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木蔦(キヅタ)
2020-04-26 00:53:45
4586文字
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恋がしたいまんばくんの話【ちょぎくに、兼堀あり】
※他CP(兼堀)があります。ただし惚気話程度です。
最近兄弟が可愛くなったな、とまんばは思ってる。いつもニコニコしてるし、たまに花が飛んでるように見える。超ご機嫌。話を聞いてみると、どうやら恋刀が出来たらしい。蕩けそうな顔でまんばにその刀の話をしてくる。
「それでね、そんなこと言われたらドキドキしちゃってね
…
!」
恋刀の事を話してる兄弟はとても可愛らしい。いつも兄弟は楽しそうだ。
まんばはその様子を見ていて次第にいいなと思うようになっていった。
「恋がしたい!」
まんばは遂にそんなことまで思うようになる。
「兄弟が羨ましい!俺も恋がしてみたい!」
「へー」
「兄弟はカネサンと付き合うようになってから、毎日キラキラしてて、楽しそうなんだ」
「ふーん」
「恋をするとドキドキしたり、ふわふわしたりするらしいんだ!」
「そうなんだ~」
打刀部屋でまんばがキラキラした瞳で一生懸命加州くんと大和守くんに話してる。加州くんが適当に相槌を打ってる。大和守くんに至っては無視。でもまんばは構わず話し続ける。
「あんなに楽しそうな兄弟は見たことがない!これもカネサンのお陰だ!そんなに楽しい気持ちになれるなら俺もしてみたい!」
「じゃあしたらいいんじゃない?」
今まで雑誌を読んでた大和守くんが提案する。加州くんは「ちょっと安定
…
!」とか言ってる。
「どうやって?」
「ん~まんばの本歌様にでも頼んで来たら?ほら、何でも与えてくれる四次元ポケット持ってるんでしょ?」
「安定、ちょっといい加減なことまんばに吹き込まないでよ」
「そうか!本歌にちょっと頼んでくる!」
「え、まんば、ちょっと
…
!」
まんばは長義くんの元までダッシュする。
「本歌
―――
!!」
長義くんの部屋に許可もなくまんばが入ってくる。長義くんは嫌そうな顔。
「偽物くん、ちょっと礼儀がなってないよ」
「それより本歌!」
「注意された側が『それより』っていうのはどうなのかな」
「四次元ポケット持ってるって本当か!?」
「俺は刀の付喪神であって、タヌキ型ロボットになった覚えはないよ」
「俺は恋がしたいんだ!協力してほしい!!」
まんばは長義くんの否定なんて聞いてなくて自分の欲望を主張する。ガクガクと本歌を揺さぶる。
「待て待て落ち着け」
長義くんの制止でようやく止まる。でもわくわくそわそわ落ち着かない。
長義くんがまんばの話をひとつひとつ確認するように聞いて行って、ようやくまんばの主張を理解する。
「ふーん、いいよ」
「ホントか!?」
「ただし」
まんばは距離を詰められて、身体が密着する。顔は吐息が感じられるほどすごく近い。
「お子ちゃまには刺激が強いかもしれないけど、いいかな」
今までそんな近い距離になったことがなくて、まんばはドキドキしてしまう。自然と顔が熱くなる。
「ひゃ
…
ひゃい
…
」
驚きすぎて舌が回ってない。
まんばはそれ以降、長義くんと恋刀の関係になる。朝一緒に庭を散歩したり、休日に手を繋いでお出かけしたり、おやすみのほっぺちゅーされたり。そのたびにまんばはドキドキしてしまう。
まんばは長義くんと会うのが嬉しくて、楽しみで、これが恋なんだなぁと思う。兄弟はこんな気持ちを味わってたのかと実感する。
ある日まんばはつい出来心で長義くんの唇に触れる。薄くて形が整っていて、綺麗なピンク色。指でスススーと撫でる。
触られた長義くんは不機嫌そうにして「お前は、どうしてそう
……
