木蔦(キヅタ)
2019-06-02 21:55:20
4920文字
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恋人が破壊されて自分の殻に閉じこもっちゃうまんばとそれを甲斐甲斐しく看病する長義【ちょぎくに】※刀剣破壊あり


※ちょぎ→くに→誰か(破壊)
※まんばと他のキャラが恋人同士だった(肉体関係なし)キャラは出てこない。
※刀剣破壊あり(まんばと長義は刀剣破壊なし)


まんばは恋人がいたんだけど、目の前で重傷のまんばを庇って折れてしまう。
まんばも大怪我を負っていたため、手入れが終わったのに昏睡状態が続き長い間眠り続ける。

長義くんはまんばに恋していて、純粋にまんばのことが心配で、いまだに目覚めないまんばの看病をする。
折角恋人が守ってくれたんだから戻ってこいよとか、あいつの死を無駄にするなとか、それでも国広の傑作かとか、毎日語りかける。
もう何ヶ月も目覚めてなくて、周りも「恋人の死がショックで目が覚めないのでは」とか「もう戻ってこないのかな、恋人と一緒に行っちゃったのかな」と不安を口にする。


それでも長義くんは根気よくまんばに語りかける。
「今日は短刀達がお花を摘んできてくれたんだよ」とか「旬の魚が食卓に出てね」とか。
返事は返ってこないし、聞こえてるのかわからないし、こんなことしても無意味なのかもしれないけど、長義くんは続ける。


審神者が長義くんにそろそろ、と声をかける。
まんばをいつまでもこのままにしておくわけにはいかない。
審神者もまんばには思い入れがあるから正直刀解はしたくないんだけど、目が覚めないのはまんばの意思じゃないかって思ってて、それならいっそこのまま刀解してあげた方がまんばのためじゃないかって思ってる。

長義くんはあと一日だけ、と審神者にお願いし、まんばくんと一日一緒にいる。
朝から幸せな事だけをひとつひとつ数えて、まんばと思い出を作るように過ごす。
「じゃあ、おやすみ、だね」って最後の言葉をかけるんだけど、最後の最後にまんばの顔を見ようと覗き込むと、薄っすらと目を開けている。
長義くんは嬉しくて「起きたんだな!良かった……!」ってまんばの肩掴むんだけど、まんばの反応はない。

まんばはボンヤリと虚空を見上げるだけで、瞬きもしないし、話さない。焦点も結んでない。
急いで主を呼んで、薬研や石切丸に調べてもらうが、みんなの総論としては、「長時間寝てたのだから、起きたばかりでまだ自分が誰なのか精神が安定していない」「あんなことがあった後だから物事の整理がついてなく、朦朧としている」のではとのことだった。

まんばを一人にしておけなくて、長義くんはその日からまんばの部屋で寝起きするようになる。
朝起きると長義より早くまんばの目が覚めてる。
目は開いているが、起き上がる気配はないし、何も話さない。

「おはよう、眠れなかったのかな。お前は今までたくさん寝てたもんね」

長義が体を起こしてやるとそれ通りに動く。
自ら動かないだけで、座れない、立てない、歩けないわけではないらしい。

長義はまんばの支度をしてあげて、厨からまんばの朝食を持ってくる。
自ら食べようとしないので、長義が食べさせてあげる。
口に入れると咀嚼し飲み込むので、食べる意思がないわけではないらしい。

少しずつまんばにご飯を与えてやり、長い時間をかけて漸く食べさせ切った。
まだ本調子じゃないだろうから、とその日は一日寝て過ごす。


次の日もまんばはそんな感じ。ボンヤリしていて何にも反応がない。
次の日も、次の日も、一向に回復しない。


再び薬研に見せたところ、恐らく恋人の破壊を目の当たりにした事により精神が崩壊してしまって、このような状態になっているのだろうということだった。
まんばに必要なのは休暇だから、ゆっくり休めばいい、と薬研は言う。





長義はまんばを甲斐甲斐しく介護する。
まんばの気持ちが安らぐように午後に散歩に出たり、縁側で日向ぼっこしたりする。
まんばは自分の意思で動かないものの、長義が手を引けば歩く。
夜まんばを寝かせるがまんばはいつも目が開いたまま。朝も長義より早く目が覚めてるようなので、あまり眠れてないんだなって思う。

