木蔦(キヅタ)
2020-03-30 23:21:09
3108文字
Public
 

まんばを拗らせてる長義の話【ちょぎくに】


加州くん視点で。

長義は毎回まんばに突っかかる。まんばが気に食わないらしい。

まんばは極めていることもあってクールな性格だった。審神者に重きを置き、審神者中心で物事を考えるため、長義との衝突が不利益だと感じた場合は自分が折れることも(Not刀剣破壊)厭わなかった。それもまた長義の癇に障った。
長義がまんばと一緒の部隊だったらしく、今日も嫌味を言いに行っている。
(嫌いなら突っかからなきゃいいのに
嫌味を言ってもまんばに「そうか」と流されて、長義はまたプンプン怒っている。
(なんかアレだな。まるで構ってほしいみたい。)
そう思うとしっくり来た。
まるで審神者から聞いた小学生男子のようだ。好きな女の子にちょっかいをかけて、構ってもらいたがるらしい。
(うわそう思うとぴったりじゃん!)
いつも真っ先にまんばに向かっていくし、感情剥き出しにするのはまんば関連だけだし、まんばの前だとこれ見よがしに自慢話が始まるし!

しかしまんばの方はまったく相手にしてない。まさに『あうとおぶ眼中』というやつだ。(まったく眼中にないことをこう言うのだと審神者が言っていた。)

(じゃあ長義ってまんばが好きなの?しかも失恋??)

プンスカ怒っていた長義に加州が近づく。
「何怒ってたの?」
「偽物くんがさ、口を開けば主、主と馬鹿の一つ覚えみたいに言うもんだから、呆れてしまってね!」
「まあまあ、主にまでヤキモチ焼くことないじゃん。主は俺らにとって特別でしょ?そんなに気にしなくても」
「ヤキモチ?」
きょとんとしてる。
「誰が?誰に?」
「長義が、主に。」
「なんで?」
「え?好きなんでしょ?まんばが」
「俺が?」
「そうでしょ?どこからどう見ても」
長義は固まってしまう。
まさか自覚がなかった
言っちゃいけないやつだっただろうか、と加州は不安になる。
すぐさま長義は復活した。
「まさか!俺は偽物くんが大嫌いなんだからそんなわけないだろ!」
「奇遇だな、俺も本歌のことは好きじゃない」
「に、偽物く!?」
すぐ後ろにまんばが現れた。
「だからあまり近づかないでくれるか」
まんばは去っていく。売り言葉に買い言葉的な『嫌い』じゃなくて『好きじゃない』って所が現実味がある。本当に好きじゃないんだろうなと加州は思った。
長義は固まってる。
「大丈夫?」
「べ、別にショックなんかじゃない!傷ついてないからな!」
「ショックだし傷ついてるんだ……
可哀想……と加州は思う。心なしか背中を丸めているように見える。
今まさに恋の自覚と失恋の瞬間を見た。
「まーまー、叶わぬ恋だったってことで。自業自得だし、諦めなよ」
「恋なんかじゃ!」
まだ言ってる。
「恋じゃないならまんばに嫌われても平気じゃない?」
「お、俺は偽物くんに嫌われてない!好きじゃないって言われただけだ!普通写しは本歌を敬うものだ!それなのにあの偽物くんは」
「どっちでもいいけど、そういう態度だから好かれないんじゃない?」
クリティカルヒット。
何やら長義は落ち込んでしまった。
「お、俺はどうしたらいいんだ
「恋じゃないんでしょ?別に放っておけばいいじゃない」
「恋じゃないけど、放っておけない!偽物くんに好かれる方法はないのか!?」
長義に縋られる。
「うーん……
初期刀だから頼られると弱い。協力してあげたくなる。だけど明らかに脈はない。
「諦めた方が早くない?」
めんどくさいので、失恋の方向へ促す。
「俺が!偽物くんごときに!振られるって言うのか!?」
「いや完全に振られてんじゃん」
再び落ち込む。
「もう好かれる方法はないのか?」
「やっぱり好かれたいんだ」
「写しは本歌を慕うものだから
「言い訳はいいから」
加州くん的には面倒くさいのは嫌い。長義はくだらないことをグダグダ言って面倒くさい。でも可哀想なので初期刀のサガ的なもので放っておけない。
「あるにはあるけど」
「教えてくれないか」
「良いケド、ちゃんと俺の言うとおりにする?」
「もちろん」
「自分の意に沿わなくても?」
「う……善処しよう」
「まあやらないなら諦める方向で」
やろう」
「おk」
まず『偽物くん』呼びを辞めることを提案。長義の眉間に皺が寄る。
次に紳士に優しく笑顔で接することを提案。長義の顔が引き攣る。
さらに高慢な態度を改めることを提案。長義がプルプルと震え出した。
「無理しなくていいよ、諦めれば楽になるし」
「むりはしてない」
「いやもう限界に見えるけど」
「それで、続きは?」
とりあえずここまでで、普通の友人レベルになれるのでは、と加州の推測を述べた。マイナスからスタートなので±0になることすら大変。それを伝えると長義は先が長いと遠い目をした。


