三毛田
2024-12-09 21:19:51
1822文字
Public アドベント24
 

09. 鼻先をかじってみる


生クリームで甘い鼻先

「ん。ついたな」
「丹恒」
「穹?」
 買ったイチゴチョコのクレープの生クリームが、鼻先についてしまったようで。
 手の甲で拭おうとしたのを止めて、舐めとる。ついでにかじってみた。
「穹!」
 びっくりしたのか、照れたのか。真っ赤になって俺を呼ぶ。
「丹恒、甘いな」
「お前、なんでっ」
「だって。もったいないだろ? それに、恋人らしいやり取りだからさ」
「ここは、外だ」
「でも、いいだろ?」
 ハムチーズに、レタスのくらーぷを差し出すと奪うように受け取って。
 そして、イチゴチョコを押し付けてくる。
 丹恒の食べかけを貰えて、すごく嬉しい。
「穹」
 もそもそ食べながら、睨んできて。
「睨んでも、可愛いだけだから」
 頬をつつくと、指を掴まれる。
「痛い痛い痛い!」
 そしてそのまま上へと曲げられる。曲がらない方へ曲げられてしまうと、流石に俺でも悲鳴を上げることしか出来ない。
「ふんっ」
「丹恒、ひどいって~」
「先に仕掛けたのはお前だろう」
「そうだけどさぁ」
 デザートクレープの生クリームが美味しい。さっきまで食べていたおかずクレープのハムチーズも美味しかったけど。
「穹」
「ん?」
「ついてる」
「え?」
 言葉と同時に鼻を舐められ。さらにかじられた。
「ひゃー!」
「さっき自分でやったのに、なんでお前は……
 悲鳴を上げたら、きゅっとつままれて。
 呆れたように笑う丹恒は、可愛かった。
「それで。デザートはどうだった?」
「たまに食べるならいい。ただし、さっきみたいに一口か二口だ」
「論文をやった後は、パムのデザートなら結構食べてるよな」
「あれは、ちょうどいい甘さだからな。つい食べてしまう」
「俺のはちょっと甘めかな。俺も食べすぎちゃうけど」
「パムの作ってくれるものは、どれも美味だ。食事の方も、つい食べすぎてしまう」
「だから、最近の丹恒のお腹丸くなってるんだ」
 ニヤッと笑うと、バシッと背中を叩かれた。
「じゃ、帰ろうか」
「そうだな」
 手を綺麗に拭いて、それから帰るために歩き出す。
 紙で包まれていたけど、ちょっと生クリームとチョコソースがついちゃった。
「パムの作ったクレープも絶対美味いよなぁ」
「ガレットも美味いだろうな」
「帰ったら、頼んでみよう」
「ああ。今日は食べたから、明日以降のデザートに頼むか」
「いいな! なのも喜びそうだ」
 どういう味付けが食べたいとかを、二人で話しながら列車に帰って。
「ただいまー! パム、早速だけど作って欲しいものがあってさ」
「おかえり。何を作るんじゃ?」
「クレープ! お店のも意外と美味しかったけど、パムが作ってくれたら、もっと美味しいなって」
「クレープか……シュゼットにしてもよいな」
「シュゼット?」
「クレープの生地を焼いた後、オレンジソースを絡めてフランベするデザートじゃ」
「えー! それ、楽しそう!」
「確かに。面白そうだな」
 丹恒もどこかワクワクそわそわしている。
「パフォーマンスをして、皆にふるまうのも悪くないな。日と時間を決めよう」
 というパむの提案に、二人で笑顔になって見つめ合う。
「夕飯はどうする?」
「少し軽め……じゃちょっと足りないかな。ハンバーガーくらいの量がいいかも」
「セットか?」
「うーん……ポテトはいつもより少なめで!」
「飲み物は?」
「スラーダ!」
「飲みすぎたら、また吐くぞ」
「ご飯の分だから、一本だけだって!」
 前に飲みすぎて吐いたと告げたら、呆れた表情をされたのだった。
「UFOバーガーより、パムの手作りハンバーガーが好きだな」
「あれは、夢境の食事だからだろう」
「それもあるんだろうな。パムのご飯が美味しいのは変わりないけど」
 俺が褒めると、耳で顔を隠して。照れているようだ。
「じゃあ、俺たち部屋に行くから」
「ああ。出来たら、とりに来てくれ。他の面々にも提供せんといけないからな」
「わかった。俺のスマホ鳴らして」
「うむ」
 パムに伝えて、部屋で待機。
「丹恒、キスしていい?」
「ああ」
 シャワーを浴びながら問いかけると、許可をくれて。
 背中を撫でながら、キスをする。もっと下を撫でたいけれどそれをしたら、きっとお互い我慢が出来なくなるだろう。
「ん……ふ、は……
 唇から漏れる吐息に、下が反応していくのがわかる。
「我慢だぞ穹」
「わかってるって」