木蔦(キヅタ)
2020-12-27 10:21:43
6535文字
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呪詛で目が見えなくなったまんばの話【ちょぎくに】


ちょぎくに
負傷表現注意

まんばと長義は号の件があるからギスギス。腫れ物みたいにちょっと壁がある。疎遠。

本丸は初期で、そんなに刀もいない。短刀や脇差が多め。

ある日、まんばが負傷して帰ってくる。すぐに手入れ部屋へ。
まんばは目を怪我していた。手入れして怪我は治ったが、目が見えないまま。審神者が調べたところ、遡行軍による呪詛がかけられているとのこと。

まんばは解呪できるまで、目の見えない生活になる。

まんばは少しショックだった。見えなければ戦場に立てない。
しかし呪詛を受けたのが写しである自分でよかった、と思う。他の名剣名刀にこんな思いをさせるのは忍びない。

だからまんばは至って平然と「そうか」と言った。





夜、まんばは自室にいた。風呂に入りたい。しかし風呂の場所がわからない。
すると部屋の前を通り過ぎる誰かの気配がした。

「あ、あの!すまないが、来てくれないか!」

少し大きめの声で言うと立ち止まってくれた。

「あの、風呂に入りたいんだが、風呂場まで手を引いてもらえないだろうか。今、見えなくて
審神者から全員に話が通ってるはずなので、そこまで言わずともピンと来るだろう。

「風呂?」

その声は長義だった。まんばは声を掛けたことを後悔する。長義とはギクシャクしてるから、こんなことを頼むのは気が引ける。
長義が部屋に入ってくる。

「風呂に入るの?」

淡々とした冷たい声。やっぱり話しかけるんじゃなかった。

「怪我は?」
「治ってる。見えないだけだ
「用意は?」
「ここに

いろいろ聞いてくるので、連れてってくれるのか?と期待した。

「浴室まで行けば良いの?」
「!ああ、手を引いてくれれば良いんだ!」
………面倒臭いな」

ため息混じりの声にショックを受けた。案の定迷惑だったらしい。やっぱり別の刀に頼もう、と思った時だった。
いきなり身体が宙に浮く。

「うわっ」

まんばは咄嗟にすぐそばにあったものに両手でしがみつく。

「お前は動くな。どうせ手を引いても、物にぶつかるのがオチだろ。だったら抱えた方が早い」

話の内容からして、長義に抱っこされているらしい。つまりまんばがしがみついているのは長義ということになる。おそらく感触と位置からして首。

(うわぁ……

距離が近い。ドキドキする。長義に抱きついている。
ハッと我に返り、まんばが言う。

「お、下ろしてくれ本歌、重いだろ!」
「うるさい、お前はおとなしくしてればいいんだ」

有無を言わさず、まんばを運ぶ。


脱衣所に着く。
「ほ、本歌、ありがとう。助かった」

しかし長義はいなくなる気配はない。
「ほ、本歌?」
「何してるの、早く脱ぎなよ」
「へ!?もうここまでで十分だぞ!?」
「何言ってるんだ、浴室まで無理だろ。それに帰りはどうするんだ」

しかしこれ以上長義に迷惑かけたくない。

「う、その時近くにいた刀に助けてもらうから

やんわりお断りの言葉を言う。しかし長義は気に入らなかったようだ。

「脱げ」

そう短く言う。長義がどんな顔してるのかわからない。声からして、怒ってるのかもしれない。

仕方なくまんばは服に手を掛ける。

自分の身につけている物とは言え、見えないと脱ぐのに不便。手探りで脱いでく。
今長義はどうしているのか、すぐそこにいるのか、それとも少し離れた場所で待ってるのか、何してるのか、もしかしてまんばを見つめてるのか、色々考えてしまう。

