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木蔦(キヅタ)
2019-12-31 10:16:42
4860文字
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審神者同士が仲が悪いけど恋人同士のちょぎくに【ちょぎくに】
ちょぎくに
※審神者出張ります
まんばはある本丸の初期刀。審神者は女性。女審神者には仲の悪い審神者がいる。演練などで会うと嫌味や口論になったりする。お互い嫌いあってる。
仲の悪い男審神者の近侍は長義。
「いい!?あんなとこの刀と口聞いちゃだめよ!性悪なのが移っちゃうんだから!」
プリプリと女審神者が今日も怒ってる。まんばは女審神者の後ろに付き従ってる。
「ああ」
「もう!なんであんなやつが審神者やってるのかしら!」
奥ゆかしさのかけらも無くドスドス歩く。まんばは女審神者の様子を伺い、「そういえば演練結果を政府に提出するのを忘れていた。先に帰っていてほしい」と告げる。女審神者はわかった、よろしく、と他の刀たちを連れて先に本丸へ帰る。
まんばは踵を返し、来た道を戻る。少し小走り。
まんばは目的の人物を見つけ、パッと笑顔になる。よく辺りを見回し、呼び止めた。ひとけはない。
「長義!」
「国広
…
」
まんばは思い切って長義に抱きつく。長義は慌てて柱の影にまんばごと隠れた。
「会いたかった」
「俺もだよ」
口づけを交わす。
長義はまんばの主と仲の悪い男審神者の刀。ふたりは恋仲で、こっそり隠れて付き合っている。審神者に見つかろうものなら大変なことになる。反対されるのは目に見えている。
「ずっとこうしていたい」
「そうだね」
愛の言葉を交わし合い、触れ合っているうちに時間は過ぎていくもので、帰らなければならなくなる。後ろ髪引かれる思いで、ふたりは別れた。
まんばは長義ともっと一緒にいたい。だけど現状では無理なことはわかってる。そして本丸を捨て、駆け落ちする度胸もない。つらいながらも現状維持をするしかなかった。
しかしひょんなことから、まんばは真実を知ってしまう。実は長義がまんばに近づいたのは、女審神者を出し抜くために男審神者が長義に指示したことだった。
「嘘だろ
……
じゃあ、好きだって言ってくれたのも、一緒にいたいって言ってくれたのも、全部嘘だったのか!?」
「
……
そうだよ」
「
……
!!」
まんばは長義を叩く。
「サイッテーだな!あんた」
まんばは走って逃げていく。
「ごめん、ごめん、主」
本丸に帰り、今まであったことすべて泣きながら女審神者に話す。女審神者は最初は驚いていたが、長義に騙されたことを知ると怒り出した。
「やっぱり!あそこの刀は信じられない!うちの子を弄ぶなんて!」
そして今まで秘密にしていたまんばを叱るでもなく、慰めてくれる。
「いい?もう彼らの言うことは信じちゃだめよ?何を考えてるのかわからないんだから」
「ああ」
数日後、長義と会う。何だか表情が暗い。もう恋人じゃないから、微笑みかけてくれないので、暗く見えるのかもしれない。しかし審神者達の前とは言え、いつももう少し凛とした表情だった気がする。
まんばは長義を見ていたが、胸がズキズキ痛んで、目をそらす。まだ失恋の傷は癒えてないため会いたくなかった。
「うちの子を傷つけた罪は重いわよ!なんて卑怯な事を考えるのかしら!」
審神者は言い捨てて、ぷりぷり去っていく。まんばも審神者について行く。
まんばは演練を終え、少しフラフラ、と仲間から離れた時だった。誰かが腕を引っ張り、まんばはよろける。抱きとめられて、どこかに引きずり込まれた。
「国広」
「な、長義!?」
みんなから死角になるような壁際&柱の影に引っ張られたよう。
ぎゅぅと抱きしめられる。
長義はなんだか憔悴している。
「この前はすまない、心にもないことを言った。事情があったんだ
……
。お前のことを考えてここ数日つらかった
…
」
「長義
…
?」
しかしまんばの中で女審神者の言葉が蘇る。言うことを信じちゃいけない。信じられない。また騙されてしまう。
「一度はお前を手放そうと思った。だけど、無理だった
……
!だから
…
」
まんばはゆっくりと長義の胸を押し返す。そしてゆっくり頭を振った。
「あんたのことは信じられない」
「国広
…
!」
「今後、俺には近づかないでくれ」
まんばは仲間達の元へ帰って行く。
本丸に帰ったが、どうしても長義のことが気になる。彼らしくない弱々しさがあった。
(騙してたのが嘘
…
?いやでもバレた時の反応はリアルだった
…
。暗い表情をしてたのはただの罪悪感から?それとも本当に事情があったのか?)
