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ちよど
2024-12-16 00:00:00
2118文字
Public
わし様など
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カウラヴァとジナコさんの話
ほんのりカルジナとヨダナさん。pixivより再掲
ヨダナさん「わし様、蹴られる馬を待たねばならんのか」
森を抜けたらそこは大きな湖だった。
澄んだ水面を覗き込めば、そこにはややぽっちゃりとした象耳の少女の姿が映る。
(ゲームなら湖の主が出て来るパターン)
そう思うジナコの背後でマスターが呼びかけた。
「ガネーシャさん。なにかいそう?エネミーの反応はこの辺りで途切れているんだけど」
「何もいないッス」
言いながらジナコは振り返る。
森から出てすぐの所に立つマスターの傍には、カルナ、ドゥリーヨダナ、アシュヴァッターマンが控えている。
「湖は案外隠れやすいぞ。ガネーシャ神」
水を固定化して湖に隠れていたという逸話を持つドゥリーヨダナの言葉にジナコはむっと唇を尖らせたが、結局黙り込んだ。
声が大きく動作が派手なドゥリーヨダナはどうしても苦手に感じてしまう。いつも怒っているアシュヴァッターマンは言うまでもない。
「出来ない者に何を言っても無駄だ」
炸裂したカルナ語をこの場に居た者は全員正しく翻訳出来た。
(索敵能力がないボクにエネミーを探させる方がおかしいって事だよね。ほんとーに、その通り!)
探索の途中でこちらを襲って来た不定形のエネミー。このメンバーの攻撃から逃げ出したそのエネミーを追って来たが途中で反応を見失ったのだ。
無防備なマスターの守りをカウラヴァで固めて無敵スキルを持つジナコが索敵に出るのを、最後まで渋っていたカルナがこちらに歩いてくる。
こうやってみると陽キャとヤンキーでとっつきにくいカウラヴァ3人組の中でのカルナの体格差は明らかだった。
(カルナさんが小柄に見えるなんて)
新鮮な驚きを繰り返すジナコに近づく途中で、カルナは立ち止まった。
「──いないのか?」
確かめるようなその言い方にジナコは首を傾げた。
「カルナさん?」
背後で轟音が響いた。
カルナの姿が遠くなる。
水面が滑っていく。
体に巻き付いた触手に引っ張り込まれているのだと分かったジナコはスキルを発動させた。
遠く、ふわりと浮き上がったカルナの背後で機械翼が広がる。
(宝具がくる)
無敵スキルを自身に施してもあの爆炎は怖い。身構えたジナコに違う声が響いた。
「ジャイ・カウラヴァ──っ!!」
沸き起こった騎馬の群れがジナコを捕らえているエネミーを踏み潰していく。放り出されたジナコを白い戦車に乗ったドゥリーヨダナが掴んで空に放り投げた。
「アシュヴァッターマン!」
「分かった!」
空中でジナコをキャッチしてアシュヴァッターマンが跳ねるように岸へと戻る。
中途半端に機械翼を広げたまま地上に立つカルナの前に降ろされて、ジナコはへたり込んだ。
「大丈夫か?」
アシュヴァッターマンの問いかけにとりあえずは頷いたが、まだ立ち上がれそうにない。
「ありがとう」
「こういうのはお互い様だろ」
礼を言える様子に大丈夫だと判断したアシュヴァッターマンはマスターの護衛に戻っていった。
息が震える。
(怖かったッス)
エネミーよりも投げられた方が怖かった。
そんなジナコを見てカルナの機械翼がぱたぱたとしまわれる。
奇妙な沈黙が流れる。
それを破ったのはエネミーを撃破して戻って来たドゥリーヨダナだった。
「馬鹿カルナ」
うなだれるカルナにジナコは思わず声をあげた。
「カルナさんは馬鹿じゃない」
「いいや。馬鹿者だ。──カルナ、おまえの宝具の特攻はなんだ?」
ジナコの言葉を一蹴したドゥリーヨダナにカルナは目を伏せて答える。
「神だ」
カルナの宝具の神性特攻は随一を誇る。それはジナコも知っていた。
そんなジナコをドゥリーヨダナは手に持ったままだった棍棒で指した。
「では、この小娘は何だ?」
「ボクは──」
「
…
ガネーシャ神、だ」
カルナの回答にジナコは誰にも気づかれないように唇を噛んだ。今のジナコがガネーシャ神であること。カルナがガネーシャ神であるジナコしか認識出来ないこと。それは分かっていたことだ。
「おまえの宝具をぶちかまして。エネミーが強化解除を持っていたら死んでいたぞ。その娘」
その指摘は正しかった。
カルナが顔を上げる。
「感謝する。ドゥリーヨダナ」
「だったら、いい加減に紹介しろ」
何を紹介しろというのだろうか。疑問に思うジナコとドゥリーヨダナの視線が合う。
「?」
ジナコの顔に何を見たのか、ドゥリーヨダナは大げさにため息をついた。
「わし様、蹴られる馬を待たねばならんのか」
「馬などいない」
カルナの言葉にドゥリーヨダナは呆れたようにひらひらと手を払ってマスターの所へ去っていく。
ジナコは思う。
(多分、馬に蹴られるっていうことわざを言いたかったんだと思うッス)
しかし、その『人の恋愛を邪魔してはいけない』という意味のことわざをどうしてドゥリーヨダナが口にしたのか。その理由がジナコには分からなかった。
そんなジナコに手が差し伸べられる。
ごく自然にカルナの手を掴んでジナコは立ち上がった。
カルナがマスターの元へと歩き出す。その後をついて行くジナコと繋がれている手はマスターと合流しても解かれることはなかった。
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読んでくださってありがとうございます。
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