夜中に目が覚めた。
トイレに行って帰ってくると、丹恒がベッドの真ん中に移動していて。
ちょっとだけ移動させてスペースを確保し、そこに寝転がる。
うとうとしながら、丹恒の閉じた瞼に、唇を落として。
「おやすみ、丹恒」
そう呟いてから、お腹の辺りに腕を回して眠る。
夏場は、丹恒にくっついているとひんやりしていて心地よい。とはいえ、空調の管理はしっかりしてるから、熱すぎないし寒すぎない。
丹恒の胸はふわふわで、ふかふかだ。
元々筋肉がついていてふわふわ寄りだった胸だったけど、俺が頑張りました。
まあ、俺以外には触らせないけど。
「
……」
「おはよう」
「んー
……おはよ」
「飲みすぎて夜中にトイレに行くのは構わない。が、いちいち俺の胸を枕にするな」
「だってぇ。丹恒の胸って、ふわふわでふかふかでぇ。枕より柔らかいからぁ
……」
「おい。寝るな」
頭を掴まれて揺さぶられるが、眠いのだから諦めて欲しい。
昨日は一日、丹恒の資料集めのために奔走していたのだから、もう少し寝かせてくれたっていいじゃないか。
そう言おうとしても、瞼は重いし、口も体も重い。
「
……今日だけだからな」
なんて、いつも口にする台詞。
ふと瞼に何か触れたような気がして。それを確かめた来ても、やっぱり重くて思うように動かない。
「おい、穹!」
「おはよぉ、パム。どうかした?」
パムの声に、のそのそ体を起こす。
「もう午後じゃぞ! だらだら寝ておって。シーツの回収ができなかったから、お前は自分で洗え。よいな?」
「わかったぁ。ところで、丹恒は?」
寝たときは一緒だったのに、起きるといつもいない。
待っていてくれる時もあるけど、殆どの場合は置いていかれる。
一緒に依頼に向かうときだけは、待っていてくれる。だけだな。うん。
「昼食まで平らげて、今は資料室のはずじゃ。論文を書いているから、邪魔をするなと言っておった。主に三月ちゃんに」
時々なのが突撃してきて、アーカイブの作業を邪魔されると言ってたもんな。
それよりも集中したいであろう論文で邪魔されたら、たまったもんじゃない。というところだろう。
「ところで、お昼は?」
「葉物野菜とベーコンのキッシュ。スープは好きなものを。温野菜サラダに、デザートはナッツ入りチーズケーキじゃ。紅茶かコーヒー、好きなものを選ぶとよい」
「わかった。顔洗ったら、食べに行くよ」
「温め直しておくから、早めに来い」
「ありがとう」
研究で部屋にこもってる姫子に届けたり、趣味のためにやはり部屋にこもってるヨウおじちゃんにも差し入れを持っていったり。
なのの突拍子もないレシピをちゃんと食べられるように改造したり、ゲーム三昧で全く動かない俺にご飯を届けてくれたり。
やはり資料室から出てこない丹恒にも差し入れを届けて、息抜きを促したり。
と、パムは乗員のために毎日奔走している。
なるべく負担にならないように気をつけてはいるけれど、なかなか上手くいかない。
むしろ、迷惑をかけてしまっている気がする。
「パム、お待たせ。うーん。チーズのいい匂い」
「追いチーズ炙り、というものをやってみた。みんなには内緒じゃ」
カットされたキッシュには、たっぷりのチーズ。それが、お皿に垂れていて。
こんがり焼けたところが、とても美味しそうだ。
「いっただきまーす!」
ナイフで切り分け、とろーっと伸びたチーズに慌ててかぶりつく。
「ん〜! 最高! やっぱり、チーズはこう伸びないと」
「ピザもチーズたっぷりがよいか?」
「うん。でも、在庫も相談でいいよ」
「そうか?」
「うん。だって、使いすぎて注文するのって大変じゃん? だから、いざっていうとき以外は控えめでも」
「グラタンを作った時は、使ってもよいかの?」
「皆と相談すればいいんじゃないかな。俺は、チーズたっぷりだと嬉しけど」
うん。
チーズの下のキッシュもすごく美味しい。流石パム。
「ご馳走様でした。今日も美味しかったよ」
「うむ。それはよかった」
嬉しそうにしているパム。食器を片付けて、資料室をノックする。
「丹恒、今日は手伝い必要?」
「そうだな。資料に付箋をつけてあるから、その数を俺が読み上げたら渡してくれ」
「わかった」
それまでは、ゲームをして時間を潰そう。
「穹。八番を」
「はーい」
八番の付箋のついた資料を渡す。
「丹恒、一息ついて」
一、二システム時間経過したころ、そう声をかけ。
パムに用意してもらった飲み物と糖分補給のデザートを渡す。
「ありがとう」
「それはパムに伝えてね」
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