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木蔦(キヅタ)
2020-10-03 22:58:51
3835文字
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花吐き病①長義に特別な"偽物くん"がいると思っているまんばの話【ちょぎくに】
花吐き病
ちょぎくに
※長義に恋人がいます。
まんばは長義に恋していた。長義は他の本丸に比べると比較的穏やか、優しげ。まんばのことを偽物くんとは呼ばない。それも嬉しい。
しかしまんばは長義が「偽物くん」と呼んでいるのを聞いてしまう。
呼ばれたのはまんばではない。
長義が政府に勤めていた時の同僚だった。
まんばはそこで悟ってしまう。長義の特別な存在=『偽物くん』は彼だけで、他の山姥切国広はその大勢のうちの一振りなのだと。だからまんばも同じ本丸の仲間だが、ただのその辺の刀という扱いだと気づく。
政府まんばは極めてて、堂々として、まんばに対しても親切で、非の打ちどころがない。長義が好きになるのもわかる。
どこからどうみても完璧にお似合いのカップルだ、ふたりの間に入り込む隙なんてない。
まんばは長義のことを諦めようとした。諦めるつもりだった。
ある日長義と話していると、長義が目の前で咳き込む。まんばが何か咽せたのかなと思ったら長義は花を吐き出す。
そこでまんばは長義が片想いをしてるーーつまり政府まんばと付き合ってないことを知る。それとなく聞いてみると昔は恋仲だったが、別れてしまったとのこと。
昔の恋が忘れられない系
…
。
花吐き病は両想いにならなければ治らない。最悪死に至る。
まんばは長義が死ぬなんて嫌で、どうにかしてよりを戻せないか考える。
長義はまんばに「国広は気にしなくて良い」と言うがいてもたってもいられない。
こっそりと政府まんばのところへ。
長義の想いに応えてほしい、まだあんたことが好きなんだ、このままでは死んでしまう、と彼に告げる。
「そんな情けを掛けられて、長義は嬉しいのか?俺は気持ちを偽るなんて不敬だと思ってる」
まさにそれはそうだけど、生死がかかってる。助けてほしいと懇願する。
まんばの必死さについに政府まんばが折れる(Not破壊)。溜め息をひとつ。
「わかった、同位体がそこまで言うなら、応えてもいい」
まんばはホッとする。
「しかしそれは長義自身が俺に言って来たら、だ。治ったとわかった時点で別れる。それでいいか」
まんばはこくこく頷いて、お礼を言う。
しばらくして長義が怒って帰ってくる。政府まんばからまんばの話を聞いたらしい。様子がおかしいから問い詰めたとのこと。
「偽物くんから聞いて、もう見込みはないって確信した
…
」
これではよりを戻したとしても、本人は嘘だとわかっているから完治しない!まんばはショックを受ける。自分のしたことが完全に裏目に出た。
まんばは必死で謝るが、もういいと言われてしまう。
どんどん長義は弱っていく。まんばは助けたいけど、どうしようもない。申し訳なさから顔を合わすこともできない。
まんばの顔を見たら政府まんばを思い出して、恋しさで胸を痛めるかもしれない。
断罪されるかもしれない。それが怖くて、近づくことができない。
ついに出陣がなくなり、さらに寝込むようになる。自分のせいだ、俺が代われればいいのに、そんなことを毎日思う。
「兄弟、長義さんがそろそろだから、ひとりひとりにお別れを言いたいって」
「
……
わかった」
まんばは兄弟と共に長義の床へ。
さすがに兄弟の前で何か言ったりしないだろう、とずるい考えが浮かぶ。
しかし長義から最後にふたりきりにしてほしいと言われてしまう。
お前のせいで折れることになったんだ、余計なことをしなければ、いろんな罵倒が頭を過ぎる。
「すきだ」
まんばは耳を疑う。
「お前のことが好きだった」
長義は聚楽第任務を経て、ある本丸に配属された。そこでは己の写しがいた。
写しと言えば、本歌の号であるのに、図々しくも山姥切を名乗っている、くそ生意気な刀だ。政府の同僚にいたのだが、それはそれは気が合わなかった。
実は彼と一度付き合ったことがあったが、お互い気が強い所為で衝突してすぐに別れた。頼まれても山姥切国広を恋刀なんかにするものか、と胸に固く誓った。
が、配属先の写しは、それはそれは可愛らしかった。
控えめな態度、盗み見るような上目遣い、個体差なのか少し小柄な身体、健気に本歌に尽くす態度。
どれを取っても完璧、ドストライク。長義の心を射抜いた。
本当ならば「偽物くん」と呼ぶつもりだったが、そんな風に呼んで泣いてしまったら可哀想だ。「国広」と呼ぶことにした。
彼はとても可愛らしくて、何かしてやるとはにかむ。ちょっとしたことでも喜ぶので、微笑ましいなと思っていた。