!」と呟く。まんばは触ったのが良くなかったのかと気付き、手を引っ込めるが、長義くんに掴まれる。そしてキスをされる。
今までほっぺにチュ
―
しかされたことなかったのに、いきなり深いキスをされて、まんばは目を白黒させる。
ぞわぞわして、怖くなって、まんばは長義くんを突き飛ばす。
長義くんはさらに眉を顰めて、ため息を吐き、立ち去ってしまう。
それからまんばは長義くんに避けられる。怒らせてしまった、嫌われてしまった、とまんばは気付く。胸が痛くて悲しくてとてもつらい。長義のことを考えたくないのに、つい思い出して、落ち込んでしまう。
口から出るのはため息ばかり。
「兄弟、最近元気ないね?」
堀川くんが話しかけてくる。まんばは事情を話した。
「兄弟は長義さんのことが好きなんだね」
「好き??」
「え、そうなんでしょ?」
「そうなのか?」
「だって今の兄弟、まるで恋する乙女みたいだよ?」
「え、だって、こんなにつらいのに、これが恋なわけないだろ?」
「兄弟は恋がどんなものだと思ってるの?」
「ドキドキふわふわキラキラにこにこした感じ」
「うーん
…
」
「違うのか?」
「違うというか、それだけじゃなくて、いつも飽きて捨てられないかハラハラ不安になるし、誰かと仲良くしてたらドロドロした気持ちになるし、ちょっとした意見の違いで無性に許せなくてガチで喧嘩になったりするよ」
「ハラハラドロドロガチンコが追加された」
これは新情報。
「だから兄弟は長義さんに嫌われたかもしれないって不安になってるんだよね?」
こくん。
「好きだから不安になるんじゃないかな」
「そうなんだろうか?」
首をひねる。兄弟はそう言うけど、まんばは固定概念もあって「つらい気持ちは恋じゃない!」って否定する。
だけどその後、他の刀と楽しそうに話してる長義くんを見かけてしまって、ドロドロした感情が湧き上がってくる。兄弟が言ってたのと一緒。
(他の刀にそんな笑顔向けないでほしい、俺だけ見てて欲しい。俺の事は避けてるのに、そいつにはそんな顔向けるなんてずるい)
恋はもっと楽しいものなのに、今とても苦しいから、これはきっと恋じゃない。
こんなに汚い感情は恋とは呼べない。
その後、長義がひとりになったのを見計らってまんばが突進する。
「なんで避けるんだ!」
問いただすと、長義逆ギレ。わけのわからない主張をし始める。
(なんでわかってくれないんだ
…
!)
とイライラし始めてしまう。そして言い合いの喧嘩に発展した時にまんばは自覚する。
(兄弟が言った通りだ)
堀川くんが言ってたことと全く一緒だが、気分はすごく悪い。こんな気持ちは不快すぎるので恋ではない。
まんばは押し倒される。そのまま馬乗りにされて、ボコボコにされるかと思いきや、長義がこの前のような深いキスをしてきた。
「???」
喧嘩してるのになんでキス??しかも食らいつくようにされてて、なかなか離れてくれないので苦しくなってくる。解放された時は息も絶え絶え。
「こういうこと我慢してるのに、お前は全然わかってない」
「こういう、こと
……
?」
はあはあ言いながらまんばはようやくそれだけ口にする。こういうことって喧嘩か?とぼんやりする頭で考えてたりする。
「お前、少し触れただけで
……
手繋いだだけで真っ赤になるし、慣れてないんだろうなと思って、ゆっくり進めてたのに全然こっちの我慢知らずに挑発してくるし、この前のキスだけで狼狽えて突き飛ばすし、いや性急に進めた俺も悪かったけどさ
…
!こんなにウブなのによく恋がしたいとか言ったな」
長義の主張は理解できない部分もあったが、馬鹿にされてるんだと言うことだけはわかる。
「あんたに頼むんじゃなかった!この気持ちは全然恋なんかじゃない!」
まんばはそう言い放ち、逃げていく。
様子のおかしいまんばを見て、加州くんが話を聞いてくれる。
