木蔦(キヅタ)
2019-09-01 10:54:13
6700文字
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夜寝付けないまんばにホットミルクをあげる話【ちょぎくに】※R12程度


ちょぎくに
※R12程度の描写あり


まんばと長義は仲が悪い。いつも言い合いをしている。ある夜まんばは寝れなくて厨まで行く。そこには長義がいて、まんばはびくりと肩を揺らす。また罵倒や暴言が投げつけられると思いきや、静か。
「眠れないのかな?」
聞いたこともない優しい声でまんばに問いかけてくる。
まんばはコクリと頷く。
「座って待ってろ」
長義に促され、素直に座る。長義は厨で何やら作ってる。
「さあ、お飲み」
はちみつホットミルクを出してくれた。まんばはすぐさま飛びつく。
「熱いから火傷しないようにね」
またもや優しい言葉を掛けられる。まんばは不思議に思う。
(偽物?二振り目?……二重人格……??)
まんばが静かにミルクを飲む様子をニコニコと微笑んで眺めている。正直気持ちが悪いが、敵意がない者にわざわざ荒だてて何か言うつもりはないし、そもそも初っ端から拍子抜けしてしまったから、まんばは言い争う気分じゃない。

「飲めたかな?」
まんばはコクリと頷く。
「じゃあもう寝るんだよ、部屋まで送ってあげよう」
「え!?い、いらない、自分で帰れる
「いいから」
まんばは押し切られて、結局部屋までついてこられる。
「じゃあおやすみ」
まんばの頭を撫でて、長義は去っていった。


次の日、まんばは恐々と起きていく。長義がどうなってるのか怖い。
しかし当の長義は普段通りでまんばを見るなり嫌味を言ってくる。まんばはホッとした。きっと昨夜のは夢か幻覚なんだろうと思った。

そしてその日の晩、まんばは寝付けず再び厨に来る。ホットミルクを飲むと寝付きがいいと知ったため、自分で作りにきた。そしてまた優しい長義と遭遇する。
「今日も眠れないのかな?」
わざわざ近づいて頭を撫でる。まんばはまたいる、これは夢なのか、もしかして目の前の刀は幽霊??とも考える。
「どうかした?」
停止したままのまんばを不思議に思って長義が首を傾げる。まんばは思わず首を横に振る。
「またミルク飲む?」
コクンと頷く。そして長義が昨日と同様にミルクを作ってくれる。
しかしマグカップをまんばにくれず、厨の隣の部屋の和室の電気をつけ、座り込んで長義の前に置く。
「おいで」
(え、どこに??)
手招きされて、素直に近づけば手を取られる。
そして長義の前に抱えられるようにして座らされる。
(この格好は一体??)
「熱いからゆっくりね」
昨日と同じことを言われる。まるで幼子にする対応で、まんばは戸惑う。その日も部屋まで送り届けてくれた。

翌日も長義の態度は変わらない。まんばの顔を見ると嫌な顔をするし、口を開けば罵倒してくるから喧嘩になる。

そしてその晩もまんばは厨へ行く。半信半疑、またいるのか確かめたい。


いる。


「また来たのか」
すぐに手を取られ、隣の和室に座らされる。そしてすぐにホットミルクを作ってくれる。
まんばの目の前にマグカップは置かれる。そして真後ろに長義が座り、まんばを抱きかかえる。

(今更だが、俺はこの体勢を拒否してもよかったのでは?)
そう思うが、雰囲気的に嫌だと言いづらい。

コクコクと飲んでると後頭部に何かが触れた感覚がある。
「?」
「美味しいかな?」
「??ああ」
すべて飲むと今まで同様部屋まで送ってくれる。

次の日の晩もその体勢で、まんばは結局受け入れてしまう。さらに長義はまんばをぎゅっと抱きしめ「ほら、こうすると温かいだろ?身体が冷えるから寝付けなくなるんだ」と教えてくれる。
ミルクを飲み終えるまで離してくれなかった。温かかったけど。