見られていると意識して緊張で手が上手く動かない。ボタンを外すのに苦戦する。

「不器用だな」

すぐそばで声がして、すぐに手に何かが触れる。まんばはびっくりして手を引っ込める。しかしそれは間違いだったようで、長義がまんばの代わりにボタンを外し始めた。

長義に脱がされてる、そう思うだけで恥ずかしい。まんばは真っ赤で俯く。その顔も長義に見られているかもしれない。

「じ、自分で脱げるから!」
「お前に任せてたら何時間掛かるかわからないよ」

イラついたような声が返ってきて、まんばは何も言えなくなる。
長義は早く戻りたいのだろう。

「えと、他の刀を呼ぶから、別に本歌は気にしなくても
「なに?」

威圧感のある声が降ってくる。表情が見えないからいつもより怖い。
まんばは黙り込む。

「ほら脱げたよ」
「あ、す、すまない」

そうすると再び浮遊感。先程のように抱っこだと思うが、予告もなしにやられるから怖い。まんばは再び長義の首にしがみ付く。長義もいつの間に脱いだのか、肌と肌が触れ合ってて、身が固くなる。隔てる物が何もない。どうやら長義も風呂に入るらしい。
完全に無防備な自分の姿に不安になる。

浴室へ入り、体を洗うためのシャワーの所に降ろされる。手探りで目の前に風呂桶、蛇口があるのを確認した。
まず、お湯で髪を濡らす。シャンプーと思ってボトルに手を伸ばすが、たくさんあってどれだかわからない。

「ほ、本歌、シャンプーってどれだ?」
「お前は世話が焼けるな」

また冷たい声が降ってきて、いきなり何かが頭にぴゅっぴゅっと掛けられる。

「ひゃっ!」
髪とはいえ、冷たい液体だったので、びっくりしてしまった。

「これだよ」

直接掛けたらしい。しかも手じゃなくて髪に。なんてやつだ、と思いながらも、教えてもらった手前、文句は言えない。

まんばはワシャワシャと泡立てる。
髪も洗い終え、さて身体、と思ったが長義に止められる。

「トリートメントは?」
「鳥?」
「コンディショナーは?」
「紺?」
……もういいよ」

まんばの頭を長義がワシャワシャ撫で始める。
「!?な!」
「黙って」
しばらくするとお湯で洗い流される。そしてまたワシャワシャ……シャワー

「うぅ……
「うん、うん」

なんだか先程とは打って変わって満足げだ。

「次は身体だったね?」
「ああ」

まんばは石鹸を手に取ろうとするが、その手を長義が掴んだ。

「?」
「それを使うのは許せない」

恐らくボディソープを付けたスポンジを渡された。

「これで洗え」

また冷たい口調に逆戻り。怒った表情でまんばを見下ろしてるのを想像し、gkbr。

まんばは泡立てた後、身体をゴシゴシし始めた。
まんばが身体を洗い流そうとすると待ったが掛かる。

「お前は、まったく。」

スポンジを取り上げられる。

「ここが洗えてないよ」

そう言ってスポンジらしき物体がまんばの身体を滑る。まんばの洗い方と違って、擦り付けるのではなく、優しく触れる感じ。

「え、あ、ありがとう?」

別に少しくらい洗えてなくても気にしないんだが、と思いつつ、長義は完璧主義者なんだなーと思う。

しかし他人に身体を洗われるのは妙な感じ。普段他人なんて肌に触れる機会はないから。なんだかそう思うと気恥ずかしくて、身体がムズムズしてくる。

ようやく終わったらしく、シャワーをぶっかけられた。それもやはり予告なしで急だったので、まんばはビクッと身体を震わせてしまった。

「あ、洗い流すくらい、自分で……
「流し残しがあるかもしれないだろ」

それなら最後に長義がチェックしてくれればいいんだがと思う。シャワーが絶妙な力加減で、こそばゆい。脇腹などにやられるとぴくんと反応してしまう。

それを極力避けるため、まんばは力を入れて踏ん張る。

「終わったよ」

まんばはホッと力を抜いた。

しかしそれも束の間、再び浮遊感。また長義に抱っこされた。

「うわっ!」

こんなところで落とされたら、頭打って折れる!と思ったまんばはぎゅっと長義にしがみ付く。

長義の抱っこはフラフラ不安定で怖い。落ちそう。もっと身体を鍛えろ。

そしてゆっくり湯舟に沈む。

水中に入ってしまえば落ちる心配もない。ホッとする。

「えっと、本歌、離してほしいんだが」
「なんで」
「え、なんでって」
「お前見えてないんだから、変な所に行って溺れかねない」
「そ、そこまでドジじゃない!」
「どうだか」

