木蔦(キヅタ)
2020-06-26 07:29:29
5643文字
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大きくなったら結婚しようと言っていた幼馴染ちょぎくに【ちょぎくに】※現パロ


ちょぎくに
※現パロ



まんばと長義は幼馴染、兼、従兄弟。家も近く、いつどこにいくにも一緒。仲良し。
「大きくなったら結婚しよう」
「うん!」
男同士だけど、幼い頃はそんなこと関係ないから、結婚の約束をする。ずっと一緒にいたい。

しかしふたりは学年が違うこともあって、小学生あたりから疎遠になり始める。
堀川家も長船家も古くからある由緒正しいお家柄。まんばは堀川家の次期当主(ちなみに山伏や堀川くんもいるけど、乳母の息子。本物の兄弟のように育った。)
実は両家、親戚でありながら、すごく、仲が、悪い。


長義はすごく優秀で、成績も良く、運動もできる。子どもながらに意見もしっかり言えて、大人からの評価も高い。一方まんばは平凡。よく長義と比較される。

まんばはこんなんじゃいけない、これじゃ長義のお嫁さんになれない、と思うようになる。必死でがんばる。

親からは「お前は堀川家の当主になるんだから」「そんなんじゃ長船に負けてしまう」などと幼少時から言われている。まんばは長義と釣り合うようになりたい。

まんばは勉強や運動やクラブ活動など、人から評価されるものは、精一杯頑張る。

しかし年を追うごとに、長義はまんばに対し、冷たく接するようになる。
まんばはそれに対して、「自分がまだ相応しくないから」「頑張りが足りないから」「長義の隣に見合わないから」、そんな態度を取られるんだと思う。だから、より一層頑張るようになる。

高校に上がった時には、既に長義は別人かと思うくらい冷たい目でまんばを見下すようになっていた。叔父さん、叔母さんがまんばのことを貶すような嫌味を言っている。そこでまんばはようやく、長義がそうなってしまった原因を知る。
親によってまんばと長義が敵対するように擦りこまれていた。

また昔のように戻ってほしいと願うが、長義の態度は冷たいままで、学校でも距離を置かれる。

それでも堀川家の(次期)当主として認めてもらえたら、叔父さん・叔母さんの見る目が変わるのではないかと思って頑張る。
しかしそんなに気を張って頑張ってたら続かないもので、ある日まんばは体調を崩してしまう。風邪とは言え、休んだら出席日数(皆勤賞)に傷がつく。授業もみんなより遅れてしまう。まんばは熱っぽい身体に鞭打って、学校へ。

登校時はフラフラとしていたが、不思議な物で、ひとたび授業が始まってしまえば、背筋もピシっと、授業に集中できる。

なんとか授業を終えて一息つく。

実はこの頃、文化祭の準備も進んでいて、しっかり者のまんばはクラスのみんなから頼られて(仕事を押し付けられて)いる存在だった。だから授業が終わっても帰れない。
まあ大丈夫だろうと軽い気持ちで、作業に取り組む。
まんばは道具が足りなくて、美術室に取りに行った。そこでひとつ上の学年の長義にばったり会う。
「わっ」
「すまない、大丈夫か?」
長義がそっと腰を抱き、まんばは転ばずに済んだ。しかし長義は相手がまんばだと気付くと顔を歪める。
美術室でふたりきり。今は文化祭の準備で部活も停止中なので、美術部の部員も、美術の先生もいない。
「お前
そして何かに気づいたかのように、長義が顔に触れる。さらに不機嫌そうな顔。

長義が急に腰から手を離したので、まんばは慌ててしまって、バランスが崩れた。長義に思いっきり抱き着いてしまう。
「あ!すまない!」
まんばはすぐに離れるが、長義に引き倒された。
「お前はどうして熱のある体でそんなことしてるんだ?」
めっちゃ怒ってる。
今まで先生にもクラスメイトにもバレなかったのに、なんでバレたんだろうと思う。

そこにパタパタと足音が聞こえる。長義がまんばを放って、扉の方へ。ガラガラと開ける。
「あれ?ここに国広来てないですか?」
まんばのクラスメイトが探しに来た。長義の所為でクラスメイトからまんばは死角になってる。
「さっき戻ったよ、行き違いじゃないかな」
「ペンキが足りなくなったら、買い出し行かないといけないのに!先輩、ありがとうございます」
パタパタとまた足音が遠ざかって行く。長義が戻ってきた。
「買い出し、行かないと
「お前はそんな身体でまだおかしなことを言ってるの?」
長義は怒ってる。