それを薬研に報告したら「寝かしつけてやればいいじゃねーか」と言われる。
寝かしつけるとは??
母親みたいな子守唄を歌ってあげたり、お話聞かせてあげたり、添い寝してあげたり。

長義は半信半疑で試してみる。
子守唄を歌っても効果はない。
お話聞かせても何にも反応しない。
添い寝か、と思って強張りながらもまんばの横に寝る。
まんばのお腹をゆったりしたリズムでトントン叩いてやる。でも反応はない。
やっぱりダメだったじゃないか、と起き上がろうとするが、微かにまんばが動いたような気がした。

再度まんばに目を向けるが、そんな気配はない。
確かめたくてもう一度長義はまんばの隣に横になる。
そしてもう一度手をお腹に当てると、うと、とまんばが目を瞬かせた。
トントンやってるわけじゃないけど、何の効果だ、と疑問に思う。
そっとまんばの頬に触れると冷たい。お風呂であんなにポカポカに温まったのに、もう冷えてる、と思う。
まさかと思い、長義はまんばを抱きしめる。
まんばは再び瞬きした後、ストンと寝てしまった。

長義くんはまんばの体が冷えててちゃんと寝れないんだ、と判断する。


朝も長義くんの方が先に起きる。
まんばは起こすと眠そうに瞬きをして目を覚ます。
それが人らしい仕草で長義くんは嬉しくなる。今まで人形みたいだったから。


寒さが原因だったんだ、と次からは湯たんぽを用意するが、まったく効果はない。
しかし長義くんが抱きしめるとまんばはちゃんと寝る。
薬研に相談すると、抱き締められることで安心感があるのかもしれない、とのこと。



もうその頃にはご飯も大広間で食べるようになってて、みんながすれ違う時に声をかけてくれる。(薬研がなるべく話しかけた方が精神的に良いと助言したため、みんな自主的に声をかけるようにしてる。)
自分で食べることはしないので、それだけは長義が時間をかけて食べさせてあげる。

まんばの状態が安定してきたから、長義ばかりに負担を掛けるのも悪いし、交代でまんばの面倒を見ようかと言う話になる。そこで長義は久々に出陣することになる。
短刀達が面倒見てくれて、縁側で一緒にお菓子を食べる。
まんばも穏やかそうで、何も喋らない&焦点は結んでないながらも、落ち着いてる。


「長義さんが帰ってきたみたい!」「行きましょう!」と短刀に連れられて時空門へ一緒に歩いていく。
短刀達に両手で手を引かれ、後ろから押され、和やか。



トラウマスイッチ👉🔘



戻ってきた長義くんは軽傷でまあ後から少し手入れ部屋に入るかーという感じ。
まんばが出迎えてくれてるのを見て、嬉しくて駆け寄る。だけどまんばの様子がおかしい。
顔色が悪く、震えている。
「どうかしたのか?」
「あ、あ、あ、………あああああ!!」
その場でまんばは倒れてしまう。



まんばは安定剤を注射され寝かされている。
推測としては血を見て、恋人の破壊をフラッシュバックしてしまったのだろうと言うことだった。
これは少し考えればわかることで、みんな軽率だったと反省する。
悪化してなきゃいいけど、とアレコレ思い悩む。


次の日、悪化を懸念してたが、まんばはいつも通りだった。
長義に促されて起きて、ご飯を食べる。心配だったので今日一日は長義はまんばに付き添うことになっていたため、長義はまんばと二振りで過ごす。

それどころか、長義は不思議な変化に気づく。
「国広、そろそろ冷えてきたから部屋に戻ろう」
そう声をかけると、ほんの一瞬、まんばの瞳の焦点が合った気がした。もう一度確かめたくて、名前を呼ぶ。やはりまんばの瞳孔が一瞬伸縮し、長義を見た気がする。
長義は嬉しくて、でもまんばをびっくりさせたらいけないから、平静を装って一緒に部屋に戻る。
暖かいお茶をもらってくるね、と声をかけ、部屋を出た。

