雪洞
2024-12-14 23:02:50
521文字
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【マレ監♀】監♀受けワンドロお題「染まる」

ひっそりゆっくり黒に引き寄せられていく。

 黒が特別似合う色だと思ったことはない。くすんだ色や濃くて落ち着いた色は好きだけど、進んで黒を選ぼうとしたことはほとんどなかった。けれど、どうしてだろう。
――ああ、よく似合うぞ。
 その色を見るたび、彼の声を思い出す。たまたま黒いワンピースを着た日、わたしの明るい髪によく映えると褒めてくれたその声が、胸に刺さって抜けなくて。黒い服なら、制服で着慣れているはずなのに。それからだ。まるで夜を写し取ったような、彼の髪のような深い黒に目を引かれてしまうようになったのは。
 レースのハンカチ。カチューシャ。リボン。手を伸ばしてしまったそのどれもに彼は言葉をくれた。
――いい色だな。
――うん、ぴったりだ。
――お前は肌が白いから、より目を引くな。
 その積み重ねが、黒を特別な色に変えていく。黒に傾くわたしの心は、そのまま真っすぐあなたに向かう。その色に似合うわたしになりたいと、そんな願いを密かに宿す。

「今度、黒いドレスを着る気はないか?」
 月夜の晩にわたしを誘うその声は、まるで「こちらにおいで」と言うようで。
 夜の世界に飛び込み纏うのは、きっと、あなたの色なのだと。頷くわたしの手を取って、彼は満たされたように微笑んだ。