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chiri_onigiri
2024-12-08 15:22:47
2207文字
Public
玑灵
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童貞を〜が気になる陛下の話
「童貞をころ
……
?」
スマホを弄っていた盛霊淵はある一文に目をとめた。このSNSとやらはリアルタイムで更新されていくので、現代の言葉や文化を学ぶのに最適であると判断した彼は、定期的にSNSを観測している。唯一の難点は目まぐるしい更新スピードに疲れてしまうことか。
定期的に出てくる知らない言葉を調べながら学習していた盛霊淵は「童貞をころすセーター」に遭遇した。まず童貞の意味を調べ、なるほど处男のことかと納得する。次に添付された画像を開くが、画面越しでは呪いの類いの気配は感じ取れない。
「
…………
」
どうやらこのセーターを着て童貞の前に現れると、対象の男が「ころされる」らしい。ということは、盛霊淵も対象になるのだろうか。本当にそんな効果があるのなら、どんな仕組みなのだろう。
好奇心に駆られた盛霊淵は、早速購入手続きに入った。陛下はスマホ一つでできるネットショッピングというものにハマりつつあった。
「
…………
」
事の次第を聞いた宣璣は言葉を失う。陛下が現代に慣れようとするのは喜ばしいことであるが、俗世に染まりすぎるのは困りものだ。ついこないだ慣れない口調で「やばい」と言われて放心してしまったばかりなのに。
届いたセーターを手に取って確認した盛霊淵は、当然ながらなにも感じ取ることができなかった。想像よりも頼りない布切れに流石の陛下も眉を顰める。
「これは本当に服なのか」
「まあ
……
一応
……
」
「着用することでその力を発揮できるらしい。小璣」
「着ない! 俺は着ないからな!」
「なぜ? 着用側は特に影響を受けないとのことだが」
「確実にいろんなものを失う」
男として尊厳を守るため、宣璣は背を向けて立ち上がった。その後ろにセーターを広げて持つ盛霊淵が近づく。宣璣が歩き出すと、盛霊淵もまたついてまわった。
「小璣」
「着ない着ない」
「本当に危険なものだったら大変だろう」
「絶対にそんなことないから安心して」
「試してみないとわからない」
「これに関しては絶対だ。俺を信用してくれ」
「この服ならお前が翼を出しても支障ないだろう」
「それで俺が飛んでみろ。もう二度と外を歩けなくなる」
「
……
そうか」
盛霊淵にしては珍しく食い下がっていたと思ったのだが、宣璣が頑なな態度を取り続けると、やがて黙り込んでしまった。慌てたものの今更態度を変えるわけにもいかない宣璣は、背を向けたままそっと背後を窺う。盛霊淵は寂しそうにソファに戻り、浅く腰かけると僅かに俯いた。膝に乗せたセーターを撫でる手つきは悲しげで、微笑んでいるように見えるが瞳は哀愁の色を湛えていた。
「〜〜っちょっとだけだからな!」
耐えきれなくなった宣璣は大股で盛霊淵に近づき、そのセーターを奪う。盛霊淵は驚いたように瞬いたが、すぐににっこりと微笑んだ。
「陛下、これで満足ですか」
セーターを身にまとって現れた宣璣は、控えめに言っても珍妙だった。薄い生地は逞しい肩とあつい胸筋で引き伸ばされ今にも引きちぎれそうだ。身長が高いため、黒地の下着が丸見えで、健康的なはずの太腿の筋が色っぽく見えてしまうのが不思議だ。男らしい腕は寒さからか羞恥心からかいつもより萎んで見えた。なにより、盛霊淵が言ったからか朱雀の翼を出しているせいで余計に奇妙な姿になってしまっていた。
「
…………
」
盛霊淵は頭のてっぺんから足の爪先までじっくりと眺めるが、今のところ死を感じることはない。やはり童貞だけに影響が出るというのは嘘なのか。
真っ赤になって震える宣璣の周りをぐるぐるとまわり、じっくりと観察していた陛下は、ふと宣璣の背後で止まった。
大きく開いた背中のデザインは、宣璣の臀部の割れ目まで露出させており、下着越しに引き締まったそれが見えていた。好奇心に駆られて僅かな隙間に人差し指を押し込んでみると、宣璣は大きく飛び跳ねた。
「なに!? 霊淵なにしてんの!?」
翼が大きく広がり、きれいな肩甲骨が目前に現れる。ほぼ裸体同然なのに、簡単に破れてしまいそうな薄い布地で絶妙に隠された肉体美
――
盛霊淵は己の中に湧き上がる感情、雄としての本能が刺激されているこの状況に本気で驚き瞠目する。まさか、たかが布切れ一枚でこんな気持ちになるなんて。
宣璣は全身を翼と同じ色に染め上げて逃げ出そうとするが、盛霊淵が背後から抱きついて翼の付け根に口付けると、石のように硬直してしまった。
「なるほど。薄いからこそ筋肉の造形もわかりやすく、触れやすい」
盛霊淵自身も想像していより低く濡れた声が出て驚く。
性的な服を身にまとい、全身を撫で回される宣璣はすっかりその気になってしまい、下腹部は布地を押し上げて膨らんでいた。
「
……
陛下、童貞をころす、の意味はわかりましたか」
「
……
いいや? それは偽りなのだろう」
唸るような宣璣の問いかけに、盛霊淵は不思議そうに答える。何度か身体を重ねてはいるが、未だにそちらには明るくない陛下に、宣璣は嬉しいような自分色に染め上げることが申し訳ないような複雑な心境になる。
しかしここまでお膳立てされて大人しくできるほどできた男ではない。振り返った宣璣は盛霊淵を腕と翼で閉じ込めると、その小さな唇に噛みついた。
「恐れながら、この臣下が陛下にお教えしててさしあげます」
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