木蔦(キヅタ)
2019-05-12 09:12:30
4017文字
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呪いにかかったまんばくんと、呪いの人形と長義くん【ちょぎくに】


まんばはある本丸の初期刀。長義くんが顕現し、偽物くん問題発生。本歌とは微妙な距離を保ちつつ、生活していた。しかしまんばは嫌われている自覚はあるものの、本歌に惹かれていた。
本歌と会えば嫌味ばかり言われる。まんばはこの恋は叶わないと諦めきっていた。

ここの審神者は純和風の女の子。まるで座敷わらしのような格好で、いつもぽんやりしている。もちろん審神者の部屋も和風の物で溢れている。鞠とか日本人形とかある。

ある日出陣先で特殊な時間遡行軍に呪いを掛けられてしまう。まんばは重傷を負い、本丸へ担ぎ込まれる。そして目が覚めるとまんばは審神者の執務室にいた。
机では審神者が書類を広げている。幼いながらもしっかりしているため書類仕事もやる。側で手伝いをしているのは長義くん。
「石切丸によると、国広は何かの呪いが掛かっていて、深い眠りについていると言ってました。」
(そうなのか……俺は呪いにかかって……。どれくらい寝てたんだ?でも大丈夫だ主!こうして俺は目が覚めた!)
「どうすれば呪いは解けるんだ……
「石切丸達が調べてくれています。……心配ですか?」
嫌われてはいるが仲間なんだし心配くらいしてくれるのでは、とまんばは期待している。
「心配……?今更何を言うのかな主は。」
長義は鼻で笑う。まんばはまぁそうだよな、と肩を落とす。
「心配なんて言葉じゃ表せないくらいあいつのことが気がかりだし、後悔ばかりだし、つらい。」
まんばは「えっ」って思う。
「俺もあの場にいたのになんで庇ってやれなかったんだろうとか、もしかしたらこのまま目が覚めないんじゃないかって思うと……っ」
まんばは自分が実は起きてるって言い出せなくなって、黙って二人を見てる。でもさすがにこのままでは良くないと思って、たった今起きたと装おうとする。
しかし、身体を動かそうとするとギチギチ言う。動かしづらいし、変な音が鳴っている。まんばはふっと自分の身体を見下ろした。女性の着物を身に纏っている。なぜ。それに自分は今横になってない。立っている。怪我人がなぜ立つ?
それになぜ手入れ部屋じゃなく執務室なんだ?

いろんな疑問の末気づいた。

今 俺 は 主 の 日 本 人 形 に な っ て る !!

まんばは時間遡行軍の呪いによって精神と肉体が切り離され、日本人形に乗り移っていた。
まんばの身体を動かそうとする音に気づいた長義くん。

「人形が動いた!!主、人形が!!」
「まぁお人形さんもずっと立ってばかりじゃ疲れますし身動きしたいこともありますよ。」
「主なに落ち着いてるんだ!人形が動いたんだぞ!?呪いだ!呪いの人形だ!」
慌てまくりの長義と落ち着き払った幼女審神者。
まぁ呪われてこの人形の中にいるから、呪いの人形と言っても間違いじゃない。
「それより長義さん、国広の呪いを解く方法を……
「いやいやいやいや!目の前の怪奇現象を前にそんな落ち着きようはないんじゃないかな!?そもそも呪いの原因はこいつの可能性もあるだろう!?」
「呪いは時間遡行軍が掛けたんですよね?」
「ええい、こんな呪いの人形はこうだ!!」
『え!?』
長義は日本人形を持ち上げ、障子を開けると大きく振りかぶってまんばを投げた。まんばは気持ちいいくらいよく飛び、本丸の外に飛び出た。
人形は痛覚ないので痛くない。

とりあえずここで一旦区切り。



名前のことはさておき、長義は自分の写しのことを特別に思っていた。ある日国広が大怪我を負ってしまい、しかも特殊な術が掛かっているせいで目覚めない可能性があると発覚した。何もできない自分に歯痒く思い、憤りが身の内で暴れ回る。無力な自分に怒りを感じているとギチギチと不思議な音がした。
日本人形がこちらを見て音を鳴らしていた。音はおそらく関節の音。滑りの良くないシリコンの音がする。
それなのに審神者は落ち着き払って国広の話を続けようとする。長義は思った。
(これは呪いの人形に違いない!未練や恨みや怨念で動いてるんだ……!)
そう思うと恐ろしくなって、遠ざけるべきだと考えて投げ飛ばしてしまった。
……長義さん、もし呪いの人形だったら投げて怨まれるのでは?」
「ハッ」
盲点だった。
長義は国広を心配し、手入れ部屋まで来ていた。呪いはかかったままで、目覚めはしない。もっと会話しておけば、とか、優しくできたのに、とか色んなことが浮かんでくる。解呪方法はまだ見つからない。
外に人の気配がしたため、主か薬研か石切丸だろうと思った。
ズズズ……と音を立てて障子が開く。