信じたい想いともう傷つきたくない想いがせめぎ合う。
(主は信じるなと言っていた。主の方が人を見る目があるのでは?長い間存在すると言っても人としての経験は浅い。俺は実は騙されやすいのでは?)
悶々とまんばは考え、塞ぎ込む。
女審神者から、しばらく演練には行かない方がいいと言われる。私情で近侍の任務を疎かにするなんてできないとまんばは主張するが、女審神者は近侍だからこそ狙われたんであって、大事な近侍を危険に晒す事はできない、まんばの優しさにつけ込んでまた何か仕掛けてくるかもしれない、と言う。
まるで怠慢なようで、まんばは納得できないが、女審神者に主命だと言われてしまう。まんばはしばらく演練には行かず、本丸待機となった。
そうするとまんば宛に文が届くようになる。政府の特殊な回線を使い、審神者同士がやりとりできるシステムがあるのだが、それを通じて長義から毎日文が来る。
内容は、信じてほしいだの、会いたいだの、復縁を願うものばかりで、審神者が怒って消してしまう。毎日文が届くたびにまんばの元へ来る前に審神者が消すため、今はどういう内容が書かれているのか知る術はない。
しかし文がきていることは知ってるので、まんばは長義のことが気になってる。
文の内容を知らないと、想像ばかりが膨らんでしまう。数日だけでだいぶ暗い顔をしていた。ちゃんとご飯は食べてるんだろうか、寝てるだろうか。本当は事情があったのに、まんばが聞いてあげない所為でノイローゼになってるんじゃないか。徐々に自分が悪いことをしている気分になってくる。
まんばは気になって気になってしょうがなくなり、ついに隠れて演練の部隊にこっそり付いて行ってしまう。
目的地に着くと、女審神者にバレないようにと、すぐに部隊から離れる。物陰に隠れてやり過ごす。長義はいるだろうか、と辺りを見回す。
すると、後ろから手が伸びてきて、口を塞がれる。
「んぐっ」
「しっ」
身体も後ろから抱き締められ、身動きが取れない。
「国広、ようやく会えた」
まんばは顔が動かないので目だけそちらに向けると、長義がそこにいた。
まんばはドキドキしてしまう。
長義はまんばの肩に寄りかかり、はぁ、と息を吐いた。
「久々の国広だ
……
」
ぎゅぅとまんばを抱く腕にさらに力が篭る。そしてしばらくの間長義は動かなかった。
まんばもまんばで、久しぶりに会う長義にどう反応していいかわからなくなっていた。
まんばは長義を信用したわけでも、嫌いになったわけでもない。愛おしいという想いはあるが、このまま抱き返してしまえば、取り返しがつかない事態になるのではとも思っていた。
「審神者殿と一緒でないということは、俺に会いにきてくれたんだろう?」
その通りだ。まんばは図星を突かれ、口を噤む。
少しだけ拘束が緩んだのでまんばは長義の方を振り向く。彼は若干やつれていて、目の下にクマもある。
「長義、もしかして寝れてないのか!?」
「お前と別離の危機なのに、おちおち寝てられるわけないだろ」
まんばが心配した通りだった。
「でももういい。お前が戻ってきてくれた」
再びぎゅぅと抱き締められる。まんばは自分の腕をどうすればいいのかわからない。
「国広、聞いて欲しい。お前には誤解されたくない。俺が浅はかだった。俺にはお前がいないと駄目だ」
「えっと
…
わかった、聞こう」
だから離してくれないかというと、ようやく身体が離れた。
「お前の事を好きだと言ったのは主の指示だ」
まんばはショックを受ける。しかし、と続いた。
「お前の事を好きなのは事実だ、いや、正確にいうと、嘘をついていたが、事実になってしまった」
「
…
?」
「偽ってお前のそばにいるうちに、お前の事が好きになってしまった」
まんばは意味を理解し、赤くなる。
