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森永
2023-02-13 22:09:51
3936文字
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献上品
モブと咎人/闇のゲームの献上品です
咎人って知ってる?
のっけからまめしばかホラーゲームの導入みたいになって申し訳ない。でもいま自分の腹の底から湧いてくるいちばん純粋な感情が「咎人って知ってる?」なんだ。許してほしい。いや許してくれないからちょっと話だけ聞いていってほしい。お願い。このミンティアあげるから。
で、改めて咎人って知ってる? あ、ご存知! なら話が早いです。そう、今をときめく配信者、剣持刀也さんと伏見ガクさんの二人組。めちゃくちゃに面白いよね。なんていうかさ
…………
メチャクチャに面白いよね。いっつもキレキレのトークしてる剣持くんが勢いはそのままに伏見くんと話したりゲームしたりしてすごく楽しそうにしてるのが年相応で可愛いしさ、伏見くんは伏見くんで年下の剣持くんに助けられたりしつつホラーゲームしてる時の常軌を逸してるところとかさあ
………………
なんていうか、メッチャクチャいいよね。わかるよ。二人の配信が予告された日には世の中の全てを薙ぎ倒してでも帰宅するよね。生きる楽しみ、喜び、もはや「人生」なんだよね、咎人ってのはね。
で、なんでこんな話してるかっていうとね、見たんだよ。何を? いやこの話の流れなら分かるでしょ?! カマトトぶらないでよ!!
咎人を見ちゃったんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
待って、行かないで! 嘘じゃないんですって本当に、真剣と書いてマジだから。座って、ミンティアもう一粒いる? もうケースごとあげるから。とにかくもうちょっと聞いていって。お願い。ねっ。ねっ?
ふう、ありがとう。じゃあもう一度言うね。
咎人を見ちゃったんだよ。ついさっき、街中で、本物を!
その信じられない顔、理解できるよ。だってバーチャルの存在だよ? 我々と同じ軸にいるとは思わないじゃん。自分の目というか頭を疑ったよ。とうとう「視」えるようになっちゃったか〜と思ったし。現実と非現実の見分けつかなくなっちゃったんだな、あーあって思って目擦って、もう一度見たわけ。幻覚幻覚、ってね。でもいたわけ。嘘でしょ? 目薬さしてもう一度見るじゃん。いるんだよ! えっ? どういうこと?! なんで?! 咎人なんで!?
…………
ごめん、むり、待って、ちょっと深呼吸させて。スゥーーーーーーーーーーーーー
………………
ふう。ありがとう。いやなんで? いまだに訳わかんない
……
なんでだと思う? わかんない? そうだよね
……
当事者でさえ信じられないんだもん
…………
。ほんとになんで
…………
え? 話してみろって? それで幻覚か判断する? いいよ、やってやろうじゃん
……
。
街中っていうか、駅の隣のショッピングモールだったんだけど。普通に歩いてたんだよ、普通に。そしたら人混みの中でいきなりッポーーーンって目に飛び込んできたわけ。でさっきみたいに混乱して、でもほらやっぱりオタクって生き物って欲に従順だから、意識飛びかけたまましばらくついてったんだよね。不審者じゃないよ? 結果論としてはそう見えるかもしれないけど、実際にはただワンフロアの同じ通路をたまたまちょっと歩いただけだから。それだけ!
で、ぼんやりついて行ってる間、二人はさ、
…………
二人はさあ
…………
なんていうか
…………
その
…………
「普通」
………………
だったな
………………
。なんかそうとしか言いようがないほど普通の
……
全然友達どうしの買い物って感じだったんだよな
……
。分かる? 二人って配信の時はさ、やっぱり見てる人向けに喋ってるじゃん。さっき見た二人はそうじゃなくて、まあオフってやつだから当然かもしれないんだけど
………………
こう、「質感」
……
? がすごかったというか。配信でもオフみたいなテンションで話したり、それこそ裏で遊んだこととか話してくれることあるでしょ。それが現実となって襲いかかってくるわけ。
雑貨屋でちょっと見て回っただけでもヤバくて。例えばね? 伏見くんが皿でも買おうかな〜って見てるとするじゃん。そしたら隣の剣持くんがすかさず言うわけ。
「ガッくんの家、もうお皿死ぬほどあるじゃないですか。そろそろ溢れますよ」
「いやでもさ〜、あって困ることなくない? まだ入るっしょ」
「入りますけど、絶対一人暮らしにはいらないでしょ」
「でもキミが来た時にも使えるじゃないすか!」
「それはそうだけどさあ
……
」
「それはそうだけど」!? 否定しないんだ〜! それはそうだけどその上で否定しないんだ〜! たぶんこれアレだ〜配信外で普通にお泊まりしてるやつだ〜マジのやつだったんだ〜ただ配信するだけなら企画でもない限り皿まで使うことなくな〜い? そう思わない? ねえ?
