木蔦(キヅタ)
2019-11-17 23:23:04
7578文字
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明治くらいのお金持ち設定で、従兄弟ちょぎくにがダンスを踊る話【ちょぎくに】※女体化、他注意書き多々あり


ちょぎくに
※女体化
※現パロ?お金持ち設定
※長義くん少しキザめ
※設定上オリキャラ(まんば&長義の祖父)が出張ります。

まんばと長義は従兄弟同士。小さい頃から何度か会う機会があった。長義はまんばの事を虐めたり、突き放したり、からかったりしていた。

一方まんばは幼いながらも、長義の事を好きだった。だけど長義からは嫌われていることも知っていたし、引っ込み思案な性格のせいで長義に自ら絡みに行くことはなかった。

二人が会うのは年に数回。正月とお盆などの親戚行事くらい。大きくなってもまんばの想いは変わらず、「長義お兄ちゃん、かっこいいな」と少し離れて見ていた。
まんばは自分から話しかけないものの、長義はたまにまんばに突っかかってくる。
「こっち見ないでくれるかな、虫唾が走る。」
「またそんなみすぼらしい身なりをして。少しは気を使ったらどうかな」
「お前はいつまで経っても親に引っ付いて何もできない子どもなんだね、いい歳して」
まんばはたじたじ。憧れのお兄ちゃんだが、まんばに対してはキツくあたるので、それが嫌だった。

長義はまんば以外には優しく接している。この前学校で女生徒に紳士な対応をしていたのを見かけた。自分はそんな態度されたことないのに、赤の他人が親切にされるなんて、すごく悲しかった。


そんなある日、お爺様のお誕生日会として仮面舞踏会が開かれる。実は名目としてはお誕生日会だが、祖父のお気に入りのまんばを社交界デビューさせる目的の物だった。祖父はまんばの性格をよく理解していて、恥ずかしがり屋なまんばはこういう場が苦手だろうからという配慮から仮面付きでのパーティを企画した。祖父的にはあわよくば、ここで未来の婿が見つかるキッカケになればと思っている。相当まんばをかわいがってるので、早く曾孫が見たい。

そうとは知らず、お爺様のお誕生日会にまんばは参加する。今までも参加してはいたが、親の影に隠れてじっとしており、親戚以外との交流はなかった。

今回、親が行けない(わざと)とのことでまんばは一人でパーティに参加することになる。親がいないだけで、他の親戚はいるので、その人達のそばにいればいいのだが、如何せんまんばは親戚に対しても一歩引いた気持ちがあった。それでも赤の他人よりはマシ、と親戚のそばに行く。

まんばはお着替えの時におば様方のドレスを見てるので、仮面ありでも自分の親戚がわかる。まんばはお爺様からこの日に着て欲しいと言われて良いドレスをもらっており、さらにおば様方におもちゃにされたので、普段からは推測できないお嬢さんになってる。

主役であるお爺様への挨拶も済ませ、親から渡すように言われたプレゼントも渡した。お爺様は他の来客の方々(政界の人やどこかの社長などなど)を相手にしている。

※時代は明治ら辺をイメージ。
パーティ会場でダンス予定してますので、踊れるくらいの広さ。立食パーティー。
客は50代くらいの年配から学生まで。50代くらいは取引先などの本当の客。若い子はまんばのために集めたお金持ちの息子たち……


おば様方はお爺様の目的を知ってるので、そのうちまんばを置いて何処かへいなくなってしまう。
まんばは気づけば一人になっており、心細くてうろうろ。

まんばは正直帰りたい。しかし迎えは決まった時間にしか来ないので、ここにいるしかない。

まんばは自分の顔が嫌いなので、仮面のお陰で顔が他人から見られなくていいと思っていた。しかし意外と視界が狭い。そのせいで飲み物を倒してしまった。幸いにもドレスには掛からなかったが、手が濡れてしまった。お手洗いにでも行って洗ってこようと思う。(テーブルや床に溢れた飲み物は使用人が拭いてくれた。)

「よかったら、これを」
まんばの手元にハンカチが差し出される。灰色と青の品の良さそうなハンカチだった。まんばが見上げると銀髪で顔をほとんど覆った仮面を付けた男性がまんばを見ている。
まんばはすぐに長義だとわかる。しかし長義はまんばだと気付いてないらしい。まんばはそのハンカチを受け取るべきか戸惑う。もしまんばだと気づけば、長義は嫌がるだろう。
嫌な顔をされるなんて見たくない。
「あ、いや」
「気にせず、使って」
まんばの濡れた手にハンカチが押し付けられる。汚れてしまったからもう後戻りはできない。
「これ
「返さなくてもいいから」
まんばは仕方なく受け取り、手を拭く。長義は紳士的な態度で、まだまんばだと気づいていない様子だった。まんばはバレた時が怖いと思い、さっさとその場から立ち去ろうとする。しかし長義に呼び止められてしまう。

