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木蔦(キヅタ)
2019-11-05 00:33:17
3712文字
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幽霊まんばに恋する話【ちょぎくに】※刀剣破壊あり?
※個性の強い審神者が出ます。
※刀剣破壊あり?
長義は本丸に顕現した。しかしそこにまんばの姿はない。どうやらこの本丸にはいないらしい。長義は気分良く過ごす。
しかし演練で張り合ってる伯仲を目にするようになり、まんばの顕現を望むようになる。
まんばは顕現しやすい刀なのになぜいないのか、他の刀にそれとなく聞く。
新参たちは「なんでだろうねー?」で終わり。古参たちはまんばの名前が出た時点で口を噤む。
何かあると踏んだ長義はこっそりこの本丸について調べる。
なんとこの本丸の初期刀は山姥切国広だった。それなのに今いないと言うことは折れたのだろうと推測する。古参たちの反応も頷ける。
夜、長義が寝ていると、何か気配がする。敵かと思って飛び起きると、白いものがゆらゆら揺れてる。
「ひっ
…
!」
「あっ
…
!お、起こしてしまったか、すまない
…
!」
それはまんばだった。まんばはふらりと長義のそばによってきて顔を覗き込む。
「え、おま、くに
…
、偽物くん!?」
「むぅ、写しは偽物と違う」
「いや山姥切の名を語った偽物だろって違う!そんなことが話したいんじゃない!お前は一体誰なんだ
……
.!?」
初期刀のまんばは折れてるはずだし、今日は鍛刀やドロップで顕現した刀はいない。目の前にいる刀はなんなのか。
「俺はここの初期刀だ、挨拶が遅くなってすまない。本歌が顕現したと聞いて会いに来たんだ」
幽霊になってでもこの本丸に留まっていたのだと知る。そして自分に挨拶に来たらしい。
「あんたに会えてよかった」
ふっとまんばが笑う。長義は会えるのはもうこれっきりでは、もう成仏してしまうのでは、と気づく。
「ま、待て」
「なんだ?」
「ええっと、お前は初期刀だと言ったな?」
「ああ」
「なら俺にこの本丸のことを教えてくれないか」
「本丸のことを?」
「俺ほどすごい刀だと近寄りがたいのか、聞けるやつがいなくてな」
口から出まかせだったが、ぼっちアピールをしてしまった。少し後悔する。
「いいぞ、本歌が望むなら」
口実に乗ってくれた。長義はホッとする。
「いいか、毎日少しずつ教えろ。いっぺんにはダメだぞ、俺だって睡眠は取りたい」
「わかった」
こうして幽霊まんばと毎日会う約束を取り付ける。
その日から毎晩まんばが長義の部屋に来る。教えてくれるのは大抵兵法や手合わせ(古参たちの弱点)になる。長義はまんばに惹かれているのは自覚しているが、この時間を壊したくなくて想いを告げる事はしない。
長義はまんばの最期がどんな様子だったのか気になって、古参たちにそれとなく聞く。
「これは俺が言ったって言わないでほしいんだけど、」
そう前置きをされて教えてくれた。
検非違使が出て、破壊に至ったらしい。その頃検非違使に対し知識がなかったため、最高練度の初期刀が部隊におり、検非違使もそれに見合う強さが現れたらしい。初期刀はみんなを庇い、そして折れたとのことだった。
「彼には申し訳ないことをしたと思ってる。あんなことがなければ
…
」
懺悔のように彼はそう呟く。
長義はまんばが何か未練があって本丸に残っているんだろうかと思う。
長義は、未練がなくなったらこのまんばはいなくなってしまうんだろうな、とか、今こうして会ってることすら稀有なことなんだな、とぼんやり思う。そう気づくとこうしてまんばと一緒にいる一分一秒が惜しく思えた。
「おい、聞いてるのか」
まんばは長義の顔を覗き込んでぷんぷん怒る。
長義はこのまんばに惚れ込んでて、他のまんばじゃダメだ、代わりなどいないと思っている。なんだか感情が高ぶって思わずまんばを抱きしめてしまう。
「え、な、なんだ
…
!?」
「ずっと側にいてほしい
…
、どこにも行くな
……
!」
絞り出すように想いを告げる。
「い、いきなりどうしたんだ
…
!今日変だぞ
…
!?」
長義はまんばをじっと見つめる。明日会える保証なんてない。いつか消えてしまうかもしれない。それが明日でないとどうして言い切れるのか。
「国広、俺はお前のこと
……
」
「わー!わー!わー!」
まんばは長義を突き飛ばし、一目散に逃げていった。
失敗したなぁと思いつつ、でも次は逃がさないと心に決める。
しかしそれ以降まんばは現れなくなってしまった。
長義はまんばを探し、夜歩き回る。幽霊が出そうな場所は粗方回ったが、長義を避けてるのか、本当にその場所にはいないのか、それとも成仏したのか、まんばは見当たらない。
