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木蔦(キヅタ)
2020-04-16 12:54:40
1458文字
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風邪薬と間違えて媚薬を飲んでしまったまんばの話【ちょぎくに】
数日前から国広は体調を崩しているようだった。
よく咳き込み、鼻声だった。早めに薬を飲みなねと彼は兄弟に忠告されていたが、飲んだ素振りはまったく見受けられなかった。
そしてついに今朝起きて来ず、様子を見に行くと熱で動けなくなっていた。
布団の中から這い出た状態でぐったりとしている彼を見つけ、慌てふためいたものだ。
今は布団の中で大人しくしている。普段ならば安静にと言われてもいう事を聞くような性格ではないが、動けないらしく布団の中で留まっている。
「ったく、体調崩したならなんでちゃんと薬を飲まないんだ」
彼の額に冷却パットを貼りながら叱ると、唇を尖らせて言い訳がましくを呟いた。
「だって、薬、苦いし
……
」
彼は苦い物が嫌いで、薬を飲むのを特に嫌がる。逆にお菓子などの甘いものは大好きで、味覚は子どものようだった。
「じゃあ甘ければ飲むのか?」
そう聞くと少し目を泳がせた後にコクリと頷いた。溜め息を吐くと、部屋を出る。向かうは医務室だ。
確か甘いシロップの薬があった覚えがある。それを処方してもらおう。
事情を説明して、咳にや熱に効く薬をもらった。帰って来てみると彼はゲホゲホと咳き込んでいる。
「大丈夫か?」
彼は渋い顔をしながら、コクリと頷いた。
「ほら、シロップをもらって来たから」
一回分を容器で計り、彼に渡す。彼は薬と俺を交互に見て俯いた。
「国広、甘ければ飲むって言ったよな?」
彼は唇を噛み締め、逡巡した後、思い切ってぐいっとそれを呷った。
「その薬、ちょっと待った!!」
部屋に駆け込んでくる者がいた。パチクリと視線をやると、ぜーはーと肩で息をしている。かなり慌てて追って来たらしい。
「薬、待った!間違えて渡しちまった!」
「え
……
!?」
パッと彼を見るが、もう薬を飲みこんだ後のようだ。今更遅い。本人は意識が朦朧としているのか、乱入者の声には反応せず、ぼんやりしている。
「間違えたって、一体何を
…
!?」
身体に毒になるようなものじゃないかと心配になり、問いかける。乱入者は遅かったか、と頭を抱え、ひとしきりうんうん唸った後で、俺の質問には答えた。
「健康を害すわけじゃないが
……
ある意味厄介かもな
…
。渡したのは媚薬だ」
「び、媚薬
……
!?」
「きっとつらいだろう。だからしばらくひとりにしてやりな」
そうアドバイスして去って行った。
チラリと彼を見ると、先ほどよりも息が荒い。熱が上がってきたのか、はたまた媚薬の所為なのか。
「ん
……
くぅ
……
う
……
」
頬は赤らんで、ぼんやり天井を見ている瞳は潤んでいる。はふはふと苦しそうに息をしている唇は赤い。それを見たら目が離せなくなって、何かに取りつかれたように近づく。覗き込むと、ますます引き寄せられて、彼に覆いかぶさった。
「くるし
……
」
彼はうわ言を呟き、こちらに腕を伸ばした。その腕が首に回る。
いけない、風邪が自分にも移ってしまう。そう考えるが、振りほどくことができない。
「ちょう、だい
……
?」
理性の弾ける音がした。
そして俺は熱い息を繰り返す唇を貪った。
暗ヽ(・ω・)ノ転
無理をさせてしまったようでぐったりとしている。
熱があるのに抱くなんて非常識だった、と自己嫌悪に陥った。
しかし運動して汗をかいたお陰で少し熱は熱が下がったようだ。
彼の額に手を当てたが、それほど熱くはない。
そして数日後、風邪を引き、寝込む俺がいた。
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