三毛田
2024-12-07 15:50:46
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34 034. 置いていかないで

34日目 置いていかれたら、寂しい

 指先をすり抜けて、消えていった。
 彼は、卵の中へ還っていった。
 皆、俺を置いていった。なのも、ヨウおじちゃんも、姫子も。
 そして、最後に残った丹恒も。
『お前の元には誰も残らない』
 そう、誰かかがささやいているような気がして。
 だからといって、彼らの後を追うことは俺の体内にある星核が許してくれず。
 いっそこのまま何処か死んだ星で、この力を爆発させてしまおうか。
……
 そんな暗い感情に支配されたまま、目を覚ました。
「丹恒……
 体を丸めて俺の隣に眠っている丹恒。
 あれは夢だったのか。と安心すると同時に、遠くない未来俺を除く皆は寿命を先に向かえるだろう。
 丹恒も、あと何年一緒にいられるのだろうか。
 そっと撫でた頬は、ちょっと冷たい。
 体温が他の人よりも低いこの人は、いつも触れたらひやっとする。
 寝起きにぴったりくっつかれていると、冷たくてびっくりする日もあるけど。
「好きだ」
 自分の体温を分け与えるように、頬に唇をつけ。
「ん……きゅ……すき……
 嬉しそうに口元を緩め、小さな声で。
 可愛すぎるでしょ!
 そして、目を開けると手を伸ばしてきて。
「きゅ、おは、よ……
 ふにゃふにゃ笑って、頬に触れてくる。
「おはよう、丹恒。ほっぺがいい? 唇?」
「ほお、が……うん、いい」
 一人納得したように口にし、また目をつぶって。
 可愛いな。
 左右どちらの頬にも唇を落とし、それから頭を撫でると心地よさそうにうとうとして。
「朝ご飯できてるだろうから、下に行こう」
「ん……
 今日の丹恒は、寝汚い。
 昨日は、論文を書いていたので俺は特に何もせずにいたし。というか、ゲームで銀狼と遊んでたんだよな。
 銀狼って、やっぱり仲間だと頼もしいよな。ゲームをしてる時はしみじみと感じる。
「丹恒、起きよう。俺、おなかすいた」
「んー……今日の、メニューは……
「なんだろう。俺、肉厚ハンバーグと焼きたてパンがいいな~」
「チーズ入りだと、いいな」
「それ~! チーズ入りだと、もっと美味しいよね」
 頭を撫でていると、抱き着いてきて。それから、大きく伸びをして目を擦る。
「ねえ、丹恒」
「どうした?」
「置いていくなら、ちゃんと言ってね」
「急にどうした」
 不思議そうな表情で抱き着いてきて。それから、背中を撫でてくれ。
「悪夢みたいなもの、見たんだ」
「そうか……
「丹恒が脱鱗した時、俺の命が尽きるまでの間に転生することがあったら、ずっと見守ってもいいかな」
「可能性に賭けるな」
「それもそうだな」