次の日も抱きしめられる。ポカポカ温かいけどなんだかおかしいなと思う。
(寒いなら暖房器具をつければいいのでは……?)
じっと長義を見るが穏やかな笑顔で「なにかな?」と言うだけだ。
反論してしまうとこの心地の良い時間が壊れてしまう気がしてまんばは首を振る。なんだかんだこの時間は好きだ。
また後頭部に何かが触れた感触がする。長義の手はまんばの身体をしっかり抱きしめているので違う。一体なんなのかわからない。
「どうかした?」
ミルクを飲まないまんばを不審に思ったのか長義が話しかけてくる。
「い、いや、何でもない!」
慌ててミルクを口に付けると少し零してしまった。
手に白い液体が垂れる。
すぐに長義がまんばの手を取り、その雫を舐め上げた。
〜〜〜!」
「火傷してない?大丈夫?」
「さ、冷めてたから、大丈夫だ……!」
「そう、なら良かった」
何でもないことのようにさらっと会話が流れる。
(ただ単に舐められただけなのに何を意識してるんだ俺は!)
相手にとっては何でもない事なのに、ちょっとしたことで意識してしまって、恥ずかしい。
まんばが自分の思考に沈んでいると、目元でちゅっと音がした。
「???」
「冷めてしまったなら淹れ直そうか?」
「え、いやいい。あと少しだし」
「そう」
何が起こったのかよくわからないがミルクを飲み干す。
その日も部屋まで送ってもらう。


朝起きて、長義に会うとじっと観察する。
「何見てんだよ」
ギロリと鋭い視線を向けられただけで、あの優しい面影はない。
(やっぱり別人?いやでも二振り目はいないし、審神者の結界があるから他所の刀が侵入してるのも考えにくい……
まんばは首を捻る。

どう見ても同一人物とは思えない。
おそらく自分が作り出した幻か、幽霊か、主の隠し子ならぬ隠し刀では、結論づける。
「ハッあんたの顔見ててもつまらないだけだな!」
「はぁ?同じ顔だろうが!」
「俺の顔と一緒にするな!」
やっぱり喧嘩してしまう。



その夜、やはりまんばは優しい長義と会う。いつものようにミルクを飲んでいる間、ぎゅってされたり、なでなでされたりする。
まんばは、もしこれが幻覚ならこの体勢もまぁいいかという気分になってくる。
長義に凭れかかり、うとうとする。徐々に眠たくなってきた。
「今日は甘えただね」
やれやれと言いたげな言葉が降ってくる。まんばは瞼が重くなってきて抗えない。睡魔に勝てず目を閉じる。
「仕方ないな」
額に何か感触があり、そのすぐ後に浮遊感。

そして気付くとまんばは布団にいた。起き上がると外は明るくなっている。いつのまに部屋に戻ってきたのか思い出せない。

(昨日のは最初から夢だったのでは?)
きっと自分は布団で寝て、厨に行く夢を見たのだろうか、と思う。
リアルな夢だった。温かい感触や浮遊感は今でも思い出せる。

そしてまんばは徐々に長義との接触が多くなってることに気づく。
(なんだそれ!夢は自分の深層心理を表すって言うし、俺が触れられたがってるっていうことかー!?)
衝撃を受ける。もしかして自分は長義の事が好きなのでは、という事にまで思い至る。あんな夢を見るくらいだし、あの夢の中の関係は心地いい。
(俺が、長義を……?)
どうしていいかわからなくなる。



まんばは昼間、長義に会うとドギマギしてしまう。長義に恋してる説を思い出してしまうせいだった。
言い合いも上手くできず、長義に不審に思われる。

夜、まんばは厨に行くべきか悩んでいた。厨に行けば彼に会うだろう、幻覚だとしてと居た堪れない。もう今日はこのまま寝てしまおうか、と思い布団を被った。目が妙に冴えてる。
(身体を温めれば寝れるって言ってた……
身体を手っ取り早く温めるには筋トレ!そう思い、布団から起き上がる。筋トレするが、逆に目が冴えてしまう。(本格的な筋トレすぎて。)

どうしたものかな、と悩んでいると部屋の外から声が掛かった。


「国広、入っていいかな?」
長義だった。正直会うと狼狽してしまうので、追い返したいが、断る理由もなく、仕方なく部屋に入れる。長義はホットミルクを持っていた。
「遅いからどうかしたのかと思ってね」
待ってたんだよ、と言外に言われる。
まんばは目が泳ぐ。約束はしてないがこの状況は逃げられない。

