木蔦(キヅタ)
2020-11-23 21:40:52
2897文字
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まんばと昔みたいに仲良くなりたい長義がまんばに腫物を触るような対応される話【ちょぎくに】


ちょぎくに

長義はまんばのことが好きだった。小田原の時のようにまんばが自分を慕ってくれると思っていた。

聚楽第の任務を経て、長義は本丸に顕現する。
「本歌様~!」ってまんばが抱き着いて来てくれるはずと思った。そしたら思いっきり抱きしめ返してあげようと思った。

が。

「あー……。や、山姥切、よく来てくれた。俺達はお前を歓迎する……

長義から目を逸らして、ぼそぼそと喋るまんばがいた。

明らかに歓迎してない。心にもない言葉!
「えっと?」
「お、俺はその、あんたが来てくれてすごく嬉しい」
そう言って走って逃げて行ってしまう。
明らかに嬉しそうじゃない。本心じゃない。
なぜだ、と首を捻る。すごく腫物を触るような感じだった。

まんばに好かれてる自信はあった。長義にすごく懐いていた。
他の本丸の仲間は普通。昔馴染みも何振りかいた。

まんばの不可解な態度だけはわからなかった。
それがわかったのはネットの掲示板だった。
山姥切長義ばかりが集まり、愚痴やら何やらを書きこむようなことに使われていた。

『偽物くんが生意気』
『この前偽物くんが歯向ってきた』

「"偽物くん"とは?」
長義は首を捻る。そして、掲示板の内容から察するに、それが己の写しであるまんばのことだと知る。
「え、待って、国広は別に偽物じゃないでしょ?なんで偽物なんて呼んでるの!?」
長義は驚いて掲示板に書き込む。

『君本当に同位体かな、山姥切問題を知らないの?』
『写しが俺の号を我が物のように振る舞ってるんだよ』
『山姥なんて斬ってないくせに本当生意気』

なんとなく事情は察した。同位体の主張はわからなくもない。

『で、でも、俺の写しなんだから、"山姥切長義の写しである国広"ってことでその号になったんじゃないかな?それにあれほどの傑作が名を広めるのは当然だと思うけど。なんせ俺の写しなんだし』
『そんなこと言ってると写しに存在を食われるよ』
『偽物くんを屈服させないと』
『本歌よりも下だってわからせないとね』

長義は同位体と解釈が違うと衝撃を受ける。そして本丸のまんばの態度に納得する。

――あの子はこれを知ってたから余所余所しい態度だったのか

掲示板ではまんばにどんなえげつないこと(R)をしたのか盛り上がってる。

長義は誤解を解くため、まんばとのコンタクトを試みる。
しかしまんばは気配に聡いのか、逃げ足が早いのか、なかなか捕まらない。部隊や内番も一緒にならない。

小田原の頃のようにまた一緒にいたい、そう伝えたいだけだった。

なんやかんやあって(便利な言葉)まんばを捕まえる。
やはり長義に怯えているのか、目を合わせてくれないし、ぼそぼそとした声。
まずは自分に慣れさせないと、あの時のようになれないなと思う。

「ほら、お食べ。お前甘いものが好きだったろう?」
練り切りを出す。まんばは昔のように目を輝かせる、

と思いきや。
「な、なんだ!何か入ってるのか!?」
カタカタと身体を震わせ、怯えている。毒でも入れたと思われたらしい。
「そんなわけないだろう!自分の可愛い写しに!何も入ってないよ」
食べてみれば無実だとわかるはずだ。本当に何も入れていない。だから一口だけでいい、食べてみてくれと言った。
「そ、それは命令か!?写しに拒否権はないっていうことか!?」
一層ガタガタ震え、涙目になったため、それ以上言うのはやめた。

また別の時、まんばがいたので呼びとめた。
「国広」
……
「国広!」
……?」
「国広!!」
「へ!?お、俺の事か!?」
「お前以外に誰がいるんだ」
「いや"国広"は兄弟もそうだから……。特に脇差の兄弟は兼サンから"国広"って呼ばれている
「俺が国広って呼んだらお前のことだよ!!」
「え!?あんたも、偽物くんって呼べばいいじゃないか!」
「自ら言うか!?お前は偽物なんかじゃないだろ!?」
「俺は偽物なんかじゃないが、お前は俺を偽物って呼べばいいだろ!?」
「待て待て!!」
ダッシュで逃げられてしまう。
長義は同位体を呪う。
どうしてこんなことに。
ただまんばと仲良くしたいだけなのに。小田原の時のように朝起きたら一番にぎゅってして、四六時中一緒にいて写しを愛でて、手取り足取り世話してやり、夜はおやすみのちゅーをするということをしたい。ただそれだけなのに
長義はまんばに素直に言う。
「また小田原の時のようになりたいんだ!お前に『本歌様』と呼ばれて無邪気に抱きついてきてくれたあの頃のように!」
まんばは顔を歪ませる。
「本歌様と呼ばれて、主人かのように敬われたいと?」
「違う誤解だ!」
「本歌と写しは格が違うと周りに示したいと?」
「そうじゃない!俺が悪かった!好きに呼べばいい!」

山姥切長義は意地悪だと思い込みがあるためなかなか意図が伝わらない。これもみんな同位体の所為だ。

同位体は山姥切国広を嫌ってる。演練や万屋に行くと、写しをいじめている同位体を見かける。強引にどこかへ連れ出す者もいた。相性が悪い。

「わかった、あんたが望むなら……本歌様……
「違うと言っている!長義でいい!」
「え……?山姥切じゃなくて……?」
まんばは心底不思議そう。
「俺は別にお前のことを疎んでいない。号もお前が奪ったとかは考えてない」
「そ、そうか
まんばはホッとした表情。ようやく分かり合えた。
「俺はただ、お前と小田原の時のように慈しみ、尊び、愛しみ合いたいと思ってるだけだ」
「ほ、ほんかさま……
まんばは長義をじっと見つめる。
「わかった、本歌様がそのつもりなら、俺も覚悟を決める」
「うんうん、これから仲良くしてくれると嬉しいな」
あわよくば恋仲になりたいけど、それはもう少し先の話だと思う。
まんばは真面目な表情でこくこく頷く。


夜、長義が寝ていると障子がススススーッと開く。敵かと思い、すぐに目が覚めたが、何やら様子がおかしい。それは長義の布団に入ってきた。

「く、くに!?」

それはまんばだった。

「な、何の真似だ!?」
「夜這いだ、襲い受け」
「よばっ!?」
なぜこんなことに!?いや嬉しいけども!
「あんたが言ったんじゃないか、俺と愛し合いたいって」
「え!?」
ああ、確かに昼間言ったなと思う。でもそういう意味で言ったんじゃない。
「あれは夜の相手をしろということだろ」
「ちが!いや、美味しいけど、違う!!」
「あんまり覚えてないが、小田原の頃こんなことやってたんだな」
「勝手に幼児趣味にしないでくれるかな!?人聞きが悪い!お前に手を出したことなんてないよ!」


そしてちょぎくには幸せになった(強制終了)
お付き合いありがとうございました!
本当はもう少し色気のある感じで誘ってるんですが、公ではこれが精一杯です!
お疲れ様でした!(*´∀`)