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アイリス
2024-12-10 08:48:38
4618文字
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テレビドラマ 大穢
芸能パロです。
あえて呼び方と話し方を少し変えています。
お嫌いな方はご注意あそばせ。
芸能パロ 大穢
深夜一時から放送されているドラマ【大穢】。
一本の筋道を繰り返すことで分岐されていくサスペンスホラーミステリー。このドラマが爆発的に人気が出たのは内容の面白さだけでなく、主人公と個性あふれる出演者たちが繰り広げる恋愛模様のおかげもあるだろう。一話から八話までは有明ルートと呼ばれており、彼の物語をリアルタイムで見ていた人たちの阿鼻叫喚はXのトレンドを独占した。
“ファムファタ男”
“有明様”
“誰がそこまでしろと言った”
“運命”
“キャラメル”
など挙げればきりがないので省略する。八話の彼専用のエンディング曲が配信されると瞬く間に配信一位に躍り出るほど、このドラマの影響は計り知れないものだった。ここまで人気であるのにも関わらず深夜枠なのは、殺伐としたやり取りや殺人、恋人になった者との濡れ場が原因だろう。有明との濡れ場のシーンで“手拍子”がトレンドに入ったのは、このドラマの面白話の一つだ。
有明ルートはもう一つあり、九話ではとある部分で大崎が行動に出るかどうかの分岐の話が放送された。十話からは新橋ルートと呼ばれ、一話から四話の短い回想が入り大崎の行動に変化が生じる。新橋ルートも話題に事欠かずXのトレンドを独占することになった。
“令嬢”
“ツンデレ”
“猫ちゃん”
“タヒにそうらえ”
“瞬き”
ここでも割愛するが新橋の起こした行動がX上でお祭り騒ぎとなっていた。有明ルートでかなりヘイトを集めてしまい彼を嫌う声が多かったにも関わらず、彼のルートに入ると誰もが掌を返したようだった。彼の使う独特な言い回しはドラマ好きの間で頻繁に使われているそうだ。
彼のルートは十五話まで続き、濡れ場がないものと思っていると十五話で怒涛の恋愛模様に悲鳴を上げた者は数知れない。
もちろん彼専用のエンディングも配信と同時に一位を奪い取っていった。
十六話からは二十一話は青海ルート。彼へ続く話は新橋と変わり、より早い段階から大崎の行動に変化が生じる。少しの行動の変化で変わる物語に引き込まれていく視聴者、その中で流れた凌辱は物議を呼んだ。しかし、深夜枠であることや必要なこととして書かれることで炎上は収束していった。トレンドの内容も少し物騒なものが多かったのはそのせいだろう。
“拷問”
“凌辱”
“どうして”
“先生”
“イチゴ”
などこちらも割愛させていただく。そんなドラマ【大穢】の出演者たちが四人そろって番組に出演すると情報が流れると、Xのトレンドは大穢一色に染まった。
その番組が始まろうとしている。
軽快な音楽と共にMCが大穢のあらすじを説明し、出演者の紹介をしていく。名前はそれぞれ出演者の芸名に揃えられているので役名=俳優名である特殊なものだ。
四人並んで登場すればスタジオは悲鳴に包まれる。
「皆さん初めまして、大崎役の大崎です。同じ名前なので少し変な感じがしますね。どうぞよろしくお願いします」
大崎は役の時とは違い、照れ笑いを浮かべ小さく頭を下げる。本来の彼はよく笑う青年で大食いだそうだ。
「皆さんこんにちは初めまして~!有明役の有明です。今日は僕の大崎さんを自慢しに来ました~!よろしくお願いします」
有明は彼本来の性質と似ているようでふわふわと笑って、大崎の腕にすり寄り腕を組み、そのまま頭を下げる。腕を組まれた大崎が照れている姿にスタジオの悲鳴がより一層激しくなる。