いつもの体勢で飲まされる。疲労感もあって、徐々にうとうとしてくる。まだ飲みかけなのにコクリコクリと舟を漕いでしまう。
「そろそろ寝ようか」
「まだ、……飲んで、……
「いいから」
マグカップを取り上げられて、布団に寝かされる。完全にふわふわした世界だったが、ちゅぅ、と唇を吸う感触で覚醒する。目の前にはぼやけるほど近くに長義の顔がある。
びっくりして離れようとするが、疲れのせいか、体勢のせいか、敵わない。
むしろ舌まで入ってきてまんばは混乱を極める。口内を一通り好き勝手された後、ようやく解放される。
本当は殴り飛ばしたいが、身体は言うことを聞かず、ぐったりと布団に落ちたままだ。
とろんとまた眠気が襲ってくる。眠ってる場合ではないのに、それに抗えない。

気づくと朝で、長義はいなかった。部屋や自分に何か変わったこともない。やはり夢だったのでは?と考える。


その夜は早い時間から長義が部屋に訪ねてくる。まんばは驚く。まだ寝る時間ではないので眠くない。
布団は引いてあるが、寝る前に他の用を済ませようと思っていた。
長義はミルクを置き、まんばを手招きする。まんばは昨日のことがあったので迷うが、結局は長義の元へ腰掛ける。
コクコクと飲むまんばを長義は微笑んで見てる。その視線を意識してしまってまんばは長義の方に顔を向けられない。
すべて飲み終えた。
「もう、寝るから帰ってくれないか」
「お前が寝付くまでいるよ」
「いやもう眠いから大丈夫だ」
「そんなことないだろ?」
まんばは本当に眠かったし、なぜそんなに自信満々に長義が言うのかわからない。
「本当に寝るから、心配しなくても」
「じゃあ布団に横になって」
長義は頑なで譲らない。
渋々まんばは布団に入る。長義は何故か布団に侵入してきた。
「寝るまで添い寝してあげるから」
「いい、いらない!」
「親切心を無下にしたらダメだよ」

なんだか言い争っていたら熱くなってきた。身体が火照ってる。
?」
「ほら、もっとこっち寄って」
「ひゃ」
長義に触れられて、声を上げてしまった。自分の声が信じられなくて口元を押さえる。
「国広?どうかしたのかな?」
長義に肩を触れられ、それにも反応し、びくりと揺れてしまう。
触れられたところが熱い。
(俺、意識しすぎて、触られただけで反応しちゃってるのか!?)
なんだか下半身もおかしい気がする。
「国広?」
「長義、近づかないでくれ……っ!今なんかおかしいからぁ……!」





暗転





朝、目が覚める。温かいものに包まれてて身体が動かない。覚醒すると長義に抱きしめられていた。
「!?」
朝まで幻覚がいたことはないのでびっくりする。
(俺はついに朝も影響を受けて!?)
現実なのか、まだ夢の中なのか、確かめたくて起き上がろうとするが、腕から抜け出せない。
下半身に違和感がある。しかも夜着を着てないし、長義は羽織ってこそいるが、乱れている。

(これどういう状況〜〜!?)

昨日の記憶が蘇るが、それを認めたくない。その状況が真実だと物語っているが、夢だと信じたい。

まんばが腕から抜け出そうと四苦八苦しているものだから、長義が起きた。
「おはよ、国広」
妙にキラキラしい。まんばはあんぐり口を開けてる。
「それはおはようのキスをしてほしいってサインかな??」
まんばは慌てて口を閉じる。この前された濃厚なキスを思い出して真っ赤になる。

