚えてるんじゃないか」
「
………
」
気まずそうに明後日の方向を向く。
「
……
あの時は自分の意識が深く沈んでた感じで
…
その
…
自分の意思で動けないっていうか、夢の中にいるみたいで
…
」
「霊刀の本歌様がな?」
「不覚を取ったのは反省してるって!」
あれは二振り目同士が上手くいかないことが原因で起こった事件だった。
二振り目の長義と布んばが喧嘩をした。そして落ち込んでるところに声を掛けたのが長義で、『俺は本歌を好きになる!』とヤケを起こした。
そして街で唆された布んばは怪しいパワーストーンを買ってしまった。
それはクンツァイトという石で「どんなひとからでも愛される効果を発揮する」と言われたらしい。
明らかに怪しい呪具に手を染めた布んばは、本来なら刀解処分だが、二振り目長義が自分のせいだと庇ったこともあり、謹慎処分に減刑された。極んばも刀解は重すぎると思ったためホッとした。
つまりすべて布んばがした仕業であり、長義の心変わりはなかったということだった。
「あ、の、長義
…
」
「なに?」
長義は極んばを自分の上に乗せてにこにこ。これからそういうことをするんだと極んばはわかってる。
「は、はっきりしてほしい
……
、そ、その、もうあんな想いしたくないから
…
」
「はっきり?」
視線を彷徨わせながら、懸命に言葉を紡ぐ。言いづらい。察せ。
「俺達は、その、
……
つ、付き合って、るのか
……
?」
長義はきょとんとしている。
言ってから、言うんじゃなかった、これじゃ好かれていると自惚れてるみたいだ、いやでもこうして夜来てくれるからちょっと期待はしてるんだが
…
と極んばは悩む。
「え?えっと
……
」
長義も答えに困ってる。
「いや!忘れてくれ!聞かなかったことに
…
!」
長義が急に前屈みになったため、まんばはバランスを崩し、ころんと転がる。
「俺はそう思ってたんだけど、お前はどういうつもりで抱かれてたの?」
ちょぎくにはっぴーえーん!!ひゅー!!
お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!
■どうでもいい設定
・クンツァイトの石言葉は見返りを求めない無償の愛
・一振り目はすごく布んばに優しいから「同じ刀なのになんでこんなに違うんだろ
…
」と思った結果、長義に乗り換えることに。でも長義も優しかったわけじゃなくて、今は極んばと和解してるから。丸くなった。
・本当は石じゃなく貝合わせの貝にしようとしたんだけど、隠語があると知って諦めた
…
。貝合わせはとくびで見て綺麗だったから選ぼうとしただけであって他意はない。不思議な力くらいあるかなって安易な考え。結局パワーストーン的な物に変えたけど、石くらい極んばは怪力だから、割れるかなって
……
・布んばに酷い言葉を投げかけて、結果布んばがそういうことに手を染めてしまったので、二振り目長義くんは責任を感じてる。そして布んばに惚れているので、なんとか刀解だけは見逃してもらうように審神者に頼む。
今回はふたりの不仲ゆえに起こったことだから、今後無いようにと厳重注意を受けて、見逃してもらえた。
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