「初めまして、新橋役の新橋です。今日は俺の大崎様を自慢しに参りましたので、どうぞお楽しみくださいませ」
新橋も彼本来の性質と似ているようで落ち着いた笑みを浮かべる。有明と逆側の腕を取り、大崎にすり寄ったところで泣き出す観客が出たほどだった。
「こんにちは~青海役の青海です。私の彼を紹介に来ました。今日は。すり寄る腕がないのでこのままよろしくお願いします!」
青海は本来明るい性格らしく、ニコニコと観客に向かって手を振って挨拶を終えた。
悲鳴が収まらない中、番組は進んでいく。色々な談笑を挟みながら、MCは時間の許す限り質問を投げかける。
「大崎さんはよく笑う方なんですよね?何か大変なことはありましたか?」
「そうですね
…
有明さんが微笑んでくれるたびに返してしまいNGを重ねたこと、ですかね?有明さんにニコってされちゃうと返しちゃうんですよ。監督に怒られてしまいました」
「えへへ~」
「ふふ、こんな感じです」
有明が身を乗り出して笑いかけると、大崎もつられて笑う。ドラマでは見れなかった大崎の笑顔にスタジオが湧いた。
「ああ~わかります。俺も有明さんに何度かやられました」
「私も無表情でいないといけないのに、有明さんにつられてNG連発しましたよ~」
「自分たち三人は有明さんのシーンでことごとくNGくらってるんで有明さん被害者の会ですね」
「そんな~!僕は台本通りに笑ってるだけなのにひどいです!言いがかりです!」
あははと四人で笑いあっている光景が不思議なほど、あのドラマは悲惨だった。その彼らの和気あいあいと話す番組は爆発的な視聴率を叩きだしていく。
「では、皆さんの中で印象深い方は誰ですか?」
「自分は決められません
…
皆さん役柄と本来の性格が似ているのに、本番に見せる狂気が恐ろしくて、自分は、全員で帰りたいだけなのに
……
」
「大崎君は真面目だからこうやって落ち込んじゃうんですよ~。僕、大崎君が可愛すぎていつも撫でちゃうんです」
「そうなんですよね。俺も、誰かが死ぬ度に自分がもっとうまく立ち回れば
…
なんて言ってる時は思わず抱きしめてしまいました。役に入りすぎて心配になります」
「私も。凌辱シーンで、彼が泣きながら謝って来た時は思わずきゅんとしました」
「そんな凌辱シーンのNGの映像をご用意しています!」
「え」
「えぇ~!見たい見たい!僕あの時死んでたんで見れてないんですよ!」
「俺も見たいです」
「こんなに大人数に見られると照れますね」
「では、VTRお願いします」
MCの掛け声とともに映像が流れだす。大崎が追い詰められ青海を凌辱する場面。撮影のために脱いでいるが、しっかり見えないようにカバー下着をつけている。凌辱を終えて大崎の謝罪の言葉を聞き青海が声をかける。言葉が続くと思って待っているが、大崎は口を開けないでいた。青海が演技を続けながら訝し気に彼の顔を覗き込むと、演技をやめ大崎を抱き締める。
「大崎君、どうかしましたか?」
「ご、ごめんなさい。ごめんなさいっ
…
ごめんなさい」
「私は何ともありませんよ。ほら見てください」
「けど、俺はっ貴方を!貴方に酷いことをっ!」
「演技です。これは」
「青海さん」
「大崎君。私は酷いこともされていませんし、傷ついてもいません。触って確かめますか?」
「いいえ、いいえ
…
大丈夫です。すいません、お手数をおかけしました
……
」
「君って、可愛いんですね。お兄さんきゅんってしちゃいました」
「
……
やめてください」
「ふっふふ」
そんなやり取りを最後まで取っていたであろうスタッフたちの笑い声も入り映像が途切れる。スタジオの映像に切り替わると両手で頬を押さえながら歓声を上げる有明とニマニマと大崎を覗き込む新橋、笑いながら火照る顔を手で仰ぐ青海、頭を抱えて唸る大崎が映された。
「微笑ましいやりとりでしたね」
「大崎君可愛い~!」
「あなた、人の事言えないじゃないですか。ねぇ?大崎くん」
