木蔦(キヅタ)
2019-03-30 01:46:30
1464文字
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刀解される直前で逃げてきた写しを匿う本歌【ちょぎくに】※ブラック本丸表現あり


ちょぎくに
※ブラック本丸表現があります。

長義は本丸内の一振り。そこには写しはいない。ドロップ&鍛刀頻度が高い刀剣なのに、いないというのは珍しいなと長義は思っていた。

ある日長義が部屋で寛いでいると、バタバタというけたたましい足音が聞こえる。
そして長義の部屋の障子が開いた。
そこには瞳を涙でいっぱいにした写しがいた。

写しは本歌を見て目を見開く。
しかしすぐさま後ろを振り向き、障子を閉めて本歌に縋った。
「頼む!匿ってくれないか!?」
尋常じゃない様子に、思わず写しを押入れに入れる。

しばらくすると誰かが廊下をうろつく気配がした。
しかししばらくするとそれも遠のく。
「もう大丈夫、かな。」
そう言って押入れを開く。写しはガクガクと震えてる。

話を聞いてみると、この写しは顕現したばかりで、しかしすぐに刀解されそうになり逃げてきたという。
「なんだ、また山姥切国広か。」
「レアじゃないならいらない。」
「弱い刀は持っててもしょうがない。」

心無い言葉を掛けられ、写しはカチンと来る。
言い返すが、力で捩じ伏せられ、審神者の前では刀は無力だと実感する。
そして散々なじられた末、刀解されそうになるが、寸前の所で逃げ、長義の元へ辿り着く。

写しは気弱にも、刀解されたくない、審神者の元へ行きたくない、と繰り返す。
話に聞く山姥切国広とはかけ離れていた。

長義は同情し、しばらくの間匿ってやることにする。
しかしノープラン。
写しを逃すのか、審神者に渡すのか、他の本丸に譲渡するのか、政府に通報するのか、決めかねている。


長義はご飯やおかずを多めに盛り、部屋で取るようにする。
そして写しに分け与える。
自分が部屋にいない時は押入れの中で過ごすよう言い聞かせる。
風呂は誰もいない時間に、長義を装って済ますようにさせていた。


写しの話を聞いてから、長義は気づく。そういえばここにはレアじゃない刀は殆どいない。
レアや限られた条件下でしか顕現しない刀が大半で、それ以外は打撃が優れてるパワー系だった。初期刀ですらいない。
(もっと早く気づくべきだったな……。)

長義は、これは政府に通報すべき事案かもしれないと考えるが、証拠もない、
ただ写しが証言してるだけ。
それに刀を資材に返すことが悪いこととも言えない。他の本丸でもやっているはず。
だから長義はどうすべきかわからず、ずるずる答えを先送りにしていた。

それに写しが本歌を頼る姿は見ていてなかなか良いものだった。
長義が部屋を出ようとすると不安そうに瞳を揺らす、姿を確認すると明らかに安堵した表情を見せる。
写しには自分がいてやらないと、と思うには十分だった。

しかし写しは遂に審神者に見つかってしまう。
一振りで本歌の部屋にいる時に、審神者が無作法に入って来てバレてしまう。

既に審神者のことがトラウマになっている写しは震えて逃げ出せない。
審神者は写しの腕を掴み上げ、いたぶり、刀解しようとする。

間一髪で駆け付けた本歌は写しを守る。
今まで先延ばしにしていたことを長義は後悔する。

もっと早く答えを出していれば写しはこんな目に合わなかったかもしれない。
長義が政府に「虐待の"疑い"」として通報したことで審神者が連行されていく。
証拠はないから戻ってくる可能性もあるし、長引く可能性もある。
どうなるかはわからないが、長義は見事写しを守ったのだった。

めでたしめでたし。
お疲れ様でした!