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佐伊
2023-05-20 13:25:05
2602文字
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「精霊を宿す国」書籍化打診について
本文にありますとおり、「精霊を宿す国」書籍化打診は「竜王の婚姻」の電子書籍化打診前だったのですが、色々事情が重なって竜王の配信が先となりました。
皆さまのお気持ちが、書籍化につながりました。
全ての読者様に、心より感謝申し上げます。
まだすべての作業は終わっていませんが、皆さまからの応援を胸に乗り切りたいと思いますので、これからもお付き合いいただけたら
あの日は忘れもしない。
なぜならその日の前日、私は連載中小説内で鬼畜行為を行っていたのだ。
「竜王の婚姻」第六章 無常の風
……
慟哭
……
(←分かる人には分かる状況)
小説をアップして一夜明けた私は屍状態だった。パソコンを開くのさえ恐ろしい。どんな罵詈雑言の感想が届いていることか。ツイッタのふぉろわは多分半減している。
ああしかしこの章のラストは今日のうちにアップしなければならない。第六章を最後まで書き、この章を締めなければそれこそ私は人ではない。今日休みを取っておいて良かった。これを書きあげたらもう何もしない。震える手でパソコンを開きひたすらガタガタガタと無心でキーボードを打つ私に届いた通知音。
フリーメールからの通知で、ああ何かのセールの案内でも届いたのかなと画面をのぞき込んで私は固まった。
書籍化打診のご連絡。
なろう運営からのメールだった。
この時私の頭に浮かんだ言葉を正直に申し上げよう。
……
今かよ!?
書籍化って何!
「竜王の婚姻」の書籍化!? 昨日の読んだ!? まだ読んでないよね!?(すみませんエクレア文庫の担当様ちょっと頭アレだったんです)
私の小説でポイントが最も高いのが当時連載中の「竜王の婚姻」だった。
だからもうてっきり書籍化打診といったらそれしか頭になく、脳みそパンク寸前で開いたメールでまた固まった。
……
そこに書かれていたのは、「精霊を宿す国」の書籍化打診の話だった。
この時点で私の頭から脳みそが弾けて飛んでしまった。
最後までメールを読んだ私の感想を正直に申し上げよう。
……
詐欺か
……
?
(おそらく上位ランキングと縁がない作者が100パーセント抱くであろう疑惑)
それともなんだ。私の知らぬ間にポイントが3倍くらい跳ね上がったのか? それでも多分書籍化などほど遠いレベルだぞ(この時点でポイント7000台だったと思う)
……
まあ、真偽を確かめるのは後でいい。今は第六章を書き上げることが先決。これはちょっと見なかったことにしよう。脳みそを詰め直し、再びパソコンと向き合う私。
書ききった私は入浴後最後のチェックをしてムーンに小説をアップし、その日は死んだように眠った。
翌日、連載の反応が怖いのでパソコンやスマホを避ける私。
だがあのメールを放っておくわけにもいくまい。
おそるおそる開いたなろうのマイページにもメッセージが届いており、読者様からのお怒りのメッセージかしらと震えながら開けてみたら運営からだった。同じく、書籍化打診の連絡。
メッセージを通した打診も来ているということはホンモノなのか
……
?
(ここまできて疑念が消えない少ポイント作者あるある)
まだ狐に包まれている状態の私が勇気を出してパソコンに向き合い立ち上げたのは、小説家になろうのマイページではなくWEB拍手だった。
なろうの誤字脱字報告機能がまだ実装されておらず、気軽にコメントを送ったり誤字脱字を伝えたりできるツールがあったらというコメントを頂いたのを機に使用し始めたWEB拍手。
「精霊を宿す国」を連載する少し前から始めたそれは、「竜王の婚姻」連載を機に閉じており、立ち上げるのは久々だった。
私の小説を楽しんでくれている人などいるんだろうかと思っていた頃、思い切ってつけてみた拍手。
私はWEB拍手によって、私の小説を待ち望んでくれている人たちがちゃんと存在することを知ったのだ。
パスワードを思い出してログインしてみると、立ち上がった。
ああ、あの時のコメントが、まだここに残っていてくれたのかと胸に迫るものがあった。
コメントを一つ一つ追っていくと、当時の熱量が蘇ってくる。
この日付は連載中、「鳳泉の章」佳境真っ只中だったなあ、すごいなあ、この方ほぼ毎日毎日叫んでくれたなあ、こんな展開なのに皆さんコメントの言葉ひとつひとつに気をつかってくださって
……
この方々をがっかりさせたくないから、何が何でも物語を締めてみせると思ったんだよなあ、そして完結後のコメント数の多さ、文字数の
……
いつの間にか私は、ボロボロ泣きながらそれを読んでいた。
「精霊を宿す国」は最終回直後ポイント2000台だったと記憶している。
それでも当時の私にとってはとても大きな数字だった。私の他の小説は完結後少しずつ読まれるパターンが多く、最大でも2000台だったのだ。
「精霊を宿す国」は完結後、ポイントが倍に跳ね上がった。
それは、数多くの感想やレビューのおかげだった。
「竜王の婚姻」が思いのほか初回から注目され、それに乗じて「精霊を宿す国」も次第に読まれるようになったが、それでも10000ポイントにまだまだ手が届かない小説を、出版社はどうやって知ったのか。
私はWEB拍手の、多くの声を見ながら思った。
もしかしたらこの方々は、私の知らないところで、あの小説の名を語ってきてくれたのかもしれない。
コメントの中に、これが書籍となってくれたらという声があった。
当時はあり得ないとしか思えなかった。
だがそんな荒唐無稽な話が、現実にあるとしたら。
話を受けよう、と私は決意した。
詐欺かどうかは話を聞いてから考えればいい。
これまでも望む声一つ信じて、投稿サイトという大海に身を投じてきた。
自分がどこをどう泳いでいるのか分からなくとも、求める声はいつか必ず聞こえる。
それは、初めて書いた小説のポイントが二桁台の頃、小説家になろう、ムーンライトノベルズが教えてくれたことだ。
それは私だけでなく、
ほとんどのウェブサイトの書き手が、心の中に持ち続けているものかもしれない。
そして私は出版社にメールで受諾の返答をしたが。
まず最初に聞いたことは詐欺かどうかの確認ではなく「どうやってこの小説を見つけたんですか?」だった気がする。
そして最初の電話では「いいんですかねこれううううう売れるというか今しょしょしょしょ商業で望まれるヤツとはちょちょちょっと違うようなだだだ大丈夫なんですかおおお御社で担当氏が今後厄介なことになりませんか」と自己肯定感底辺丸出し台詞を口走った気がするが(のちに「竜王の婚姻」の時もエクレア文庫の担当氏に同じような事を言ったがこの時よりはまだマシだった)
それに対するリブレ担当氏の返答はちょっと覚えていない。
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