「酷い男の自覚はある。お前を唆して、情報を聞き出していたのだから。だからずっと罪悪感に苛まれていた。そしてお前に知られた時、もう手放そうと思った。こんな悪い男が側にいていいはずがない。だけどいざそうなってみるとつらかった。
四六時中お前といたいと思っているのに、別れるなんて到底無理だった。この感情を軽んじた俺が浅はかだった。こんなにもお前の事を愛しているのに。お前を傷つけたことをすごく後悔して、謝りたかった。すまない。」
「え、いや
…
」
「会えなくなって、すごくつらかった。どうか、俺ともう一度、やり直してもらえないだろうか
…
?」
まんばは迷う。信じていいのかわからない。信じたいけど、それは自分の希望で真実が目隠しされていて、他から見たら体のいいように騙されてるのかもしれない。正常な判断ができない。また傷つくのは嫌だ。
だけど、ここで信じなければ後悔することになる。会えない日、ずっと信じればよかったんだろうかと自問自答していた。このまま帰ればまた同じ気持ちになる。
まんばは頷こうとした、しかし、そこに第三者が現れる。
「あ
…
!また性懲りもなくうちの刀に手を出して
…
!一度ならず二度までも
…
!なんてやつなの!」
「あ、主
…
!?」
女審神者が現れる。まんばを引き離す。
「大丈夫?何もされてない?脅迫されて呼び出されたの?気付かなくてごめんね」
「いや主、俺が勝手に
…
」
「勝手に?ああ、毎日文が届いてたら気になるものね。そういう心理描写を利用して呼び出されたのね」
女審神者はまんばの頭を撫でながら言う。
「いい?貴方は騙されやすいから、あんなやつの言う事真に受けちゃ駄目よ。また利用しようとか考えてるんだから」
「俺はそんなこと!」
「黙りなさい。一度嘘を吐けば、信じてもらえなくて当然でしょ」
長義は黙り込む。
「すまない、主、俺はもう一度長義を信じたい
…
!」
まんばは吐き出すように話し始める。
「主の言ってることは正しいってわかってる。また騙されるかもしれない、利用されるかもしれない。だけど俺は長義のことが好きで、会いたい、一緒にいたいんだ
…
!」
「国広
…
」
「主命に背くなんて、大それた事だってわかってる。俺から本丸の情報を漏らしたりなんかしない。だから、会う事だけは許してほしい
…
!」
まんばの悲痛な訴えに女審神者は折れる。
「わかった、あなたがそこまで言うなら良いわ。だけどそこの男を信用したわけじゃないからね」
そうしてちょぎくにはまた会えることになり、
ChogiKuniHappyEndYeah!!
お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!
■どうでもいい設定
・男審神者にはバレたことを長義から話した。「じゃあもうハニートラップは無理だな~」くらいのテンション。あんまり重要視してない。
・女審神者と男審神者は憎み合っていて、どうにかして相手の足をひっぱって蹴落としてやろうと思ってる。ただ実行はしてない。
・まんばを騙してる時、長義くんは常々「俺と別れた方が国広のためだな」「いずれ手放さないといけない」「こんなことがバレたら嫌われて捨てられるかな」と思ってた。だからバレた時も別れる方向に持って行ったが、考えていたより自分がまんばに惚れこんでいて、大ダメージを受けた。
付き合ってた頃の会えない1日よりも、別れた後の会えない1日の方がつらい。
・「これは思ったよりもショックだぞ
…
?」→「会いたい、つらい」→「(好きだと言う自覚は以前からあったが)俺はそんなにもあいつに惚れこんでいたのか
…
?いないと生きていけないくらいに
…
?」→「よりを戻そう」
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