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いを
2024-12-08 21:24:27
665文字
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刀神
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芽を食べた花好き
青嵐
・紫垂月さん【Metol_P】
お借りしています。
あの刀神は食べるという行為を好まないようなので酒、あるいは
――
時折花、を手土産に持ってゆくのだけれど、今日の青嵐は強く濃い色の
浜茄子
はまなす
を手に携えていた。海岸でも咲く花。北海道によく見られるというが、青嵐は北海道に行ったことがないため知識としてしか浮かばない。この花がどう海岸で咲いているのか。この生命力の強い色の花は、海の潮気にどう勝つというのだろうか。
「紫垂月殿」
彼は縁側に坐して、どこかを見つめているようだった。隣に同じように坐る。紫垂月頼宗が見ているものが見えると思ったのだが、青嵐の目でも見えないようだった。
「なにをご覧になっていたんですか」
「いや。特になに、というものはないんだけれど」
やわらかそうなおとがいがちいさく動くたびに、藤の香が漂う。この手にある浜茄子でさえ、この芳香の前では弱い。枝から断ち切ったのは今朝なので、もう数時間はたっている。香りが和らぐのは当然だが、それを差し引いても彼の香りは強い。
「それは
……
浜茄子だね」
「ええ」
吐息を漏らすように頷き、手の中の浜茄子の花をくるりと回す。
「海の近くでも咲くことができる花のようです」
となりの神の、美しい生地をそっと見下ろした。触れるのも躊躇われて、手をゆるゆると丸める。
「いえ、でも」
朝から午睡を貪るような、かすかな背徳感。
「私の中の海
……
そこで咲くのはあなたの花だけで十分です」
「
……
ふふ。それは口説き文句かな」
「さあ
……
どうでしょう」
クスリと笑ってみせると、紫垂月頼宗もまた、同じようにほほえんだ。
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