三毛田
2024-12-13 19:40:24
1068文字
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40 040. 甘いお菓子をあげましょう

40日目 君の口には合わないってわかってるけど

 甘く甘い、甘すぎてスラーダをがぶ飲みしたくなってしまうほどのお菓子。
 きっと丹恒だったら、爪の先分だけでも口に入れたら顔をしかめていらないと拒否するくらい甘い。
 だから、あげるつもりはない。ないのだが。
「三月には渡せて、俺には渡せないものなのか」
 ベッドでゲームのデイリーをこなしていたら、急に部屋にやってきて。
 まあ、どうせ論文で行き詰まったからお風呂に入りに来たのだろうと思っていたら、違った。
 お風呂には向かったのは向かったのだが、出てきたのはやけに早く。
「グエッ」
「穹」
 うつ伏せの俺に勢いよく乗りながら、先ほどの言葉を口に。
「ち、違う!」
「何が違うんだ」
 どうやら、なのにだけお菓子をあげたのが気に入らなかった様子。
 というか、見ていたのならその場で声をかけてくれたっていいじゃんか。
 あれから何時間経ってると。
「あのお菓子は、ものすごく甘いから丹恒は食べられないと思って!」
「三月も変な顔をしていたな」
「女の子にそういうことを言っちゃ駄目だって。本人に面と向かって言ってないよね?」
……ああ」
 今の間は何。これは、似たようなことを言って、怒られた後だな。
 丹恒自身は、それの何が悪いのかはわかってなさそうだけど。
「丹恒、何が気に入らないの」
「俺には何かないのか」
「えー。ちょっと待って。甘いのしか買ってないんだよ」
 少し体を起こすも、いつもならばさっさと退いてくれるのに今日だけはなかなか退いてくれない。
「丹恒?」
……
「退いてくれないと、お菓子あげられないんだけど」
 そう言っても、動いてくれない。どうしたんだろうか。
「拗ねないでよ」
「拗ねてない」
「世間一般では、そういうのは拗ねてるっていうんだ」
「そうか。俺はその世間一般には当てはまらないからな」
 よくわからない理屈を口にしだしたので、本格的に拗ねているの確定だ。
「ほら、あーんして」
 なんとかバッグを手繰り寄せ、飴を取り出して。体を反転させ、差し出すけれどどうも不満そうで。
……
 唇に押し当てたら、ようやく渋々というように薄く開いて。その隙に、押し込む。
……これは、浮羊和胃湯味か?」
「当たり! ミルク飴も美味しいけど、ヨーグルト味も悪くないだろ?」
「ああ。これは、甘過ぎなくてちょうどいい」
 嬉しそうに口元を緩ませ、味を堪能している。
「丹恒」
 丹恒の下から抜け出し、そっと唇を重ねる。程よい甘さの唇は、いつまでも味わっていたい。
「機嫌、治った?」
「さあな」