「なんでいるんだ!朝になったら消えるんじゃないのか!?」
「誰が言ったのかな。それに後朝早々に消えろはないだろ」
「だって!」
まんばはふと時間に気づく。もう朝餉の時間が過ぎてる。やばいと思い飛び起きた。
「どこに行くんだ?」
「食いっぱぐれた!燭台切や歌仙に怒られる!」
「本当だ、もうこんな時間。仕方ない、一緒に怒られよう」
「いや、あんたは部屋から出ないでくれ!」
「何のために?」
「あんたが本丸内をふらついたらおかしいだろ!」
「なんでおかしいのかな」
「だって長義がいるのに、鉢合わせたら!」
「俺と誰が?」
「あんたとあんたじゃないあんただ!」
「俺は俺だろ、何言ってるんだ」
「あんたはあんただけど……!あ〜〜もう!説明しづらいな!というか俺の幻覚だから別に構わないんじゃないか!?俺にしか見えない!」
「確かにお前しか見てないけど?」
「待てニュアンスがおかしい!」
長義がまんばの手を引き、布団の中に逆戻りさせられる。
「幻覚ってなんのこと?」
「あんたのことだ!」
ん〜〜……と長義が考え込む。
「国広の言ってることはよくわからないが、折角の朝なんだし、もう少しイチャイチャしよう」
「イチャイチャってなんだ!」
恋人同士でもないのにそんな言葉が飛び出てきたことに驚く。
「普段はこうしてあまり触れられないから、こういう時くらい堪能したい」
長義がちゅっと髪に口付ける。
そこでまんばは悟る。ミルクを飲んでる時後頭部に感じたのはこれだった。いつのまにか髪にちゅってされていた。まんばは慌てて髪を押さえる。顔は真っ赤。
「ふ、普段だって、触れてくるじゃないか
「? 普段は口喧嘩ばかりだろ?」
「え?」

まんばはその一言で目の前の長義は昼間会ってる長義と同一人物だと知る。

(待て、いつのまに幻覚から本物にすり替わったんだ!?いやもしや昨日は最初から本物だったのでは??それならなぜこんなことを?本物がこんなことするはずない。だからやはりまだ幻覚を見続けている?)
まんばは悶々と考えてるがその間にイチャイチャされてる。

「と、とにかく!怒られるから、朝餉に行くぞ!!」
まんばの顔中にキスを降らせていた長義を押し退けてまんばは服を着る。長義は夜着をちゃんと着直した。二振りでそっと厨まで行く。
「あ、国広くんたちようやく来たの?遅かったじゃない。寝坊?」
「ま、まあそんなところだ
「長義くんはまだそんな格好なの?」
「す、すまない。先に食事を済ませた方がいいと思って
「もう、そこに二振りの分取ってあるから持って行って!」
「ところで寝坊なんて珍しいね、なにかあったのかい?」
「な、なにもない!!」
まんばは脱兎のごとくご飯を持って厨から出てく。



だだっ広い食堂で、ぽつんと二振りでご飯を食べる。
(なんでこんなことに?しかもこんなに広いのになんで隣同士でくっ付いて食べてるんだ??長義は一体何を考えてるんだろうか
ちらっと見ると、長義もちょうど視線を上げた所で、バチッと目が合う。
「何見てるのかな💢」
(ひぇ
半信半疑だったが、昼間の長義と同一人物だという事を確信してしまった。あの喧嘩を売りっぷりは本人で間違いない。
(ってことは幻覚じゃなくて本物と一夜を過ごしたのか俺は!!)
急に恥ずかしくなって食事中だというのに丸まる。
「え!?な、ど、どうしたんだ、偽物く……国広。もしかしてさっきの言葉がそんなに傷ついたのか!?」
長義は何故か慌てた様子で言い連ねる。何か勘違いを招いたらしい。その名前の言い直しすら、真実をつき付けられているようで、恥ずかしくてさらに丸くなる。
「ほら国広、謝るから出てきて。ね?」
徐々に声が甘くなる。ますます出て行きづらい。顔を合わせられない。ブンブンと顔を振る。
「そっか、お前は冷たくされるのは実は嫌だったんだね」
「?」
長義が何か呟いたと思って、意識をそちらに向けたら布でバリケードしていた空間がふんわりと歪んだ。
一瞬の浮遊感の後に、何か柔らかくて温かい物の上に乗せられる。状況把握しようと少しだけ顔を覗かせるとまんばは長義の膝の上に抱っこされた状態だった。
「じゃあ、普段から甘やかしてあげよう。求められたら応えたくなる主義でね」
「!?」
「手始めに朝ごはんを手ずから食べさせてあげようか」






ちょぎくにハピエンでおk??
お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!

長義くん、どっちが素なんでしょうね。私的にはどっちも素で、だけどまんばの望むようにしてやろうと思ってる感じ。(うまく言えないけど二重自覚ではないです)


どうでもいいこと言いますけどね!まんばは夜厨に行くときはシーツ纏ってますよ!ボロ布じゃなくて!