障子を閉めた途端、涙が溢れ出てきて、止まらない。
今までまんばは全然反応してくれなくて、長義自身もこんなことしても無駄かもしれないと思っていた。
だから今回の事が嬉しくて仕方ない。
まんばが一瞬だけど自分の声に反応してくれた。それは小さいけど大きな一歩だった。




それからも長義はまんばの身の回りを甲斐甲斐しく世話する。
みんなに手伝ってもらいつつも、ほぼ四六時中側にいるのは長義だった。

その甲斐あって、まんばが長義の声に反応する回数が徐々に増えてくる。
他の子達が話しかけても反応しない。長義だけ特別だった。

まんばは何も話さないけど、長義の顔をぼんやりと見つめる。
返事はないけどただそれだけでよかった。

「今日は裏山まで散歩に行こうか、あちらの方が涼しいらしいよ」

そう声を掛けるが反応はない。動く様子もない。
それでも長義の一挙一動を見ている。


二振りで山に出かける。
強いはずの日差しは木々が覆い隠してくれて、さわやかな風が吹いて気持ちいい。
まんばもそう思ってるのか、不快そうな気配はない。


「あそこの木陰で一休みしようか」と木の根元に腰を下ろす。
本丸から持って来た水筒を出して、ゆったり休む。

コクコクとゆっくり飲むまんばに、愛おしさが募って、長義くんはついまんばを抱きしめる。
肉欲のような感情ではなく、慈愛のような衝動からの行動だった。
まんばは抵抗もせずされるがまま。ただぼんやりと焦点が定まっていく。

「国広、そろそろ帰ろうか。」

長義は悲しげな笑みをまんばに向けて手を差し出す。
まんばはもちろん手を取らないから、長義が勝手に手をぎゅっと握る。
帰ろうと立ち上がり、歩き出した。



トラウマスイッチ👉🔘
急展開だよ!😉



国広が少し崖になっている所で、バランスを崩し落ちそうになる。
もちろん長義は手を繋いでいるので、国広を引き戻す。
しかし長義が手を付いた位置が悪く、長義の方がバランスを崩し、崖から落ちてしまう。

「長義っ」

落ちた長義の手を取ったのは国広で、長義は宙ぶらりん状態、国広が腕一本で支えている状態になる。
長義くんはいろんなことにびっくりしてて、何もしゃべれない。

「今、引き上げるから!」

体力落ちてるまんばには男性一人の体重はきつくて、随分時間を掛けて長義を引き上げる。
引き上げ終わった後のまんばは汗だくでぐったりしてて、しゃべれそうにない。

「国広、大丈夫か?」
僅かに首が縦に動く。
長義くんはいまだに状況の整理ができてなくて、まんばに問いかける。
「なんで、今までお前何も、」
なんて言ったらいいかわからず、そのまま口籠る。
まんばは微かに笑って答える。


「もう、大事な人がいなくなるのは、いやだから


それを聞いて長義くんは、まんばが自分のために戻ってきてくれたんだって悟る。
そして同時に、自分はまんばにとって大事な人だと認識されていると自覚する。

まんばをぎゅうぎゅう抱きしめる。
まんばは痛い、痛いと文句を言うけど嬉しそうな長義くんを感じて、されるがままにしてあげる。

「長義、待っててくれてありがとう


ちょぎくにハピエンでいかがでしょうか。
結構シリアスめの話でしたがお付き合い頂きありがとうございました!
お疲れ様でした!





昔の恋人はいいんかいっていうツッコミはなしで
まんばは刀剣破壊時点で恋人への想いは封印してます。もうこれが甦ることはありません。
そして就寝時に長義くんに抱きしめられた辺りから長義くんに惹かれ始めてます。
1回目のトラウマスイッチの時には既に好きです(だからトラウマになり得た)

まんばの意識は水面を揺蕩うように彷徨ってて、怖いという思いから自ら浮上はできませんでした。
それに長義くんと過ごす日々は幸せだったので、まんばは変化を求めてませんでした。
だけどまんばはもっと怖いことがあったので、そうならないために2回目のトラウマスイッチで戻ってきた、という流れ。