「よかったら一曲どうかな、お嬢さん」
先程からダンスのための曲が流れていた。
まんばはダンスなんて興味ないし踊る人もいないから、ずっと参加していなかったが、長義に誘われて思考停止する。タイミングよく次の曲が始まる。
「いやその
「もしかして苦手なのかな?大丈夫俺がリードするから」
長義が強引にもまんばの手を取る。フィと引っ張られて、まんばは踊る輪の中に加わってしまった。

一応まんばも習ったことがあるので踊れる。運動神経も悪くないので、下手ではない。ただ自信がない。それに相手は長義だし、またバカにされるかもしれない。いつバレるのかビクビクする。

バレるかもという緊張はあるが、それとは別に憧れのお兄ちゃんと一緒に踊れて少し嬉しいという想いもある。長義が他の子にするみたいに、女性扱いしてくれる。優しい、穏やかな口調、紳士的な態度、まんばは夢みたいだなと思う。

自分はどうあがいてもこんな扱いをしてくれないんだと思い知る。

これは『他の女の子』に取る態度で、まんばに取る態度じゃない。まんばは羨ましくて、今の自分に嫉妬してしまい、もやもやする。

一曲踊り終えたため、まんばはすぐ長義の前からいなくなろうとする。しかしさらに長義がそれを留める。まんばはさすがに限界で手を洗いに行くのを理由に長義から離れる。

お手洗いから会場に戻ると待ち構えてたかのように長義が寄ってくる。まんばはびっくりして、逃げるようにバルコニーへ向かう。しかしそれは失敗だった。外は肌寒く人など誰もいなかった。長義はまんばのあとを追ってきて、図らずしも二人きりになってしまった。

まんばがやはり会場に戻ろうかおろおろしていると、長義がそっと上着をまんばの肩にかける。
「あっ。あんた……貴方が風邪をひいてしまう。から、お返しします」
「大丈夫だから」
やんわり断られる。手を取り、跪かれた。
「お嬢さん、どうかこれからも俺とたびたびダンスを踊ってもらえないかな」
まるで求婚みたいな行為にまんばは真っ赤になる。仮面があってよかった。まんばは他人を装って会えないから、かぶりを振る。これ以上嘘を重ねるのは無理。

「もう、あんたとは踊れない!」
服を押し付けて、部屋の中へ戻っていく。長義が追いかけてくるといけないので、咄嗟にお手洗いへ再び立て篭もった。どうしていいかわからない。

結局まんばはその後お手洗いで過ごし、迎えの時間が来たタイミングでそっと帰った。



その後、まんばは学校で長義を見かける。なんだか物思いにふけっているようだった。長義を見ている所を偶然友人に見られて「最近様子おかしいよねぇ、長義先輩。恋煩いなんじゃないかって噂立ってるよ。従兄弟なんだからなんか知らない?」と言われる。まんばは咄嗟にあの夜の事を思いだす。もしかしてまんば(他人Ver)に惚れたのでは、と考え始める。なんかダンスがどうとか言ってたし、妙にまとわりついてきた。しかしあの短時間でどうやって惚れるんだ、と首を傾げる。一目ぼれという言葉があるが、あの場では顔を隠していたし、性格に惚れたというなら数回しか言葉を交わしてないのにそれで性格が理解できるものなのかと疑問に思う。

とにかくもう当分パーティはないし、あの仮面とドレスを着ることはないだろうと思う。贈ってくれたお爺様には悪いが封印しておこうと考える。

しかしそうは問屋が卸さないようで、またパーティに出ることになる。

お爺様は早く曾孫の顔が見たい。なるべくまんばに出会いの機会を作ってあげるため。今回は仮面なしなので、まんばも緊張する。
将来の経営を考え、長義がお爺様の会社を継ぐ時、彼を支えてくれる有望な人物を探すという、(まんば向けは)有望なる若者の品定めと言う名目。だから若い子多め。実は婿探し。

まんばは「長義のためのパーティなのになんで俺まで」とブツブツ文句を言う。前回と同じドレスを着るわけにはいかないので、親に新調してもらう。
どうせまんばには皆興味ないだろうからその点は気が楽。安くてシンプルなドレスで良い。ただ長義にバレないかだけが怖い。
しかし今回も何故かお爺様からドレスが届き、それを着ることになる。

