三毛田
2024-12-07 20:40:17
1705文字
Public アドベント24
 

7 07. 髪を一房すくい上げる


君の長く美し髪にキスを

 翠の混ざった毛先から、ゆっくり掬い上げ。
「穹」
 そこにそっと唇を落とす。
「世を灌がん」
「資料室でやっちゃ駄目なやつ!!」
 必殺技を発動しようとした指を下ろして、俺の手から髪を奪い返して。
「たんこ〜、俺の部屋行こうよ〜。イチャイチャしたいよ〜」
 剥き出しの肩を撫でながら告げると、尻尾で腹をギチギチに絞められる。
「論文用の資料を探しているんだ。邪魔をするな」
「今日の丹恒、塩〜」
 床をゴロゴロ転がっていると、ギロッと睨まれた。
「穹、この論文を出し終えればいくらでも時間がある」
「わかりました~。って。俺の部屋のパソコンでもアーカイブを見れるようにすればいいじゃん!」
「デュアルモニターなら、一度に検索することが出来るな。考えてみよう」
「ありがと~! 今日は大人しく部屋に戻るよ」
 頬にキスをして、部屋に戻る。
 パムに頼めば、アーカイブの端末にアクセスしていいか聞いてみよう。
「パム~。今大丈夫?」
「どうしたんじゃ?」
 ラウンジを掃除していたパムは、俺を見上げてくる。
「俺の部屋のゲームエリアあるだろ?」
「うむ。ヴェルトがどこかウキウキとしておったな」
「そうそう。あそこのモニターで、アーカイブの閲覧が出来るようにしたいんだけど。いいかな」
「アーカイブは、丹恒に一任しておる。丹恒に許可を得ればよい」
「わかった。ありがとう」
「穹。昨日の飴、美味かったぞ」
「あれ、俺のおすすめ。まだ食べるなら、渡すけど」
「もらってもよいか? 休憩の時に食べたいのじゃ」
「いいよ。今、バッグから出すから」
 バッグを漁り、パムの手に飴を乗せる。
「ありがとう」
 嬉しそうに笑い、早速一つ口へと入れ。嬉しそうに頬をほころばせ。
 もう一度資料室へと行き、ノック。
「どうぞ」
「丹恒、パムから許可を貰ったんで、俺の部屋のモニターでもアーカイブに繋いでいいって許可貰いました。やってもらえる?」
「そうだな。気分転換にやろうか」
「無理そうなら、ヨウおじちゃんにも手伝ってもらおうよ」
「ヴェルトさんも、お前のあのモニターには興味津々だったからな。いいだろう」
「じゃあ、行こう」
 手を差し出すと、渋々というように手を乗せて。
「そういや、どうして今日は飲月なんだ?」
……そうだな。今日はそういう気分だったんだ」
「珍しいなって思っただけだから。飲月の姿だと、綺麗でちょっとドキドキするけど」
……
 ほんのり頬を赤く染め、俯いてしまう。
「その恰好で、いい?」
「それは、どういう意味だ」
「色々落ち着いたら、ここに」
 階段の前で足を止め、丹恒のお腹を撫でる。
……そうだな。落ち着いたら、な」
「ご褒美に、いっぱい甘やかしてあげたいな」
「お前がしたいだけじゃ、ないのか」
「そうともいうけどね。飲月の丹恒って綺麗で色っぽいから、我慢できなくなりそう」
「お前は、いつもそうだ」
 頬を寄せると、カプっと噛まれた。
「た、丹恒先生っ」
「どうした? 言わないとわからないからな」
 今度は仕返しというように、俺の股間を撫でてきて。
「今日は、時間ありますか」
「ある程度資料を見つけられたし、そろそろお前が恋しい」
「た、たんこ~!」
 手を離して、飛びつく。体幹が強い彼は、こんなに勢いよく抱き着いてもちゃんと支えてくれる。
「丹恒のそういうところ、本当好き」
「お前はもう少し落ち着くことを覚えろ」
 とは言いながらも、背中を撫でて。
 丹恒は俺にも甘い。
 恋人としても、仲間としても。
「それなら、さっさと終わらせるか」
 部屋に入ると、ゲームスペースへ向かい。ゲーミングチェアに腰かけると、キーボードを叩いて。
「よし。これでアーカイブにアクセスできるようになった。今度これを借りる」
「俺がいると集中できない?」
「いや。お前が邪魔をしてこなければ大丈夫だ」
「例えば?」
「髪の毛を弄んだり、む、胸を触って来たりしなければ」
 髪の毛をかき集め、それで顔を隠し。それから、上目遣いに。
「わかった」
 一房だけ残っていたので、そこにキスを。