「帰れ、お前なんかいてもみんなの邪魔にしかならないよ」
長義は怒っているが、その瞳にはわずかに心配の色が浮かんでいる。まんばはポカンとした。
「なに?高校生にもなって一人で帰れないの?」
「い、いや!帰れる!」

長義は先に美術室から出て行ってしまう。まんばはその後クラスに帰り、熱がある旨を仲のいいクラスメイトに話し、文化祭のアレソレを任す。
結局その後数日休むことになる。

まんばは考える。長義はあの時まんばを心配して、不器用なりに優しさをくれた。仕事を押し付けようとしたクラスメイトを追い返してくれたし、冷たい言葉を言い放ちつつ、帰るように促してくれた。
長義に嫌われてると思っていたが、少し違うような気がしてくる。

そしてその後もまんばがピンチになると、不器用なりの優しさを与えてくれる。(長いから端折るね!)

大学生になる。まんばはちゃんと勉強し、単位も取る。教授からの覚えも良い。家のこともしっかりやって、周りからも「堀川家当主に相応しくなったな」などと褒められる。まんばは認められるために、これまで頑張ってきた。
「これなら長船家の者達を出し抜ける」「やつらに目にもの見せてくれる」などと言っている。
まんばは思う。
堀川家の当主になりたかったのは、長義と釣り合う存在になりたかったから。決して彼を出し抜こうなどと考えてはいなかった。どうしてこんな風になってしまったのか。

こんなにも長義との距離が遠い。周囲が仲違いさせようと、いつも自分達を焚き付けてた。

自分が求めてるのはこんな関係じゃなかった。もっと側で笑い合って、楽しい事を共有し、悲しい事があれば慰め合う存在でいたかった。
あんなに努力をしたのに、遠ざかる。思えば幼い頃が一番近かった。何も知らなかったが故だが、簡単に心を通わせられていた。

そのうち大学も卒業する。大学の間は一切長義に会えなかった。

国広は父親の仕事を手伝うようになる。父親は地主で、いろんなところに土地を貸している。
正直仕事はそんなにない。どちらかというと副業の方が忙しい。飲食店の経営者をやってる。父親の趣味みたいなもん。

長船家も飲食店事業に乗り込んでくる。長義の発案らしい。長船の所為で売り上げが伸び悩む。
同じジャンルの物だからお互い客層を食い合ってしまってる。

「国広、格下ごときがうちに抵抗するな」
偶然会った時長義はまんばにそんなことを言う。その目は冷え冷えしてて、高校の時感じた微かな優しさは微塵もない。
でも長船にわざわざ明け渡す義理はない。副職とは言え、事業に失敗したら大打撃。
「後から出てきて何をいう。うちのシマを荒らしているのはお前だろ」
そう答えると何故か長義は満足そう。
「精々足掻けばいい。どうせ茶番だ」
鼻で笑って去っていく。

昔はあんな笑い方しなかったのに。まんばは昔が恋しい。戻りたい。

しかししばらくして、長船は飲食店の経営で失敗する。元々ある堀川家の方が強かったわけではなく、事業を広げ過ぎて、赤字が嵩み、縮小を余儀なくされた。そして徐々に縮小していき、ついには撤退していった。

堀川家には以前のような売り上げが戻ってきた。まんばはホッとする。

まんばは長義に縁談の話が持ち上がってるという噂を聞く。何年も会わずにいても平気だったのに、急にそわそわしてしまう。
もしかしたら高校や大学でも彼女がいたかもしれないのに、そんなこと考えもしなかった。

昔はお嫁さんになるなど、本気で思っていたが、今は無理だと知ってる。

しばらくして、美しい女性が長船家に訪れるようになったのを知る。きっと婚約者なのだろう。もやもや。

そしてある日、表で楽しげに女性と話してる長義を目撃してしまう。美男美女でとても絵になる2人だった。
まんばはほぼ条件反射で飛び出す。
「け、結婚するのか!?」
「おや、国広じゃないか。そうだよ、結婚する」
その言葉を聞いて愕然とする。まんばは長義にずっと恋してたんだなって自覚する。


「え?」
「結婚なんかしたら、やだちょぅぎぃ
涙をいっぱい瞳に溜めて、絞り出すようにそれだけ吐き出す。
長義から冷たい言葉が降ってくる。
「邪魔しないでもらえるかな」
声は怒気を含んでる。
「彼女と結婚すればようやく長船を継ぐことができるんだ。ここで余計なことを言うな。お前にそんなことを言われるのはイラつく」
まんばはひやっとなる。元々嫌われてるが、さらに嫌われたかもしれない。それに自分の想いが拒否されたことも傷ついた。
「ああ、もうお前の所為で台無しだ。お前の言葉一つで俺の努力が無駄になる。せっかくここまで来たのに」
責めるような言葉を言われ、まんばはしょぼん。

