yossy
2024-12-07 22:26:27
2509文字
Public 自創作
 

クリスマスツリーみたいな

木村徠人さんの誕生日を祝う野佐和大樹の話。
うちよそ二次創作SS。木村さん視点。

12月の頭

「木村さん、12月7日って用事入っていたりします?」
急に野佐和クンからそんな事を聞かれる。
「1時間くらい貰えたら嬉しいんですけど、どうですかね?」
茶化そうかと思ったけど、真面目そうな感じだったから、
「15時なら空いてるけど、何かしてくれるの?」
素直に返事をする。顔を覗きこめば
「まぁお誕生日にちょっとしたサプライズ出来たらなと思って。」
視線を逸らされる。
「えー!楽しみにしておこっと!」
緊張気味の顔から、ほんの少し頬を緩めた野佐和クンが
「楽しみにしててください。」
と笑って見せた。


12月7日 都内某所

アメリカよりも寒い気温に体を震わす。
土曜日でオフシーズンとはいえ、やる事はあって、朝から用事をこなしつつ、あっという間に約束の時間になる。
野佐和クンの家に呼ばれ、すっかり見慣れた玄関のインターホンを押す。
暫くすればドアが開いて、愉快な格好をした野佐和クンが出てきた。
誕生日パーティー用のカラフルなケーキの帽子、クリスマスツリーに飾る黄色のカラーモールを首にかけ、果てには蝋燭のデザインが施されたサングラスを掛けている。
思わぬ状況に一瞬静寂が流れる。
俺より目立つ格好してるの?」
「面白い格好の方が喜ぶかと思って。」
沸々と腹の底から笑いが込み上げてくる。野佐和クンにとっての俺ってこんな感じなの?
疑問に思いつつ、家の中へと招かれた。

リビングもこぢんまりとしながらもパーティー仕様の飾り付けをされていた。
ソファに座ると、そっとタスキのように肩に何かをかけられる。表に日本語で"今日の主役"とでかでかとデザインされていた。思わず吹き出す。目の前の男は得意げな顔をしている。
「さすが木村さん、着こなしばっちりですね。」
「それ褒めてる?」
「そりゃあ勿論。今日一番輝いてます。」
自信満々にサムズアップされる。
「あったかいコーヒー淹れてきますね、木村さんにこれらを託します。」
と野佐和クンが纏っていたパーティーグッズ達をつけられ今度は俺が愉快な格好になる。
「あんまり野佐和クンらしくないんじゃないの?」
いつも真面目な彼っぽくなくて訊ねる。
「木村さんこそ忙しくて疲れてそうだったので。」
あらかじめ用意されていたのか満たされたコーヒーポットから、専用にと買ってくれたマグカップにコーヒーが注がれる。そんな何でもない様子をぼんやりと眺める。
「木村さんのSNSとか結構見漁ったんですけど。」
「えー、覗きなんてハレンチな事してー!」
誕生日の日は色んな人と会ってるのが写真でわかりましたし、それに前々から電話だったり忙しそうなのは見かけてたんで。」
コーヒーの満たされたマグカップを受け取る。湯気が立ち上って香りも一緒に上ってくる。一口飲めば、いい匂いと温かさで寒さで縮こまった体が緩む。
「ちょっとでも休んで貰えたらいいなと思って。」
お茶菓子もどうぞ、と日本の有名メーカーの個装されたお菓子をテーブルに置かれる。座るのかと思えばまたキッチンの方に向かって行った。豆菓子の袋を開けて一つを口に放り込む。
「結構顔に出てた?」
「いや、鳩羽さんから聞いたのもあるんで全部気づいたわけじゃないです。」
さらりとそう言われちょっと気が抜ける。
「木村さん人気者なんで、誕生日もそりゃ忙しいだろうなってこと分かりますから。」
どっこいしょと何かを持ってきた野佐和クンが横に座ってくる。
「ということで、お誕生日おめでとうございます。こちら誕生日プレゼントになります。」と紙袋を渡される。
「開けてもいい?」
「もう木村さんの物なのでお好きにどうぞ。」
袋の中を覗き込むと知ってるブランドの箱が入っていた。それを取り出して開けてみる。ゴールドのネックレス、だけど見たことのないデザインだった。
「木村さんが気に入ってると話していたお店でオーダーメイドしました。」
「オーダーしたの!?」
「数ヶ月前からお店と相談して、木村さんが好きなタイプとか色々まとめながら作ってもらったんですけど。気に入らなかったら売ってください。」
なんてさらっと言うから
「いやいや、びっくりしたけど超タイプだよ!」
と取り出して試しに首にかけようとする。その前に野佐和クンと一緒に体に身につけていたパーティーグッズを一度剥がす。
改めてネックレスを身に付けてみる。そっとどこからともなく手鏡で見せてくれる野佐和クン、用意周到だなぁ。
「お似合いです、お客様。」
「今日ノリどうしたの?」
「シミュレーションの成果ですね。」
「そんな準備しなくていいのに。」
首を横に振ったりして確認する。うん、いい感じ。
「あともう一つプレゼントあるんですけど。」
手書きの紙を1枚渡される。
「野佐和大樹一時間自由権?」
「こっちの方が大変だったんですよ。」
「紙に書くだけじゃないの?」
「鳩羽さんを1ヶ月ほど説得したんで。この時間内なら何しても良い権です。」
何でも?」
「何でも。」
「先輩に規制されてる事は?」
「その時間内なら制限なしで。」
マジ?」
「それも要らなきゃ鳩羽さんに売ってください。」
「売らないよ!えー、いつ使おっかなー?」
「有効期限は1年間なので、気をつけてくださいね。」
「結構しっかりしてた。」
「鳩羽さんとの約束なので。」
「まぁ大事に使うよ。ありがとう。」
野佐和クンと目が合って
「どういたしまして。誕生日おめでとうございます。」
にっこり微笑まれた。

その後一緒に写真を撮った後、「今回のために用意したので良かったらどうぞ。」と紙袋の中に愉快パーティーセットも入れて玄関まで向かう。
「ちょっとしか時間取れなくてごめんね。」
「いえ、無理言って時間取ってもらったのこっちなんで。」
ドアを開けると冷たい風が入ってくる。
「風邪引かないよう、気をつけてくださいね。」
「野佐和クンもね。今度一緒に食事行こうねー!」
「是非!」

見送られ車へ向かう。
冬の風は冷たいけど、不思議と温かい気持ちだった。