まんばはパーティ中、壁の花になる。コミュ障だし自ら知らない人に話に行きたくない。
祖父は相変わらず、ひっきりなしに挨拶が来て忙しそう。祖父の隣に長義もいて一緒に談笑してる。
まんばは少し離れたところで見ていた。今回は長義のための会だから、自分は邪魔にならないように、静かにしておこうと思う。そもそも人と話したくない。

しかしまんばは他の男性客から話しかけられる。
まんばはコミュ障なのでどぎまぎしてしまう。正直どっか行ってほしい。だけどまんばはホスト側の人間なので、ちゃんと対応しなければと懸命に話す。祖父の顔に泥は塗れない。

いつのまにか長義がそばに来て、まんばと話していた客に話しかける。
「お久しぶりですね、来て頂きありがとうございます」
そのまま長義が対応してくれて、まんばはホッとした。知らぬうちに失礼な事を言ってないといいけどと思う。男性客は長義としばらく話したのちに、離れて行った。

「あまりフラフラするな、迷惑だ。俺かお爺様の後ろにいろ」
まんばはそんなことを言われて傷つく。邪魔なのはわかってた。
その後はまんばは二人の後ろにいて、たまに話を振られれば適当に相槌を打つだけだった。祖父が「ここにいなくてもいいから、お前はご飯でも食べに行きなさい」と言うが、まんばは首を振りその場に留まった。(結局お爺様が使用人に申し付けて軽食を持って来させていた。ただまんばはあまり喉を通らなかったし、味もわからなかった)
「ふん、お前にしては殊勝な心がけじゃないか」
後ろで大人しくしているまんばに、気を良くしたのか長義が話しかける。
「こうして並んでるとその、ほら、3歩後ろを、ってやつみたいだな!」
長義が目をそらしながら言う。半ば投げやりのような言葉だった。
3歩後ろに何があるっていうのか。


まんばのためのパーティなので、もちろん今回もダンスがある。お爺様は何度か「踊ってきたらどうだ」って言う。まんばは「あまり得意じゃないから」と遠慮するが、ついに客の前で「xx君、うちの国広と一曲どうだね」と言い始める。まんばはあわあわ。どう断るべきかと考えてるが一向に思いつかない。

「お爺様、折角ですが国広は少し気分が悪いようです」
「そうなのかね?気づかなかった、すまないな国広」
「え、いえ
「なのでこれは次の機会に
「そうだなそうだな、部屋を用意させるから少し休んでなさい」
まんばは使用人に連れて行かれる。
なんで長義がそんな勘違いをしたのかわからないが、助かった。部屋にいれば人からジロジロ見られることも、話しかけられることもない。

しばらくすると長義が来る。心配してきてくれたのかと思いきや、まんばに嫌味を言う。
「お前は下手くそなんだから、ダンスなんて踊ろうと思うな」
元々得意とは思ってなかったがショックを受ける。
「今回は俺がフォローしたから良いものの、今度誘われても絶対に受けるな。見苦しい」
長義は言いたいことだけ言うとさっさと出て行ってしまう。

あの日リードすると言ってくれた長義は、まんばじゃない女性だから優しかったんだと思い知らされる。

結局その日はそのまま終わる。お爺様が部屋まで来てくれて、「体調が悪いなら無理しなくて良いから、今度からちゃんと言うんだよ」と言ってくれる。騙してる罪悪感はありつつも、祖父の優しさに感謝する。
まんばは今回のことで思い知った。長義はまんばにだけは優しくしてくれない。女性として扱ってくれない。長義にとってまんばは邪魔で鬱陶しい存在だから、どうあがいても嫌われたまま。だけどまんばは一人の女性として見られる喜びを知ってしまった。
優しく手を取られたり、大切に扱われたり、愛おしげに微笑まれたり。すべてそれが自分に向けられていると思うだけで胸の奥でポカポカと温かくなる。それを体験してしまったばかりに、まんばは無い物ねだりをする気持ちが生まれてしまった。最初から無理だとわかっていたから、欲しがるなんて気持ちはなかったはずなのに、目の前で見て羨ましいと思ってしまった。
それでもまんばは自分の事は弁えている。長義の事はこれまで通り、憧れのお兄ちゃんのまま、それ以上でも以下でもいけないと考える。
だけどあの優しい長義が忘れられない。

ある日お爺様に呼び出される。そろそろまんばの誕生日だが、何か欲しい物はないかと聞かれる。まんばはないと答えようと思ったが、ハッとあることを思いつく。
「お爺様、頼みがある」

まんばはまたお爺様から贈られたドレスに身を包み、パーティに来ていた。ドレスは遠慮したのだが、お爺様が折角の誕生日だから贈らせて欲しいと言って聞かなかった。
今日はまんばの誕生日パーティで、仮面舞踏会が開かれていた。まんば自ら頼んだ。本来なら誕生日会なんて避けたい所だが、まんばには目的があった。