ふんわりと抱きしめられる。
「お前に泣かれるとつらい」
まんばはびっくりして涙が引っ込む。
「悪いけど縁談はなかったことにしてくれるかな」
「え、え??」
「追って連絡するから」
彼女はひとつため息を吐いて、去って行く。

「約20年間、ずっと努力してきたのに、お前の所為で全部パーだどう責任取ってくれるんだ」
長義はまんばの肩に顔を埋めて話す。少しこそぐったい。
「もう少しで長船を牛耳れるんだ、父親に結婚したら家督を譲ると約束させた。だから好きでもない女を娶ろうと思ったのに、それなのにお前と来たら
「え、え、すまない?長義がそんなに当主になりたかったなんて知らなくて。俺の発言があの女性に失礼なことだったから?」
「バカか!なりたいわけじゃない!」
「え?でもなるために努力してきたって?」

「お前と一緒にいたかったからだ」






~長義くんの事情~

幼ながらに長義は本気だった。まんばを娶る気でいた。しかし両親は頑な。堀川家に何の恨みがあるのか、口を開けば悪口ばかり。しかし当主である父親のいう事は絶対。
幼少時に無力なのを察し、何もできないと途方に暮れる。
そして長義は決意する。
父親を蹴落としてやる、と。

堀川家を嫌ってる父親に知られてしまうため、まんばとは仲良くできない。まんばは純粋で隠すことができないタイプだから、この事情を明かすこともできない。なにより、長義が想いを寄せてると父親に知られたら、まんばに矛先が向きかねない。長義はまんばを守るため、精一杯嫌ってるふりをする。

あとまんばに負けた時、裏で手を回してまんばを引きずり落とそうとする動きがあったため、まんばとは比較的ない程優秀でいなければならなかった。そのため、いろんな努力をした。

学校では父親の目は届かない。だからそこでなら少しくらいいいかと思っていた。しかし友人から友人の親へ、友人の親から父親へ、仲良くしている事が伝わり、学校ですらまんばに近づけないことがわかった。
なるべく冷たく接するように努める。継ぐまでの辛抱、それを自分に言い聞かせる。

幸いなことにまんばの周りには良い友人(山伏・堀川のこと)がいた。彼らに任せていれば、まんばは安心だと思った。

しかしまんばは真面目なので、周りの期待に押しつぶされかねない。たまに無茶をする傾向があるため、少し心配していた。

大学になると本格的に父親の元で仕事を学び始めた。長義には才能があった。何をどうすれば、どう動くのか手に取るように分かった。面白いくらいとんとん拍子に業績が動いた。

しかし長義の所為で大変なことになる。
「堀川家を潰そう」
事業が拡大し過ぎて、長船家は莫大な資産を持っていた。これを振りかざせば、堀川家はひとたまりもない。まんばは住むところを追われ、家族はバラバラになるだろう。そこでまんばを囲い込むのは容易かったが、まんばは悲しがる。
父親が堀川家を不動産業界から閉め出そうとしているのを見て、長義は咄嗟に言う。
「お、俺の発案で成功した金です、博打と思って俺に任せてもらえませんか。一度彼らの土俵で一度戦ってみたい。土地を奪っても副業があれば完全に潰したことにはならないし」

例え失敗したとしてもまだ未熟だったからという認識になるだけ。家督を継ぐのは先送りになりそうだが、まんばに手が伸びるのだけは避けたい。

そして長義は長船家の力を削ぐため、わざと失敗する。まだまだお前には任せておけんと言われ、先送りになりそうになった。

しかしそこで縁談の話が持ち上がる。融資の代わりに娘を長船家に嫁がせたいと。長義は最初渋ったが、「結婚すれば一人前だ、お前に家督を譲ってもいい」との父親の言葉で、気が変わる。
長船を牛耳ってしまえば、こっちのもん。一旦結婚しても離婚すればいい。長義は目的のために好きでもない女性と結婚することにする。

しかし、まんばがそんなことを言うとは思ってもなかった。長義は胸がぎゅーっとなり、今まで積み重ねてきた努力が無駄になると知りながら、まんばを抱きしめる。

まんばが「結婚しないで」なんて言うならしない。だって長義の行動理由は、すべてまんばのためだから。


~長義くんの事情終わり~





長義がまんばに言う。
「お嫁さんになってくれるんだろ?」
「え、いや、男同士じゃ、むり……
でもそんな常識的な返事を期待してるわけじゃないってわかってる。まんばは真っ赤になりながら、こくんと頷く。

ちょぎくにはっぴーえーんど!
お疲れ様でした!

この後は両家の反対を受け、長義くんが戦うことになります。まんばと共に!