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木蔦(キヅタ)
2019-04-02 00:53:13
2081文字
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××に恋する二振り目の話【ちょぎくに】
※山姥切国広が二振り出てきますが、三角関係ではありません。
その本丸は二振り目顕現のルールがある。
極になった刀剣は自分の二振り目を顕現する。
それは子ども、もしくは、弟分、弟子などのような存在だった。
ただし練度上げは極が優先されるため、二振り目は練度1のままの者が多い。
基本的に二振り目の世話は一振り目がやる。
みんな二振り目をすごくかわいがってる。
まんばもそうで、極の修行から帰ってきて、二振り目を顕現し、卑屈で引っ込み思案の二振り目を親のような気持ちで見ていた。
二振り目視点で進んでいく。
一振り目は優しくてすごく可愛がってくれる。
「どうせ俺なんか、」って言っても、一振り目が慈愛の眼差しで頭を撫でてくれる。
「写しだとしても、お前はたった一振りしかいないんだから」「俺はお前がだいじだ。」と欲しい言葉をくれる。
二振り目は一振り目のこと尊敬していたし、大好きだった。
どの刀よりも一振り目に懐いていた。
しかし、この本丸に山姥切長義が顕現する。
彼は山姥切国広に対し攻撃的で、事あるごとに一振り目に突っかかってくる。
一振り目は相手にしない。
精神的に弱い所を的確に付いてくるので、二振り目は長義を怖いと思ってる。
二振り目は一振り目にくっ付いてることが多いので、その場に遭遇することが多い。
ある日突っかかってきた長義がチラリと見てきた。
「ひっ」と喉の奥から声が出るが、すぐに視線を逸らされ、ホッとする。
長義は一振り目に口うるさく文句を言うが、一振り目は受け流す。
一振り目に相手にされないことが相当頭に来ているらしく、長義はガミガミ怒っている。
一振り目が長義の相手はそこそこに去ろうとする。チラチラと二振り目は長義を気にするが、一振り目が「放っておけ」と言う。
二振り目は長義を気にしながらも、一振り目に付いていく。
ある日二振り目は自室(一振り目と共同部屋)に戻ると鼻を啜る音が聞こえる。
一振り目は背を向けていて顔が見えない。
「ああ、遠征から帰ったのか。疲れただろう、風呂に入って来たらどうだ。」とわずかに振り返りながら言う。
二振り目は、どぎまぎしながら、返事をして風呂に向かう。
(俺の勘違いじゃなければ、泣いてたんじゃないか
…
?)
一振り目は強く、穏やかで、優しくて、自分と言う物を持っていて、泣いたところなんて見たことがない。
もしかしたら極める前は泣くこともあったかもしれないが、少なくとも二振り目が顕現してからはない。
(なんで泣いてたんだろう
…
?)
考えるがわからない。心当たりがない。
もしや自分の存在が負担になっているのだろうかとも考えたが、迷惑掛けてるのは今更だし、泣く前に面と向かって言いそうだとも思う。
とりあえず泣いていたことは気付かなかったフリをすることにする。
しかし数日後、その原因がわかる。
二振り目が夜中目を覚ますと、一振り目の姿がない。
しばらくしても帰って来ない。気になって探しに出る。
その日は満月が綺麗に見える夜で、灯りがなくとも先まで良く見えた。
少し離れたところに、一振り目の姿を見かける。
二振り目はホッとして声を掛けようとするが、他の刀が一緒にいると気付き、口を噤む。
物陰に隠れ様子を窺うと、その刀は山姥切長義だということを知る。
一振り目は困ったような、悲しげな顔をして、会話まで聞こえないが、ポツリポツリと話しているようだ。
そこでようやく泣いていたのは長義の所為だと言うことに気づく。
一振り目は強いから、ちょっとやそっとじゃへこたれない。
泣くまで至るとなると、原因は限られてくる。
長義は山姥切国広を毛嫌いしているから十中八九原因は彼だと推測する。
それなのに長義の表情は普段とは違い、慈しみに満ちていて、一振り目の頬を優しく撫でる。
二振り目は見てはいけない物を見てしまった気がして、慌てて自室に帰り、布団に潜った。
二振り目はその日から一振り目達を観察し始める。
気の所為かもしれないが、あの日から長義の態度は若干丸く感じる。
一振り目は素っ気ないが、ふとした瞬間に何かを気にする素振りを見せる。
何となく長義のことを探してるのではと思ってしまう。
そして徐々に、とてもゆっくりだが、二振りの関係が変化し始める。
たぶん本丸で気付いているのは殆どいない。
そんなわずかな変化。
しかし確実に変わってきている。
徐々に惹かれあっていく一振り目達を間近で見ていて、二振り目は羨望の念を抱く。
そして一振り目達は、それほど遠くない日にくっ付く。
最初のギスギスが嘘だったかのようにお互いを尊重し合い、労わり合い、仲睦まじい恋人同士となった。
そして二振り目は良かったとホッとすると同時に、一振り目達のような存在が、いつか自分にも現れるんだろうか、こんな自分でも愛してくれる刀がいるんだろうかと考える。
親のような存在の仲睦まじい姿を見て、羨ましく思う。
恋に恋する二振り目の話。おわり。
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