ただ、やはり長義が本歌だからか、一歩引いた態度だった。
もっと彼と親しくなりたい。可愛がりたい。甘やかしたい。
そんな気持ちを持っていたが、どうすべきかわからなかった。
山姥切国広のことは山姥切国広に聞け。長義は政府で同僚だった山姥切国広に聞いてみることにした。
「そりゃあれだ、嫌われてるな」
「はぁ!?そんなわけないだろ!いい加減なこというな!!」
「というかどーでもいい」
「出たな本音」
政府まんばはあんまり協力的ではなかった。しかし彼に話すことで、自分の中での状況整理が付くので、長義は彼にたびたび会って、本丸まんばのことを話した。
ある日、長義は気分が悪くなり、嘔吐する。吐き出したのは黄色のパンジーで、長義は自分が奇病に罹った事を知る。
花吐き病は実らぬ恋に身をやつし、花を吐き続け、いずれは折れてしまう病気。治る方法は両想いになるしかない。
あの子を振り向かせよう、そう思う。
まんばには優しくしてるが、イマイチ。近所の親切なお兄さん止まりな気がする。
なんとかまんばに好かれたいが、なす術もない。また政府まんばに相談する。
「イイヒトで終わるタイプだな」
怒りの鉄槌。
しかし的を得ていて、何とも反論できない。
誤魔化しながら日々過ごしていたが、症状が悪化し、ついにまんばの前で吐いてしまう。まんばに根掘り葉掘り聞かれる。
「今、付き合ってるやつとか、いないのか
……
?」
「い、いないいない!」
「でも、政府の俺とは、すごく親しげだったし
……
」
「あれは腐れ縁なだけだ!そんな関係じゃない!」
「本当か?やっぱり写しなんかには興味ないのか?」
「そ、そんなことない!写しだって恋愛対象になり得るよ、現にあいつとは前、付き合って
……
」
「やっぱりそういう関係だったんだな!」
うっかり口が滑り、政府まんばと過去に恋仲だった事実を話してしまう。
「でもそりが合わなくて、すぐ別れたんだ!手すら繋いでないよ!」
まんばは聞いているのかいないのか、何か考え込んでいる。
まんばにバレた事を相談したくて政府に赴くと、同僚の様子がおかしい。言い淀んでる。
問い詰めると、あっさりと吐いた。
「あの子がここに来た。お前と恋仲になれだの、なんだの言っていた」
他人との恋を応援するくらい、見込みがない恋だということを知る。まんばには何とも思われてない。もしも自分なら絶対にまんばを他の男に渡したくない。応援するなんてもってのほか。
叶う希望はないと悟る。
さらにそのことをまんばに怒ったせいで嫌われたらしい。避けられ始める。探しても逃げられる。話しかけようとしてもなんやかんや用事を言い訳にする。
もうまんばに好かれるのは絶望的だった。
どんどん症状は悪化する。しかしもう折れてもいいかと思う。これだけ嫌われたら諦めがつく。
長義はこのまま運命を受け入れようと思う。
ほぼ毎日吐くようになり、めまいが酷くなる。出陣に支障が出てきたので、審神者に頼み、部隊から外してもらった。吐く量や回数も多くなって、身体もかなりやつれてきた。こんな姿を見られたくないから、避けられてて正解だったかもしれない。
そのうち起き上がれなくなった。
もういよいよか、と思う。
もういつ折れてもおかしくない、それならばもう何でもできる気がした。最期にあの子に想いを告げようと考える。
あの子からは想われなかったが、死に際に告白した男がいた事を心の片隅にでも思い出として置いてもらえるかもしれない。何か爪痕を遺せるのはいいなと思った。
審神者にはひとりひとりお別れが言いたいとそれっぽい理由をつけると納得してくれた。あの子に会える機会ができた。
兄弟刀と現れた写しは随分記憶よりも窶れていた。目は真っ赤だし、びくびくしている。
兄弟刀に頼み込み、二人きりにしてもらう。そして告白すると彼はポロポロ涙を溢した。
「俺も
……
長義が、すきぃ
……
」
しゃくりあげながら、涙声で告げられた言葉に驚く。そして急に気持ち悪くなり、嘔吐する。
出てきたのは白銀の百合だった。
ちょぎくにはっぴーえんど!お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!
どうでもいい設定
・政府まんばは散々「さっさと告白しろ」と言ってます。長義くんが怒った日も「お前が告白すれば済む話だ!」と言ってます。ただし長義くんは一切聞いてません。聞く耳持たず。
・本当は注意書きは「恋人がいました」って過去形なんだけど、ネタバレになっちゃうので「います」にしました。犯人は「どっちが本命なのかわからない方がドキドキするかと思って
…
」と供述しており
……
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