そこには乱れた髪でこちらを覗き込んでくる件の日本人形がいた。
「くぁwせdrftgyふじこlp」

やっぱり投げたから怨んで仕返しに来たのか……!😨と思うが、どうしようもない。せめて国広だけでも安全な場所へ、と彼を抱える。そして思いっきり逃げた。
すると人形もものすごいスピードで追ってきた。ホラー以外の何ものでもない。
何とか人形を撒き、ホッとする長義。国広を抱き自分の部屋へ向かう。自分の布団に寝かせた。先程の人形の件を主に報告したいが側を離れたくない。(離れてる間に人形が来ないとも限らないため。)誰かが通り掛かれば伝言を頼みたいが、夜更けでもないのに誰もいない。自分たちだけ切り離された空間にいるようだ。(今は夕食の時間)
ふと気づくと、ズズ、ズズズ……と音がして、天井の一部がずれる。そして何かが側に落ちてきた。それはみだれ髪で薄汚れた日本人形がだった。
「っっっ〜〜!!!」
『もど……のろわれ……けて……
ズズ……と這ってこちらに向かってくる。
人形の向かう先に国広がいると知り、すぐに彼を守るように抱き込んだ。標的は俺ではなかったんだろうか。人形は尚も向かってくる。
『かえ……
落ちた時に曲がった首がギギギと動いた。それが不気味で長義はその人形を払い飛ばす。それは吹っ飛び壁に当たって崩れ落ちた。また罪を重ねてしまった。人形は片足が取れてしまった。人形はそれを無表情で見つめ、むんずと取り何事もなかったかのように自らの足に取り付け直した。
そしてぐりんと首を回してこちらを向く。『よくもやってくれたな』と責め立てるようだ。再びギチギチという音を立て近づいてくる。手足を必死で動かしてるが、先程つけた足は前後逆でまさに異形そのものだった。



まんば視点。

まんばは長義に投げ飛ばされてしまい、本丸の外に出た。痛くはないが人形はボロボロだ。さて身体に戻るにはどうすればいいか、と考えた。とりあえず自分の身体の元へ行こうと思いつく。あとはわからない。

そして関節の滑りが悪いながらも何とか本丸までたどり着いた。
恐らく手入れ部屋にいるんだろうと推測して中を覗くと長義がいる。
(本歌がわざわざ俺を見舞いに?先程言ってた事は本当なのか?)
しかし長義はまんば(人形)の姿を見るなり、まんば(人型)を抱えてどこかにすっ飛んで行ってしまった。
『待ってくれ!俺は俺の身体に用があるんだ!』
人形の手足を必死に使って長義を追いかける。見失ってしまったが、大体どこに行ったか分かっている。執務室か自室だろう。となれば近道をしよう。そう思い、天井裏に潜り込んだ。

この辺りだろうか、と天井を外すと、布団に寝かされたまんば(人型)と傍に座る長義が見えた。しめた!と思ったが勢い余ってバランスを崩し、落下する。顔から落ちたため痛い、いや痛覚はないから痛くないけど視覚的に痛い。
『早く体に戻りたい!呪われてるんだ、助けてくれ!』
まんば(人形)がそう言うと長義はまんば(人型)を抱き込んだ。
(なんだそれ!羨ましい!!)
想いを寄せる長義に抱きしめられてるなんて、なんて僥倖なんだ!とまんばは思う。
『でも俺の身体返してくれー!』
と駆け寄るが長義に突き飛ばされる。壁にあたった衝撃で足が取れた。人形の足だからもろいのはしょうがない。すぐくっつける。まんば(人形)は長義の方を向くと、今もしっかりまんば(人型)を大事そうに抱えていて何とも胸が幸福感に満ちた。

一刻も早く体に戻りたい。(強い想い)
まんばは自分の身体を取り戻すべく、ボロボロの手足を動かした。


不気味な人形が迫ってくる。長義はもうダメだ、と国広を強く抱きしめた。しかし人形に襲い掛かられる衝撃はいつまで経ってもやってこなかった。
「国広くんの気配があると思ったら、君達、こんなところで一体何をやってるんだい?」
にこっと笑う御神刀、石切丸が飛びかかってきた人形を片手で押さえ込んでいた。長義はお祓いができる石切丸ならと思い、お願いする。
「頼む、呪われてるんだ!解いてほしい!」
「お安い御用さ!」
石切丸は人形に向かって「ずっと探してたんだよ、さぁかえろうね」と言う。探してたと言うことはやはり著名な呪いの人形だったんだと長義は思う。そして石切丸は人形を片手でひねり潰した。メシャァと。
「ひぇ」
「依代をなくしてしまえば、居つくところがないから、元の体にかえるしかない。」
お祓い(物理)
そして石切丸は何かを掴むような動作をした後、国広の体にそっと触れる。
「もう大丈夫だからね。」
粉々になった人形を見て、彼に逆らうのはやめておこうと長義は思った。
しばらくしてまんばくんは長義くんの腕の中で目覚める。「ぎゃ///」ってまた失神しようとする。その方が楽になれるきっと🙏

まぁそんなことで失神はできないんですが。

長義くんも長義くんで、まんばくんの声で自分が大事に抱きかかえていたことに漸く気づく。
まんばは本歌さんの気持ち知ってるから遠からずくっつくんだけど、そこは各自の想像にお任せするね!ちょぎくにハピエンー!
お付き合いありがとうございました!