仕方なくまんばは言う通りにする。今、やってもらってる立場なので、まんばは強く出れない。

しかし困った事が起こる。



熱い。

まんばの風呂は短い。湯舟に浸かったらすぐに出る。烏の行水。
一方長義の長風呂。じっくり浸かる。

まんばは少し我慢しようと思った。長義に入れてもらってるのだから、まんばの我儘で早く出るわけにもいかない。風邪を引かれたら困る。

しかしじわじわ来る熱に我慢の限界が来る。
心臓がバクバク言ってる。息が荒くなってきて、頭がぼんやりしてくる。体に力が入らなくなってくる。自分で体を支えるのも辛くなってきて長義に寄りかかる。

「はぁ……
「どうしたの?」
「ほんかぁ……もう、あつくて……
……そう。のぼせたかな」

こくっと頷くと、長義は立ち上がった。
脱衣所へ。

「立てる?」

こくんと頷くが、降ろされると崩れ落ちそうになる。頭がフラフラする。
「うーんじゃあ俺の首に手を回して」
まんばの腕を誘導し、長義の首に抱きつく形になる。地に足は付いてるが、ほぼ寄りかかってる感じ。

「着せてあげるから待ってて」
さっと水分を拭き取り、夜着を手際良く着せていく。
いつの間にか自分の身なりも整えたらしく、気づけば夜着を纏った長義に再び抱っこされていた。

「部屋に戻るから」

目が見えないので不安感はあるが、それがどうでもよくなるほど、ふわふわしている。意識がぼんやり。
ゆらゆら揺れるのが心地いい。

「ほんか、きもちい……

すりっと彼に擦りつくと、何故か足が止まった。

「?」

しかし再び歩き出したので、まあいいかと思った。

降ろされた先は布団の上で、もうクラクラフラフラするから、このまま寝てしまいたいなと思う。
その前に長義に礼を言う。

「ほんか、今日は色々とありがとう。助かった

見えないので、長義がどういう顔をしてたのかわからない。まんばはそのまま寝てしまった。





まんばは次の日も目が見えない。朝食を食べるために部屋を出たいが歩けない。
すると本丸では数少ない太刀がやってくる。まんばを抱っこして運んでくれるという。

「いやいい、手を引いてくれるだけで構わない」

しかし昨日長義にそうされていただろうと指摘される。見られていたらしい。
だから抱いてやると言われてたじたじ。丁重にお断りしようとすると部屋に長義がやってくる。

「ご飯は俺がやるから」

太刀と二、三言話すと、太刀は部屋から出て行った。

「本歌、なんでここに?」
「ご飯食べにきても、どこに皿があるかわからないだろ」

返答のようで返答じゃない。

とにかく、長義の言い分からして、ご飯を食べさせてくれるらしい。

はいあーんしてもらう。もぐもぐ。

それからは長義の甲斐甲斐しさがすごかった。ちょっと移動したいと思った時に現れて運んでくれる。ご飯はいつも食べさせてくれる。介護士か。
お風呂も入れてくれて、布団まで運んでくれる。

まんばはいつも長義に抱っこされてる時に心地よくてうとうとしてしまい、布団に入った途端、寝入ってしまう。むしろ布団まで我慢してて褒めて欲しいくらい。

解呪方法は審神者が探してくれている。

まんばは長義が優しいから、しばらく見えないままでもいいと思っていた。




しかしまんばはある日微かにぼんやりと物が見えることに気づく。
まだ解呪方法は見つかってない。そのため呪詛が薄れてきたか、まんばの神気が勝ち始めたのだろうと思った。

でも見えるなんて言ったら、もう長義は来てくれなくなる。抱っこも、はいあーんもなくなる。悲しい。
ぼんやりとそこに物があるかな?程度なので黙っていればいいか、と思った。

「ほら、もたもたせず行くよ」

声は相変わらず冷たい。どんな顔で言ってるのか、まんばは長義の表情が見たいと思った。だってこんなにも甲斐甲斐しく世話してくれるから、長義は冷たいわけではないはずだ。

日々過ごすうちに徐々に見え始める。

そしてようやくはっきり見えるようになった。思わず動くものを目で追ってしまうから、気をつけなければと思う。

お風呂のために長義がやってきた。まんばを抱き上げて風呂へ運んでくれる。顔は険しい。

(やっぱり嫌々?)