「恋なんてしようと思ってできるもんじゃないんだよ」
「そうなのか
…
?じゃあ本歌に頼んでも恋なんてできなかったのか?」
「恋はするんじゃなくて、落ちるもんだよ」
「落ちる?」
「その人に落とされてるの。気づいた時にはその人のことしか考えられないくらい、自分が抑えきれないくらいになってるんだよ。その人のことを考えると楽しい気分になったり、苦しい気分になったり、自分の意思とは関係なくその人に振り回されちゃうの。」
そういえばここ最近、気持ちが暴走して、らしくないことばかりしていたなと気づく。
その起源は元を辿ればすべて本歌で、加州の言った事が本当だとすると、まんばは随分前から恋に落ちていたことに気づく。
「
………
折れたい
…
」
「折れないで」
「本歌に恋じゃないって言ってしまった
…
」
「謝ればいいだけじゃない」
「もう嫌われた」
「なんでそう思うの」
「避けられてる、怒鳴られた、喧嘩になった」
「それ、理由がわかってるの?」
「嫌われてるから」
「いやいやいや、あの長義が、そんなにすぐ
……
。いや何でもない。嫌いだからだとしても、ちゃんと理由聞いてきな。ダメなところがあるなら聞いて『直すからヨリを戻して欲しい』って縋ってきな。今ならまだ取り返しはつくから」
「今なら?じゃあ時間が経つともう取り返しつかないのか?」
「付かなくはないけど、お前が謝りづらくなるでしょ。『今更言えない』とか」
まんばは加州くんの話を聞いて、びくびくしながら長義の元へ向かう。
「俺が間違ってた、すまない」
まんばは誠心誠意謝る。まんばの気持ちを理解した長義はため息を吐いて、いいよと言う。
「もうそこは諦めてる」
「あ、諦めてる
…
!?もう戻れないのか
…
!?」
「いや違う、そうじゃなくて。当分自分を抑える決意をしただけだ」
「抑える!?俺が嫌だけど我慢して付き合うってことか!?」
「ああもううるさいな偽物くん!」
「偽物って呼ぶくらい嫌いなのか!」
「違う!」
「そういえば嫌われた理由を聞かなきゃいけないんだった!嫌いなとこは直すから教えてくれ!」
「直らないからいい」
「直せる!」
「直せない!」
「やってみなきゃわからないだろ!」
「お前のそれは折れるまで直らない!」
「
…
折れてくる」
「物の例えだ馬鹿!」
まんばは意図を理解できないまま、何故か元鞘に戻れた。
恋愛初心者のまんばのペースに合わせて我慢を強いられてる長義がいたとかいないとか。
恋をしたいまんばくんの話、完。
おまけ。
加州の助言によって、恋を正しく理解したと思われたまんばだったが、感情の起伏を恋と思い込んだまんばはたびたびこんなことを言う。
「今日は主に褒めてもらえた。すっごく嬉しかったから、きっとこれは恋だ」
「さっき長谷部に理不尽に怒られて、イラついたからきっとこれは恋だ」
「時間遡行軍を相手にしてると気持ちが高揚する。恋かもしれない」
「ち・が・う・よ!!」
そのたびに長義が否定するが、まんばは懲りずにたびたびそんなことを口にする。
「でも一番恋なのは長義だから大丈夫だ、安心してくれ」
「『一番恋』ってなんだ
……
いやもういい、なんでもない
…
」
ChogiKuniHappyEndYeah!!!
お付き合いありがとうございました!ありきたりなネタですみません!そして他CP出してすみません!
お疲れ様でした!
今回の本歌さんは比較的写しに対抗意識が低い持てあた個体。大人な余裕がある。しかしまんばくんの暴挙にたびたび苦労させられる可哀想な個体。
まんばは比較的卑屈少なめ。恋に限らずいろんなことで暴走する。思い込んだら誰も止められない。加州くんの助言に耳を傾けたのは奇跡。
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