長義がまんばに話し掛ける。
「にせ……く、国広!」
まんばは目を丸くして停止する。
「本歌は、……悪いものでも食べたのか?」
「失礼な!」
「熱が、あるとか?」
「俺がお前を名前で呼んだらおかしいか?」
「いや、その、……うん。」
「素直か!」
「なんか、その……気持ち悪い。生理的に無理」
女子か!!!
『気持ち悪い』発言で既にショックを受けていた長義は硬直してる。

「まんば、さすがにその言い方は
「あ。すまない、配慮に欠けていた。長義の容態が急変した」
「それが配慮した結果!?病気みたいに言わない!」
「病気じゃないなら呪術か?」
「そこまでおかしいって思ってるの!?」
「に、にせ、国広!」
「あんたどうしたんだ、いつも俺を偽物と罵るくせに、今更手のひら返しても無駄だぞ?」
やはり脈なし。
「べ、別にお前に好かれたくて呼び名を変えたわけじゃない!」
「じゃあなぜだ?」
「な、なぜ!?えーっと
チラッチラッと加州を長義が見る。言い訳など考え付かないらしい。
「ほらまんば、長義はお前と仲直りしたいんだってさ」
「何かの罠では」
「違うってーの」
ぺしんとまんばの頭を叩く。
「今までああいう態度取ってたから、仲直りしたくてもやめるにやめれなかったんだってさ。ほら、今までの事を水に流せとは言わないけど、その思いだけは認めてやったら?」
「ふーん??」
長義がキラキラした瞳で見てる。『加州清光良くやった!』くらいの気持ちかなと思う。
「今までの事を謝るなら、これからのことを考えなくもない」
「え〝!」
「よかったじゃん、長義」
長義が加州に詰め寄り声を潜める。
「俺が謝るのか!?偽物くんごときに!?」
「さっきの約束忘れたの!?高慢な態度は取らない!ほら好かれたいなら謝って謝って!」
長義はしぶしぶまんばに向き直る。顔は不本意そう。
「わ、悪かった。反省してる
まんばは目を丸くする。
「謝った!本歌が!気持ち悪い!生理的に
「その下りはいいから!」

その後、加州のアドバイスのお陰か普通に話すようになった。まんばは竹を割ったような性格のためか、過去は過去、今は今と長義に対し嫌がる様子もない。

長義が毎回好かれようと頑張ってるようだが、まんばは特に気持ちは動いてなさそうだ。
そもそもまんばは色恋に興味がないので、落とすのは難しいのではないかと思う。
まんばのことは初期から面倒見てるので、大体のことはわかると自負してる。

とりあえず初期刀としてふたりのことを見守っていこうと思う加州清光だった。





「拗らせてんの、まんばじゃなくて長義なんじゃ?」
って言わせたくて始めたネタ(言ってない)