脱がせて、一通り洗い、湯舟に浸かる。そして風呂から出て、夜着を着てまた部屋へ。

その間長義はずっと嫌そうにしていた。やはり写しの世話など嫌だったのかと思い知る。少し期待した自分が馬鹿だった。

まんばは布団に寝かされる。いつもは眠たくてすぐに寝てしまう。しかし今日は長義の表情を確かめるため緊張していたからか、目が冴えていて、目を閉じても一向に眠気がやってこない。

(うーん……まあゴロゴロしてれば寝れるか?)

長義はまだ部屋の中にいる。いつもすぐ出て行ってると思ったが、そうではないらしい。
何をしているのか、と思い、薄目をそっと開く。

彼はまんばの顔をじっと見つめていた。
薄暗いが打刀は夜目が効くので薄らと彼の姿が見える。じぃ、と物欲しそうな表情で見ている。

(なんだ……?)
「寝たの?」
突然声をかけられる。

……?何の確認だ?まだ起きてるって言うべきか?相手の意図がわからない)
………寝たね」
(寝 た こ と に さ れ て し ま っ た

長義の顔がどんどん近づいてきて、まんばにキスをした。

「!?」

ちゅぅと吸い上げ、一旦離れてもう一度。今度はペロッと舐められる。

「!!?」

何度も何度もされて徐々に深いものへ。
っはぁ」

ちゅっと音を立てて離れる。まんばは既に肩で息をしてる。
薄目を開けるとギラギラした目で見下ろしてる長義が見えた。

「起きてるんでしょ?」
っ」
「隠しても無駄だよ」
まんばはしらばっくれようか迷うが、ここまでされて起きないわけないし、キスされたときに寝ている演技ができていたのか自信がない。仕方なく白状する。

……起きてる」
「やっぱりね、反応が違ったから」

反応が違うって、もしかしていつもこんなことされてたのか?と思う。目を伏せるとまんばの目にとんでもないものが映る。

!?」

え、なんで?だってそんな、まさか、そんなはずない、といろんな事が頭を過ぎる。

「目も見えてるね?」








*。.+;゚oアンテヾ(o・∀・o)人(o・∀・o)ノ゙ンッ!!!o゚;+.。*






そしてちょぎくには幸せになった。

お疲れ様でした!お読み頂きありがとうございました!



■どうでもいい設定
・険しいのも冷たいのも我慢してたからに決まってるだろ!
・初日タイミング良く現れたのは、まんばが怪我した&呪詛かけられたと聞いて、心配した長義がお風呂に行く前に通りかかったフリをして様子を見ようと思ったため。(でも部屋はもちろん閉められてて見えなかった)
・二日目の昼、長義は「自分の写しのヘマだから自分が世話する」とみんなに主張している。本当は前日の風呂でまんばが可愛すぎたので誰にも世話させたくなくて。
・いきなり抱き上げるとまんばがぎゅうぎゅう抱きつくので気分が良かった。わざと不安感を煽る抱き方をしたりした。
・初日から毎日ちゅーしてます。触れるだけの。
・はっきり見えた日、長義は薄々そうじゃないかと感じてたけど、確信には至らなかったので、言及しなかった。
・お姫様抱っこです。
・風呂場のシーン、まんばはタオルなしなので、丸見え。(持ってきてはいるんだけど、タオルを与えてもらえなかった。見えないので自分で持ってくこともできなかった。というか今まんばはすっかり忘れてる。それどころじゃないから)