言っとくけどこれだけじゃないしこんなもんじゃないからね。服屋に入った時なんか、剣持くんがファッションはよくわかんないから
……
ってちょっと気が引けてる感じなのに対して伏見くんがあれどう? これどう? って服当てたりしてあげててなんかも〜〜〜〜〜質感〜〜〜〜〜!
「これとかどうすか! めっちゃ似合ってるっすよ刀也さん!」
「ええ
……
? う〜ん
……
? よくわかんないしあんま着ることないしなあ
……
だいたい制服だし」
「スタジオ行く時とか着たらいいじゃん! あ〜でも、刀也さん似た色のシャツ持ってたっすねえ
……
これよりちょっと明るめで、袖が短めのやつ。でもデニムのジャケットも持ってたから、そしたらこっちのが合うんじゃない?」
「えっ
……
同僚の服事情を把握している
……
? キモ
……
」
「キモくねえだろ! 普通だよ!」
う〜〜〜ん、尊〜〜〜い。その後服買わずにお店出たけど、結局買わんのかいってところまで咎人って感じですごく
……
すごい良かったです。すごくない? そうだよね、すごいよね
……
「すごい」のインフレが起こってるよね。
ていうかね、店に入らないで歩いてる時も当然喋ってるんだけどこれがまた訳わからんくらい良くて大混乱なわけ!
「てかこの前ディスコードに貼ってきた動画なに? キミそんなことするタイプだったっけ」
「僕も別の人から送られてきたんですよ。不意打ちだったからアホみてえに笑っちゃってムカついたのでガッくんにも送っておきました」
「チェーンメールかよ! 作業中に見ちゃってマジで腹筋持ってかれたんだけど」
「ざまあみろ」
「こいっつ
……
」
剣持くんはあんまり面白動画テロしないタイプか〜〜〜でもそれを伏見くんにはやるんだ〜〜〜なるほどね! いつも一歩引いた感じで周りを立ててる感じの剣持くん、伏見くんにはそんな男子高校生みたいなことするの〜〜〜?
「ていうか今日ってこの後どうするんですか? とりあえず買いたいものは買えましたけど」
「あ〜ね。とりあえずメシ行きますか? 混んでたらなんか買ってウチでもいっすよ」
「ええ? でも最近ずっとガッくんちじゃないですか? ちょっと申し訳ないですって」
「別にいいっすけどねえ。いうて俺も刀也さんちお邪魔しちゃってるし」
「それこそ別にいいけど
……
まあ、とりあえず空いてる店探しましょうか!」
「はいよ〜」
このこのこのこの質感を直に食らったんだぜ? 耐えられるわけなかったんだよな。流れるように「家」という選択肢が出てくるじゃん。いや知ってたけどね? 咎人といえばお泊まり、お泊まりの代名詞とは咎人、みたいなとこあるから。だよね。そんで互いの家行き来してるんかい。知ってたけど、知ってた以上にしてそうな雰囲気醸しまくりじゃん。もう怖いまである。よくよく考えてみたら怖くない? 伏見くんは一人暮らしらしいからまだ分かるけど、剣持くんなんか実家だぜ? そこに言い方はアレだけどネットで知り合った友達を何度も連れてってるんでしょ? もう伏見くんの人間性が剣持くんのご家族に認められている証拠じゃん? っていうとこまで考えたら失神しかけたから、そこで二人についていくのやめたんだよね。
二人がレストランフロアに上がってくのまで見届けたんだけど、その間も話してることがすごかった。伏見くんがあれが食べたいと言えば剣持くんがそれはこの前も一緒に食べたじゃんとか言ってるし、剣持くんがあのゲーム気になってるんですけどガッくんやりました? と聞けばダウンロードだけして放置しちゃってるっすね〜なんて返すし、そっからじゃあいっそ一緒にやっちゃいますかーなんて言うからまずいまずい今後の配信ネタを先どりしちゃうかと思って焦ったら配信します? いやいいんじゃない? しなくても
……
とか言ってて本当に何? と思っちゃった
…………
だって思わん? なんで? 配信者が二人揃って新しいゲームやろってなって「配信しない」っていう選択肢取ることある? あるか、だって二人とも配信者である前に一人の若者だし、友達同士だもんな。そりゃそうだよ。何でもかんでも配信させようとするな。はい、ごめんなさい
……
。反省しちゃったよね、思わず。
で、それからちょっと記憶飛んでるんだけど、防衛本能っていうのかな、とりあえず道の真ん中でうずくまるわけにもいかないから無意識にこのスタバに入ってなんとか座ったのね。そしてたまたま隣に座ったあなたに話しかけちゃって、だって一人じゃ抱えきれなくて
……
おかしくなっちゃいそうだったから
……
え? 十分おかしかった? まあそれは否定できない
……
。とにかく聞いてくれてありがとう。なんかもう信じてもらえなくてもいいや
…………
。寿命が五百年は延びた気がする。なんかもう、ハァ〜〜〜〜〜、何が言いたいかってなんていうかもう、これしかないよな。
咎人って、サイコ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
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