まんばはもう一度長義に女性扱いしてほしかった。侮蔑や見下した視線でなく、優しげな瞳で見てほしかった。
そのためには自分だとわからないようにする必要がある。だから仮面舞踏会を開いてほしかった。だから誕生日という機会を利用した。
理由も告げずお爺様にそういうと二つ返事で了承してくれた。

本来主役であるはずのまんばは客人から挨拶を受けなければならないが、そうすると今回開催した意味がなくなるので、招待客に紛れ、過ごしている。

まんばはキョロキョロと長義を探す。長義は来てない可能性に思い至った。
お家行事とは言え、嫌ってるまんばのために、誕生日を祝いに来るだろうか、いや来ない。長義が来るかは聞いてない。初っ端から作戦は破綻していた。まんばは愕然とする。

「よかったら私と一曲いかがですか?」
知らない男から話しかけられて、まんばは驚く。しかし目的の長義は来てないし、こうなったらもうヤケだ、とまんばはその人の手を取ろうとする。

「すまない、俺が先に約束していてね」

まんばの手を取ったのは長義だった。颯爽と現れて、横から強引に手を奪った。
まんばはびっくりする。来てないかと思った。

「お嬢さん、俺と踊っていただけますか?」
「え、あ、は、はい!」
まんばは内心喜んでいた。また長義と踊れる。下手くそと言われたことは心の傷になってはいるが、もうこれっきりなのでどうでもいい。
エスコートされて、まんばと長義は輪の中に入っていく。


楽しい時間というのはあっという間で、一曲はすぐ終わってしまった。もうこれでこんなに優しい長義を見ることはないんだな、と思う。さっきだって、約束なんてしてないのに、困ってるのを察して助けてくれた。そういえば礼を言ってないとまんばは気づく。
「さっきは助けてくれてありがとう」
「さっき?」
「ダンスに誘われてた時、その
「だって、約束したじゃないか」
「え?」
まんばはびっくりする。約束なんてした覚えはない。前回会った時も「たびたび踊ってほしい」とは言われたが、頷いてはいない。
「他から誘われても絶対に受けるなと言っただろう?」
言われた。確かに言われた。いつ言われたんだったか。その時深く傷ついた気がする。
まんばが記憶を探っていると、手がスィと持ち上がる。
「よかったら、もう一曲どうかな、お嬢さん」
「え、は、はい!喜んで」
お爺様は孫達が楽しげに踊る姿を見てにっこり微笑んだ。

来年からは身内だけのパーティでいいか。


ちょぎくにハピエン!フー!!

長いことお付き合い頂きありがとうございました!今回はたっくさん♡を頂けてすっごく嬉しかったです。お疲れ様でした。最後まで見て頂きありがとうございます。


■どうでもいい設定
・長義くんは最初から気づいてる。他人のフリすればこんなに優しくできるのになって自分の愚かさを鼻で笑ってる。
・2回目のパーティではまんばが話しかけられてて嫉妬でイライラ。でも自分のそばに連れてこれば解決じゃんと思いつく。しかも横に据えるとまるで妻のよう。我ながら良い考えだったと思っている。
・お爺様はまんば誕生日パーティでのダンスを見るまでまんば&長義くんの気持ちには気づいてない。
・この長義くんは好きな子を虐めたいタイプの小学生男子だった所為で幼い頃まんばにそんな態度取ってたんだけど、幼さゆえ、本気でまんばを嫌いなんだと自分自身勘違いしてた。
・1回目のパーティで、余りに普段と格好が違うので、本当にまんばかな?って疑う長義くん。
・長義くんは監査官の仮面にすればよかったなーって後悔してるので、各自好きな仮面にしてもらって良いです(笑)
・長義くんからもらったハンカチは大事にしまってある。
・本文でも書いたけど、まんばはダンス下手じゃない。人との距離が近いため苦手意識はある。
・学校で恋煩いしてると噂されてる長義くん。「なんで素顔を見ると優しくできないんだ……」って悩んでる。
・まんばは分家なのでお爺様と別々に暮らしてる。長義くんは本家なのでお爺様と同居。
・まんばはこの後長義くんの発言に気づいて真っ赤になる。そして正体がわかってたのになんでダンスに誘ったんだ?と疑問に思う。
・長義くんはお爺様と同居してて、お爺様が手配してる様子をこっそり見てるため、ドレスのデザインを知ってる。



一夜の夢を見たまんば

想いが通じ合ったと思ってる長義



庭Q瑞晶様がSSを書いてくださいました!