「いやぁ改めてみると恥ずかしいですね。あの時は泣いてる大崎君を抱き締めてあげないとって気持ちでいっぱいだったんですよ~」
「自分は
…
じぶんは
……
こんな時まで青海さんにご迷惑を」
蹲る大崎に青海が近づいて頭を撫でると、観客の悲鳴が響き渡った。大崎の前にしゃがむと彼の顔を覆っている両手に手を添える。
「ふふ、本当に君は可愛らしいですね。お兄さん気にしてませんから、顔をあげて見せてあげてください。皆さん貴方を見に来てくださってるんですよ」
青海に促されて顔をあげた大崎は、首まで赤く染め上げうっすらと涙をためている。スタジオにいる人間全員が叫んだのではないかという錯覚にとらわれるほど大きな音が響き渡った。これが庇護欲というものだろうか。有明と青海が大崎を慰めている間にMCは次の映像に移ろうと進行する。
「皆さん、興奮冷めやらぬままで失礼しますね。次のVTRは新橋さんのNG集です」
「このタイミングで俺ですか?大崎くんの衝撃には劣ってしまうのでしょう」
「いえいえ!あなたのNGもとても好評ですのでどうぞ!」
声と同時に映像が移り変わる。映像の上にカウントが表示されていることから何度か同じNGを出したことが分かった。
カウント1
アンプルを飲もうとする大崎の手を叩こうとする新橋。
スカッと手が空を切る。
「
……
っ!すいません」
「いえ」
「もう一度お願いします」
カウント15
「~~~っ!!!なぜ当たらないのですか!?」
「え、自分に言われても」
「あなたが遠くに居るからいけないのでは!?もっと近くで飲めばいいでしょう!俺に見せつけるように!」
「そんな
……
」
カウント16
振りかぶった手が大崎の頬を叩いてしまう。
「ああっ!すいません!!すぐに冷やさないとっ」
「いえ、大丈夫ですので」
「綺麗な顔が傷ついてもいいと⁉」
カウント17
しなった平手が大崎の手を打つ
「やった!当たりましたよ!大崎くん!」
「はい、新橋さんの努力のおかげです」
「ふふっ、もう少し褒めても構いませんよ」
「すごいです、新橋さん」
「カットカットカット~!バカップルのやり取りじゃないのよ君たち~!毒を飲むか飲まないかってシーンだからね!?」
複数人の笑い声と共に映像が途切れる。
キスシーン。
新橋が大崎の肩に両手をかけ、壁にもたれかかる場面。
口付けを深めゆっくりの瞬きをするタイミングで、新橋が崩れ落ちそうになり大崎が支える。
「~~~っ」
「どうされました!?」
「こ、腰が抜けました」
「
…
可愛いですね」
「
……
見ないでください」
「カットカット~、休憩入れましょう。ここのキスは唇合わせるだけに変更で」
映像が途切れスタジオに移り変わると新橋が頭を抱えて唸っている。他の三人はニコニコしながら新橋を眺めて居た。
「あの新橋さん可愛らしかったです」
「うるさいですねっ、俺を馬鹿にしてたのしいですか?」
「いえ、本当に可愛かったので」
「~~~っ」
悲鳴に近かった観客の声は、新橋が大崎の椅子をゲシゲシと蹴る姿で笑い声に変わった。年が近い分遠慮なしに話したりするのだろう。そんな関係性が見れるNG集だった。
「新橋さんいいなぁ~!僕も大崎君とイチャイチャしたい!」
「年下の二人のやり取りは可愛らしいですね。年相応って感じです」
「なんだか微笑ましいNGでしたね。撮影ではよくこんな場面が?」
「いえ、新橋さんが特別です」
「他の方との撮影はまだでしょう!」
「でも、ねぇ?撮影中で大崎君があんなに楽しそうにしてたの新橋さんルートくらいじゃないですか?ほら、僕たちのルートは、ね?」
「ちょっと刺激的ですもんね」
そんなやり取りが続く中ドラマ大穢の番宣を挟み、番組後編へと続いていく。
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