そんなある日、昼食を食べ終え広間から自室へ向かっていると、小夜が御膳を二つ持ち、みんなと反対方向に向かっているのを見つける。小夜はご飯を食べてたはず。
「おや、どうしたんだい?御兄弟に持っていくのかな?」
「いえ、主にご飯を持っていくんです」
「主に?もう一つは誰の分だい?」
「いえ、その」
「小夜、遅いじゃないか!主が待ちくたびれてる」
「あ。山姥切さん」
山姥切は長義のことだが、小夜は長義ではない方向を見て言った。長義がそちらを向くと、部屋から顔を出してこちらを見ているまんばがいる。
「偽物くん
…
」
「げ
…
」
なぜ昼間なのにまんばがいるのか、とか、主の部屋になぜ、とかいろんな疑問が湧いて出る。問いかけようと開いた口は、大きな声にさえぎられた。
「うわぁぁぁぁん!!山姥切!出てっちゃだめぇぇぇぇ!!」
「うるさい!少し顔を出しただけだろう!」
「だめぇぇぇ!!また折れたら俺、俺
…
っ!うう」
まんばに審神者が泣いて、しがみついている。まんばがウザそうにあしらった。
「こ、これはどういうことなのかな
…
?初期刀は折れたんじゃ
…
?」
「長義さん、知らなかったんですか?」
「折れたと聞いてる」
「
……
みんな、主のこの姿を見せたくなくて、黙ってるから知らないんですね」
小夜は部屋にご飯を置いて来たらしく手ぶら。
「山姥切さんが折れなければこんなことにはならなかったんですけど、実はアレがキッカケで主が山姥切さんに依存するようになってしまったんです
…
。部屋から出たら折れるとか、側を離れないでとか、異常に不安がるようになってしまいまして
…
」
「待って、にせも
……
山姥切国広は折れたんだよね?」
「はい、ただお守りを持ってたので、重傷でしたが無事でした」
「ああ、そういうこと
……
」
「他の刀達に対しても戦場に出すのを主が嫌がるので、山姥切さんが諌めて、一身に主の面倒をみることになって、部屋からなかなか出られない日々が続いてます」
ようやく長義は納得する。夜にまんばが現れたのは、昼間だと審神者の側を離れられないから、寝付いた隙にこっそり部屋から抜け出していたのだろう。古参達が口を噤んだのも主の威厳を保つためだ。こんな情けない姿、見せたいものではない。
「主、離してくれ!」
「離したら出陣するんでしょぉぉぉ!!出陣したら折れちゃうぅぅぅ!!」
「出陣しないから!今は離してくれ!」
「国広」
「ひっ」
長義が声を掛けると肩を揺らし、ゆっくりとこちらを見た。顔は引きつっている。
「まさかこんな所に隠れてたなんてねぇ、折れたなんて装って」
「べ、別に隠れてたわけじゃない
…
!折れた云々もそんな勘違いしてるなんて知らなかった。というか折れた刀なら本丸にいないはずだろ。なんでそんな勘違いしたんだ」
「ま、いいや。折れてないし、戦場に出ないなら安心だし。今度は俺が通ってもいいかな?」
「え
…
!?」
「お前はいつも主の部屋にいるんだろ?じゃあ俺が会いに行くよ」
「こ、来なくていい!」
まんばは真っ赤で狼狽える。
「なんで?」
「本歌が妙な事するからだろ!」
「あれ?意識してくれてるの?」
「からかったのか!?」
「いや本気だけど」
「本気
……
!?」
まんばが苦々しく顔を歪める。
「これからは主の前で口説くからね」
ちょぎくにハピエンー!ありがとうありがとう!お疲れ様でした!
どうでもいい設定
・もちろん審神者とまんばは恋愛関係じゃありません。半狂乱になるので、毎回まんばが落ち着かせてました。他の子が出陣する時もそうなので、まんばが大丈夫だからと説得し、戦闘に出してました。
こんな状態だから新刃が来ても審神者にお目通りができない。だから長義くんは審神者に会ってない。
・まんばは幽霊だと勘違いされてることに気づいてない。
・まんばが急に通わなくなったのは長義くんと顔を合わすのが気まずかったから。
・まんばが審神者の面倒見てることに古参は負い目を感じてて、そのキッカケになった事件はあまり喋りたくない。全体の責任と思ってる。
・この後審神者の前でイチャイチャ(まんばは否定)するので、審神者がいずれ痺れを切らして「余所でやって!」って言う。出陣に関して以外は正常。そして長義くんがまんばを深く愛してることを察するようになると「この子が出陣させないように留めてくれるのでは?」という謎の信頼感が出て、まんばを部屋から出してあげるようになる。(ただし長義同伴)
独身男性(彼女なし歴年齢)の前でイチャイチャはつらい。
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