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蕨野おもち🍡
2024-12-10 19:39:19
1905文字
Public
豊衣足食
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ゆめうつつ
弊ドロこう言う「眠れないの?」に参加させて頂いた時のやつ。
付き合っているドラロナがほんのりいちゃいちゃしている話です。
寝入り端、ロナルドは部屋にかちかちと軽い音が響いているのに気が付いて浅い眠りから目が覚めた。
スマホで時刻を確認すると丁度深夜3時半をすこし過ぎる頃。まだはっきりと意識が覚醒しきらないままゆっくりと寝返りをうつと、ドラルクがソファベッドの縁を背もたれにして何かゲームをしているようだった。なるほどさっきのかちかちという音はゲーム機のボタンを押す音だったらしい。ゲーム自体の音は消してあるのか、真夜中のしんとした静かな部屋に響くのは、ドラルクがゲームをする音と二人と一匹ぶんの微かな呼吸の音、そしてキンデメの水槽のポンプ音だけだ。部屋には遮光カーテンを敷いていることもあり、ほとんどなにも見えない程真っ暗だった。その中でゲームの画面のから溢れる光だけが、この暗い部屋の中でやけに明るい。ドラルクももう寝る前なのか、ネグリジェに着替えた細く薄い肩や背中のシルエットが、その光によってぼんやりと浮かび上がっていた。ロナルドは夢と現とを行ったり来たりしながら、ぼんやりとその背中を眺める。ドラルクの膝の上では、ジョンが丸くなって眠っていた。大方ゲームに遅くまで付き合っているうちに寝落ちしてしまったのだろう。時々ゲームの手を休めて、ジョンの甲羅を撫でる仕草がひどく優しい。
(
…
起きてんの、気付かないかな)
ロナルドはそう思いながら、そっとドラルクの背中に手を触れる。そこから伝わる体温は人間と比べるとひどくぬるい。よほど集中しているのか、すこし丸まった背中は手が触れた位ではこっちを見もしない。面白くないなと思ったロナルドは、そのままドラルクの寝衣を軽く引っ張る。するとドラルクも流石に気付いたのか一瞬ぎくりと体を強張らせ、ゲームの手を止めイヤホンを外しながらようやくロナルドの方を向いた。
「
…
びっくりした、起きてたの。もしかして眠れないの?画面眩しかったかな」
振り返ったドラルクは驚いて死にかけたのか、耳の端が少しだけ砂になっていた。ロナルドが起きていたことが相当予想外だったらしい。
「んーん、ちょっと目覚めただけ」
ロナルドがそう答えると、起こしてごめんねと謝りながら頭を撫でる手が心地よくて目を閉じる。ジョンを起こさないよう、こちらを窺うように潜められた声が耳朶に直接響いてすこし擽ったかった。
「私、予備室行こうか?このままじゃ寝れないでしょ」
ドラルクは膝で眠っているジョンをすぐ側の籠ベッドにそっと移動させると、そのまま立ち上がって移動しようとするのでロナルドは再びドラルクのネグリジェの裾を引き、「いいよ」と言ってその場に押し留めた。
「ここ居ろよ、別に眩しくないし」
「
…
そう?」
「ん。俺が寝るまで、なんか喋ってて」
じゃあいいか、とドラルクは再びソファのすぐ側に腰を下ろす。先程までやっていたゲームの画面もすでにスリープモードにされたのか、部屋はより一層暗闇と静寂に満ちている。
「しかし何か喋れと言われてもな
…
話題に困る」
「なんでもいいよ」
「何でもってのが一番困るんだよ、話題も食事のメニューもさ。
…
あ、そうだ。じゃあ明日の夜食何食べたい?」
「んー
……
からあげ?」
「またか、きみにリクエスト聞くとそれしか言わんな本当に」
もっと他に無いのかねとドラルクが聞くと、ロナルドは眠さでぼんやりする頭でわずかに考えた後、あんまりないなあと言う。
「だって、あれがいちばん美味いし」
「
…
そう?」
「ん。」
ロナルドは自信有り気にこくんと頷いて見せたあと、「お前の作るものはなんでも好きだけど、」とあくび混じりに付け加えた。そんなふうに言われてしまえばドラルクの方も悪い気はしない。ここに住み始めた最初の頃、作った食事に一切手を付けようとしなかったのが嘘みたいだ。何よりロナルドが素直にドラルクの料理を褒めることも珍しかった。寝ぼけている今だからこその本音なのかな、と思いつつもドラルクは言葉を続けた。
「
…
じゃあ明日は唐揚げにしようね。鶏肉がもうないから、昼にジョンとお使い行ってくれる?」
「ん
…
わかった
……
」
「ふふ、眠たいねえ。手があったかい」
「ん
……
」
ロナルドの手にそっと触れてみると、もうだいぶ眠いのか普段より体温が高くじんわりと温かい。触れた指先から、ぬるい体温のドラルクの手にもその温かさが伝わってくるようだった。そのまま頭を撫でていると、やがてすう、と穏やかな寝息が聞こえてくる。
「
…
おや、寝ちゃった。早かったな」
せっかくのおしゃべり時間、案外短かったねえと呟きながら、ドラルクはそのまま夜が明ける迄のしばらくの間、愛しい恋人の寝顔を眺めて過ごすのだった。
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